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クズが僕に図太く生きる勇気をくれた。 〜「嫌いなら呼ぶなよ」を読みました。〜


綿矢りささんの「嫌いなら呼ぶなよ」を読みました。

めちゃくちゃ面白いです。
文体がポップなのに、表現しているのは人間の醜さだったり弱さだったり恥ずかしさだったり、でも何だか共感してしまい、「わかるー!」って思いながらページを捲る手が止まりません。

表題作の「嫌いなら呼ぶなよ」は、不倫をした夫が嫁の友人夫婦数名からただただ問い詰められるシーンを描いたしんどい設定です。
そんなしんどいはずの設定なのに、主人公はどこか他人事のようにその話を受け流していて、なんか勇気もらえました。

結局、図太く生きられた人間の勝ちですよね。
誰に糾弾されたとて、遠い目をしながらその過程を他人事のように眺められたら、それはもう勝ちなのです。ノーダメージなのです。

もちろん、反省することも大切でしょう。
自分はなんてダメなんだろうって、自分を責めながら生きていくことが寧ろ求められる世の中かもしれません。
でもそれって、しんどすぎませんか?

書いていてふと、小学校低学年の頃の出来事を思い出しました。
友人数名とある一人の友人をからかって遊んでいたら、その対象になった友人が泣き出してしまって。
私含めたからかった側の子供たちが教室の前に並ばされて。で、先生にしこたま怒られて。

その時なぜか、笑ってしまったんですよね。
で、それがバレて。
「反省してないだろ!」「こうゆうの蛙の面に小便って言うんだぞ!」ってめちゃくちゃ怒られたんですよね。

自分の中には、どこかそんな図太さみたいなものが潜在的に存在しているのかもしれません。
それが今となっては、何だか心強いのです。

世知辛い世の中です。
やりきれないこと、腹が立つこと、理不尽なこと、ストレス。
普通に生きていたいだけなのに、私たちを悩ます種は尽きることがありません。

図太く、強く生きていきましょう。
不倫を非難されたって、それでダメージくらって鬱になってしまうくらいなら、「いや!嫌いなら呼ぶなし!てかオメェら関係ねぇだろ!」って開き直ってブチ切れてしまうくらい、そんな生き方を目指すくらいでちょうどいいんです。

図太く生きる主人公は決して褒められる存在ではないのだろうけど、なんかこうやって生きるのもアリなんだって道を示してもらった気持ちになれました。

クズに触れることで、救われる心がある。
是非読んでみてください。

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