母親の胎生期不安とADHD
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雑誌名:Pediatric Research
IF: 3.953(2023-2024)
※内容には個人の解釈も含まれます。ご理解の上ご覧ください。
母子不安と子供の注意機能パフォーマンス
妊娠中の母体の不安感やストレスの高まりは、子供の発達に対して負の関係性があることを示す研究論文が増えてきている。
行動学的な側面で、9歳までの発達のいくつかの時期に実施された研究では、
妊娠中に不安が強かった母親の子供は、”認知面”、”行動面”、”感情的な自己調節”がより困難であることが明らかになり、
幼児期の気難しさ、注意調節の問題、多動性、ADHDの臨床診断やADHDの症状、行動障害、感情的な問題などに表れる可能性があるとされている。
現在までのところ、vanらが行った研究で、ADHDの症状と外在化・内面化の問題を予測する唯一の重要な時期は、”妊娠12〜22週”であると特定した。
この時期の母親の不安感は、注意課題の実行中の衝動性と知能検査の点数の低さと関係していることがわかっている。
本論文では、
対象:平均15歳の64名の男女
評価方法:CPT(持続的な注意に関連した課題)
検証:母親の不安感が強さが注意性に与える影響
上記の内容で研究されている。
結果は、妊娠第12〜22週に強い不安を抱えていた母親の男児は、
注意課題が進むにつれて、反応が鈍くなったり、注意を持続させることが難しい様子が観察され、
目の前の課題に集中し続ける能力が低いことが示唆される結果となった。
人では、神経が増殖したり、移動・分化などの重要な脳の発達過程が、
記憶等に関連する脳領域(海馬や扁桃体、脳幹、基底核など)において、
月経後8週から24週の間に起こることがわかっており、
これらの神経生理学的な発達が母親の情動状態によって変化している可能性があると解釈された。
まとめ
母親の不安感が出生後の子供にも影響するとされる研究結果。
これは、母親だけの責任ではなく、
母親が不安感を感じることがないようにしたり、少しでもストレスや不安感を軽減できるよう、父親を含め家族やその周囲の方の配慮が必要になることを考えさせられる研究論文であると思われる。
少しでも、妊婦さんへの配慮に貢献する内容となれば幸いです。
ご覧頂き、ありがとうございました。