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ホラーでありミステリーであり普遍的な愛であり 〜「をんごく」を読んで〜

北沢陶さんの「をんごく」を読んだ。

ホラー・ミステリーの賞をとられている作品で、文体が美しく最後まで楽しく読ませていただいた。

読み方がずれているかもしれないけど、本書を読んで私が感じた最も大きな感情は、「隣にいる大切な人を大切にしよう」ということだ。

亡くした妻が幽霊となって現れる設定のお話を読んで、当たり前だが、私も大切な人もいつか必ず死を迎えるんだよなと実感した。

大切な人が幽霊となって現れた時、私はどんな感情になるのだろう。
久しぶりだね。元気にしてた?
あの時優しくできずにごめんね。
そんな後悔に打ちひしがれるのだけはどうにか避けたいものだ。

幸いにも、今、大切な人は私の隣にいてくれる。
いつの日か、その日を迎えた時に。後悔が一抹も残らないくらいに。できることを今日からはじめよう。

いつか訪れる別れの時。
そしてもしかしたら訪れるかもしれない常識を超えた再会の時。
その時に、清々しい笑顔であなたと逢えますように。

幽霊なんかじゃない、生身のあなたを大切に、与えられている今を生きていよう。
そんな感情を抱かせてくれた、暖かな一冊でした。

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