時間が解決してくれる。その最たる例が、死。

大丈夫。
時間が解決してくれる。

気休めにしか思えないそんなアドバイス。
昨日と同じ今日を繰り返す日々の中で、こんな苦しみがいつか消えるなんて信じられないし、ありえない。
明日もまた、今日と同じ暗闇の時間が過ぎていくだけ。

何も変わらない。
人生は好転していくなんて、綺麗事だ。
時間が解決してくれるさなんて、無責任な言葉はしまっておけ。

何も変わらないけど、きっとほんの少しずつ、何かは変わっている。目には見えないレベルだけども。

広い視点で、死に思いを馳せてみる。
死んだ私は、今の私と似て非なるものだ。
そこには確かな変化が存在する。

変わりっこない人生。
だけど、確実に訪れてくれる死。

何も変わりっこない苦しさに襲われる夜は、いつか死を掴み取る私を強くイメージする。
その時、きっと苦しみはゼロになる。
なんだ。本当だったんだ。
時間はすべてを解決してくれるんだ。

死を推奨するわけじゃない。
いつか訪れてくれる死の喜びを、前倒しで味わうのは少し勿体無い。

わかってる。だから大丈夫。
時間が解決してくれる。
究極を言えば、時間が私を死まで誘って、苦しみから解放してくれる。

死までいかずとも、この世界は時間が解決してくれるように仕組まれているみたいだ。
10年前の今頃、きっと何かに苦しんでいた。
でもその何かが、何なのかだったかなんて、覚えていない。

同じことは未来にも言える。
きっと今の苦しみを、10年後の自分は曖昧な記憶の中に放り込んでしまっている。
人生とはそうゆうもの。
時間が全て解決して、なるようになっていくもの。

悩みは尽きない。
その一つ一つに、真摯に向き合って擦り減ってしまう必要はないのだ。
問題や悩みや不安に向き合うべきは私でなく、時間。
時間にすべてを委ねて、楽しめる分だけ人生を無責任に楽しんでみようとする。

時間が解決してくれる。
その証拠に、私たちには死というゴールが待ち構えてくれている。

なんだか勇気が湧いてくる。
どうせ時間が解決してくれるこの日々を、どうせなら、せっかくだから、味わって生きていけたらいいと思う。