2分で読める子育てエッセイ№537『パン1つ、イベントになる時』
だんなが朝食後のデザートとして買ってきていたいちごジャムパン。最後の一つを手にだんながこう言った。
「ねえねえ、このおいしいパン、右半分と左半分、どっちがジャム多いと思う?」
・・・どうでもいいと思う。
右・左と答えたら絶対に上下、または前面と裏とか、変に分ける気でしょ?
そもそも分ける気・・・ある?
大好物の自分のいちごジャムパンをみんなに見せびらかした後においしそうに食べる作戦?
それとも、ジャムが偏っているから、ちょっとした不満を、クイズ形式で家族のみんなにお届けするつもり?
とちょっぴりメンドクサいな~と思っていたら、わずかに膨らんでいた方の左側を小5の娘が指さした。
「こっちかな?」
おおっ。なんと優しい。
お父さんのクイズに付き合ってあげてくれてありがとう。
娘の優しさにホッコリした。
その後みんながいちごジャムパンに100%注目した時、だんなが誇らしげにパンを二つに割ってこう言った。
「ジャムが多い方、正解は・・・あれ?どっち? 今回は同じに見えるんだけど。珍しい~」
と、だんなが難癖つけそこねた~という表情を浮かべたその時
「だったら、私こっち貰うね~」
娘がだんなからいちごジャムパンの片割れを取り上げると、躊躇なく、一番おいしいジャムの部分にガブリとかぶりついた。
「あーーー! 俺のジャムパンがー!」
一人で味わおうと思った大好物のジャムパンがすでに半分ない。
さらに間髪入れずに、もう片方のパンもお姉ちゃんを見習った息子にもモグモグされた始めた。
残ったのは、わずかだんなが指でつまんでいた部分だけ。
だんなは名残惜しそうに見つめていた。
見せびらかす方が悪い。
というか、日ごろの
「あれ? あのお菓子・・・お父さん食べちゃったの?!」
の仕返し!
子供達曰く、
「こうやって食べるパンが一番おいしーんだよね~」
だって。
どっちもどっちだ。