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人生の虚無感に苦しむあなたを救ってくれる本 〜「たおやかに輪をえがいて」を読みました。〜

窪美澄さんの「たおやかに輪をえがいて」を読んだ。

窪さんの小説がやっぱり好きだ。
日常に存在する苦しみを取り上げて、最後には登場人物たちが前を向いて人生を進んでいく。
そんな姿に勇気をもらえる。

解説で島本理生さんが書かれていた文章に共感が止まらない。

「私はこの場面を読んだときに、どうして人が小説に救われるか、分かった気がした。」
「誰にも言えないことこそを、小説の登場人物たちは弱さをさらけ出して打ち明けてくれるからだ。」

この小説を読んで「救い」を得た人は数え切れないと思う。
それほど本書のテーマは誰もが人生において味わうことだし、みんな誰にも言えずに苦しんでいたのかもしれない。

私には今やるべき仕事があり、共に人生を歩む妻がいる。
まだ子供はいなくて、これから育てていきたいなとも思っている。
つまりは「先」がある。

それらがなくなった時。
人間としてやるべきことが失われたときに、どんな感情になるのかと想像するだけで怖くなる。
多忙な日々はしんどいが、きっと何も役割がなくて虚しい日々はもっと比較にならないほどしんどい。

実家で離れて暮らす母に思いを馳せた。
子育てを終え、父ともそこまで仲睦まじい印象はない。
元気だろうか?
人生に意味を感じて、毎日を楽しく生きられているだろうか?

一緒に暮らす妻にも思いを馳せる。
これから子供を一緒に育てて、共に多くの感情を味わっていきたい。
親としての役割が終わった後も、虚しさを感じさせることがないように、幸せに生きていけたらいい。生きる意味を少しでも与えられる、そんな存在でありたい。

主人公が吹っ切れて、やりたいことをやっていく。そして人生が輝いていく光景がとても印象的だ。

老いは平等に訪れ、やがて私たちは死んでいく。
いつかはわからない。あと70年生きてしまうかもしれないし、今年がラストイヤーなのかもしれない。

先のことなんてわからない。
だから「今」を生きていくしかない。

今、どうしたいか?どうありたいか?どんな生き方をしていたいのか?

やりたいことをやっていく。
自分を好きだと思いながら、死ぬまでの日々を楽しく生きていたい。虚しさなんて感じている暇がないくらい。

人生に虚しさを感じて辛くなったときに、本書と今日書いたnoteを読み返してみたい。
人生は辛い。でも面白い。
どうなっていくかわからないし、想像ができない苦しみが突如やってくることもある。

小説を読むことで救われる。
登場人物が弱さをさらけ出してくれる。
物語に同じように共感する同志が確かに存在してくれている。

好きに生きよう。
やりたいようにやろう。
生きたいように生きればいい。

読みたいと思った、本書を読んで本当に良かったと、今心から思えている。

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