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反骨精神が生み出した究極のエレガンス—『ココ・シャネルの言葉』
『ココ・シャネルの言葉』
山口路子 著
2025.2.2 読了
「香水で仕上げをしない女に未来はない」「醜さは許せるけどだらしなさは許せない」シャネルの言葉にある「自分」を貫く美しさとは。
強烈な個性。
自分に厳しく他人に厳しく。そのこだわりや情熱はデザイナーというより職人そのもの。
「好き」ではなく「嫌悪」の精神が彼女のクリエイションの根幹にあるところに、彼女の唯一無二の強さを感じる。
そんな「仕事=生きること」の彼女でも、常に女性であることは忘れず、愛されることを求めていた。
ハードな部分とソフトな部分両方兼ね備えているところも、シャネルの人間的な魅力の一つ。
女性の社会進出がまだまだ難しかった時代に、ファッションの分野でシャネル独自のスタイルを確立しただけでなく、女性の生き方をも変えていったシャネルの革命。
もちろん想像を超えるほどの努力があるのだろうけれど、この「嫌悪」というネガティブな力って強いのかもしれない。カフカみたいに。
この状況から抜け出してやるっていう意地。泥臭さみたいなもの。そして自分で自分の道を選び、その責任を負い、その覚悟をもつこと。
ぬるま湯につかっていた自分にスパーンと喝を入れられた1冊。
【好きな箇所】
「醜さを許せるけど、だらしなさは絶対許せない。」
……「だらしなさ」は、その人の意識から生まれます。だらしない服装、だらしない言葉、だらしない生活態度、だらしない口もと、だらしない両の膝……。すべてに共通するのは、「緊張感ゼロ」ということ。
「愛の物語が幕を閉じたときは、そっと爪先立って抜け出すこと。」
……気持ちの離れた恋人を追いかけること、それは女をみじめにするだけではなく、「自尊心」までも失ってしまう愚行だとシャネルは考えていたからです。
「表以上に裏が大切。本当の贅沢は、裏にある。」