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当たり前な僕の人生に心からのありがとう 〜「くもをさがす」を読みました。〜

西加奈子さんの「くもをさがす」を読んだ。

がんを罹患した著者のノンフィクション作品に、心を揺さぶられ、今への感謝が込み上げてきた。

今こうして生きていることは当たり前ではない。
何の痛みもなく、普通に生活していられるのはとても幸せなことだ。

どうして私だけがこんな目に遭うのだろう?
人生は理不尽だ。
神様の悪戯で、私たちの努力とは無関係に辛い出来事が身に降りかかってくる。

全てを前向きに解釈できたならどんなに素晴らしいだろう。
だが残念ながら私はそんなに強くない。
病気が命の尊さを教えてくれた、ありがたい。なんて思ってみても、きっと次の瞬間には死んでしまいたいと嘆いているだろう。

今に感謝だ。
いつ病気になるか、いつ死ぬかなんてわからない。けど死はやがていつの日か必ず訪れる。
とりあえず今は生きている。今は病気じゃない。
今ここの奇跡に、感謝して生きていられたらいい。

失ってはじめて気づくのが人間だ。
こうして本を読むことで、失う前に気づかせてもらえることは、すごく幸せなことだと思う。
改めて文章を書く人に対して尊敬の念が生まれるし、心から感謝している。

本書を読んでから、脳内に「ありがとう」が生まれる頻度が高くなった気がする。
日常へのありがとう。今という奇跡へのありがとう。

綺麗事だけでは生きられない。
弱い自分を受容しながら生きていけたらいい。

筆者は「書く」ことによって救われたと述べていた。
私も感情を言葉にしていきたい。
きっとあらかじめ決められた人生。
その人生が与えてくれる感情を、言葉にしながら味わっていけたらいい。

失うことが怖い。
その裏側には、既に大切なものがそこに存在しているという事実がある。
大切な人との時間が消える日が怖すぎる。
それは今幸せの渦中にある証明なんだ。

今をできる限り愛していこう。
きっとまた今の尊さを忘れてしまうけど、何度だって思い出していこう。
当たり前は当たり前なんかじゃない。

不安や恐怖と無縁で生きていくことはできない。
きっとそれが私という人間の性質だから。
そんな自分を認めて、愛して、弱い人間だからこそ感じられる幸福もあるんだと気づきながら、日々を大切に生きていたい。

自分を好きでいられたらいい。
その人生はきっと幸せだ。誰か何と言おうと。

一人では生きていけない。
人生の意味や意義は、きっと他人のために生きることと深く相関している。
だから私は大切な人を大切にしていこう。
それが自分のためになるのだから。

長々と書いてみたが、本書の感想を5文字で表すならきっと「ありがとう」だ。

今生きていることにありがとう。
健やかでいられることにありがとう。
元気でいてくれてありがとう。
そこに存在してくれて、隣にいてくれてありがとう。

今がある奇跡を改めて感じさせてくれた著者に心からのありがとうを伝えたい。
こうして人と人との繋がりで人生が豊かになっていく。
とてもありがたい人生だなと、そう感じられている。

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