2分で読める子育てエッセイ【子供達が学校に行っているマニマニ】№104『まるで魔法でもかかったかのように記憶そのまま』
ダンナが出張だというので、朝から面倒・・・いや、快く送っていくことにした。
その帰り
「折角だから・・・」
ともう一人のワタクシがささやいた。
ワタクシが小5まで通った小学校の近くに、確か感じのいい喫茶店があったはず。あそこに行ってみようかな。
帰ってきたダンナに請求する予定のタクシー代としては妥当なところ。
ちょうどいいじゃーん。
その喫茶店は大昔、かつて通った小学校の前の建物の一角にある。
1階には他にも駄菓子屋、文房具店など、お店が数件あったはず。
通学路になっていたので、その喫茶店からのコーヒーのいい香りだけをご馳走様して帰っていた毎日。
コーヒーは苦い大人の飲み物だと思っていたので、当時は入ってみようと思ったことはなかった。
あれから数十年。
喫茶店は残っていると思ったけど・・・ちぇっ。
全部違うお店に変わっていて、当時のお店は1件も残っていなかった。
「もっと早くに、来てみればよかったなぁ~」
あきらめて車を走らせると、こんどはある看板が目についた。
「あ! ○○内科!」
それは、ワタクシの小学生時代、散々お世話になった病院。
「まだあるの?」
ワタクシ、ドン引きした。
そこでお腹が痛いなどと言ってしまったらさあ大変。
絶対に点滴を打たれると、小学生の間では超有名なこわいこわい病院だった。
「注射するよ!」
昭和の子供のワタクシが大嫌いだったキーワード、トップ3。
この言葉は、コーヒーが飲める大人になった今までも、苦い思い出だとちょっぴりドキリとする。
「まさかあの当時の建物のまま、残っているとは・・・」
生い茂っている草木も掲げている看板も、まるで魔法でもかかったかのように記憶そのまま。
ひーっ!
「ワタクシ、メッチャ健康です。どこも悪くありませーん!」
懐かしさもぶっ飛び、そそくさと街を後にした。
コーヒー代なんてけちくさいこと言わず、めっちゃ高め、スイーツドリンク付きランチを食べてやろうと思わなかったワタクシが悪かった。
どうせダンナにおごらせるつもりなのに。
お昼ごはんのお茶漬けをすすりながら、ただただ反省。
ちぇっ。

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