#77 ザ・ラスト・ディナー・パーティー『プレリュード・トゥ・エクスタシー』
ザ・ラスト・ディナー・パーティー『プレリュード・トゥ・エクスタシー』
今どき5人組ロック・バンドって、なかなか珍しいなと思っていたら、全員が女性。ブリット・アウォード新人賞に選出されるなど、すでに本国UKで大きなバズを起こしている、サウス・ロンドンの超個性派だ。
ライヴには強制ではないもののドレスコードを設けているという、彼女たちが鳴らすのは、グラム・ロックやゴス、ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴなどに通じる、妖艶でダークな美をまとった魅惑のサウンドで、聴くほどに天使にも悪魔にも思えてくるヴォーカルのアビゲイルの澄んだ歌声がまた、病みつきになってしまう。
ソフィア・コッポラやデヴィッド・リンチらの影響を感じさせるMVも秀逸で、楽曲のあまりの素晴らしさも含めて、僕はこのデビュー・シングル「No
thing Matters」で、一発で打ちのめされてしまった。
記事などで見るヴィジュアルからも、バンドとしてのこだわりが伝わってくるし、デビュー作のジャケット写真を遺影(ですよね、間違いなく)にするセンスも、ベタと言えばベタだが僕は断固支持したい。
サウス・ロンドンは、個人的に好きなブラック・ミディやシェイム、ブラック・カントリー・ニュー・ロードらの拠点でもあるだけに、信頼度は大。新世代からまた楽しみなロック・バンドが出てきてくれて、うれしい限りだ。ライヴもぜひぜひ観てみたい。
鈴木宏和