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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2021年8月の記事一覧

【8/29横浜戦◯】じゅりのしなやかな強さのこと

「あーーーーじゅり楽しみだねえ!!!」と、息子がにこにこと言う。「じゅり良かったよねえ!!!今日もいい気がするなあ!!」とやたら上機嫌である。先月、二人でzozoマリンでのエキシビジョンマッチを観に行ったとき、じゅりが好投するのを二人で見届けたのだ。 「塾のヤクルトファンの先生がさあ(なんと、ほんとうにいるのだ、ヤクルトファンの先生が。いい先生に違いない。)、野球見に行くっていったら、『村上に32号よろしくって言っといて!』だって!」と、にこにこと教えてくれる。

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【8/28横浜戦△】みんな、ぐっちを待っていたのだな、と思う

「ここでもし誰かが出塁したら、ピッチャーに回ってくるから、そしたらぐっち出るかな…」 そう言いながら、ネクストバッターズサークルをのぞき込む。 ここのところ、「いつぐっちが出てくるか」を予想するのが、我が家(というか私)における観戦の新しい楽しみになりつつある。好きな選手が打席に立つことが、こんなになんというか、心躍る大切な場面だったのだと、なんだかここ数試合で、私は改めて思い出している。 もちろん、いつだって出続けていてほしいけれど、そうじゃないときだって、いやそうじ

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【8/27横浜戦●】日常と非日常が混ざり合う世界の中で

東京ドームへ向かう電車の中でも、球場に着いてからも、なんとなく今日の対戦相手は巨人だ、と思い込んでいた。いや、対戦相手は横浜だ、と知ってはいたのだけれど、ドームへ向かう身体は無意識のうちに私に「巨人戦だ」と告げていた。 30分ほど遅れてドームの席に座ると、ヤクルトたちはホームユニフォームで戦っていた。そして、宮崎が元気にヒットを打っていた。見慣れているはずの景色に、見慣れない光景が広がると、なんだか少し戸惑ってしまう。 その戸惑いをかき消すかのように、奥川くんは今日もすば

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【8/25中日戦△】「次」がいつ来るかはわからないけれど、だからこそ

8回裏の攻撃タンパク問題。というのが、私の中でよく叫ばれる。タンパクというのはここのところ私がそればかり言っているタンパク質の話ではない。淡白、である。(なんの話だ。)

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【8/24中日戦◯】誰かを応援することは、祈りに似ているのかもしれない

「誰にも期待されてないくらいが丁度いいのさ…」 と、今野くんの登場曲が流れる。いやいやもう、十分すぎるくらいの期待をしているよ、と、私は思う。だけど、その曲を選ぶ今野くんの気持ちが、なんだか少し、わかる気がする。それは、なんだか良いな、とも思う。 ♢ ただただひたすらに祈り続けた試合だった。幾度となくけいじくんが迎えたピンチでも、どうかここで乗り切りますように、と、手を合わせた。そのたびに、今日のけいじくんはなんとか、そのピンチを乗り切り続けた。 ここが正念場、という

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【8/21広島戦◯】元山くんのウインクと、さすがのエイオキキャップ

でっかいバームクーヘンのような、チョコフォンデュのような、なんだか謎の(でもえらく原始的のようにも見える)道具をただ眺めながら、「これはもうコールドで良いのでは…」と、思っていた。 球場には大きな水たまりがいくつもでき、バームクーヘン状のモップらしきものと控えめサイズのスポンジでは、いつまでたってもその水たまりは埋まらないように見えた。 やることのなくなった中継では、ひたすら客席とベンチの様子を移していた。元山くんがこちらを向いてウインクしている。ちょっと、元山くんがママ

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【8/20広島戦●】「私が痛いと言う時には本当に痛いのよ」と、加納クレタは言う。

ゲスト解説の黒田さんが言った。「田口が菊池に打たれた1本は、田口にとってかなりショックな1本だったと思います。フルカウントからならまだしも、ノーボール2ストライクからの1本でしたから。」と。 そして続けた。「野手は『切り替えて!』と言ってくれるんですが、ああいった1本は、なかなか切り替えられるものじゃないんです」と。 黒田さんの言うとおり、そこまで好投を続けていた田口はその1本のショックをひきずるように、そのあとヒットを打たれ続け、野手のミスも重なり、1死も取れないままマ

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【8/18巨人戦●】冷静と情熱の間で、カツオさんは投げ続ける

チャンスでどれだけゲッツーになっても、カツオさんは今日だって表情を大きく変えることなく、淡々と投げ続けた。 だけどたぶん、「淡々」と見えるように投げるためには、ハードなトレーニングや、膨大な練習量や、そしてあらゆる葛藤を続けきたはずだ。そしてそこには大きな目標や、「野望」みたいなものがある。そういう、何かしらの原動力になるものが、きっとあるのだ、と思う。 その姿にファンだって励まされる。自分もがんばろう、と、そう思う。カツオさんも、ぐっちもあれだけがんばっているのだから、

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【8/17巨人戦◯】ぐっちが選んだ四球、村上くんが選んだ四球

その時、点差はすでに11-3と8点開いていた。8回裏、一死走者なしの場面でぐっちは、ストレートの四球を選んだ。 ようやくつかんだ、一軍昇格のチャンスだ。エキシビジョンマッチを4割超の打率で終え、ぐっちはようやくそこに戻ってきてくれた。だけど、開幕直後に自打球の影響で登録抹消になったぐっちの今季の公式の打率は、まだ、0なのだ。 だからそこに数字を刻むことが、途中からの出場が主になるぐっちの、まず最初の目標だ、と思う。8月になってそこに刻まれる「0」という数字は、ぐっちの本調

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【8/15横浜戦◯】奥川くんのポジティブな原動力

歓喜の輪の中にいる村上くんとてっぱちを見ながら、ああほんとうによかった、二人がしっかりと結果を残し、この輪に加わった経験はきっとこの先の野球人生にだって良い影響を与えるはずだ、と、心底思った。 そして同時に思った。「でもできることなら、この二人が、マクガフだって一緒に、ヤクルトのユニフォームを来てこの輪の中にいるところが見たい」と。 オリンピックの侍ジャパンの活躍を見ながら私は改めて、ああ私はヤクルトというチームが好きなのだな、と、そう思った。 なんだか、そう思ったのだ

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それは山田哲人の夢を応援できる場所、なのかもしれない

「てっぱち今、どんな気持ちなんだろう…自分に打席が回ってくるなって思ってるのか、よし自分に回ってこいって思ってるのか、どっちなんだろう。」 そわそわした様子で、息子が言う。ネクストバッターズサークルでは、なんだかいつもよりも精悍な顔つきのてっぱちが、グラウンドをじっと見つめながら、バットを振っていた。 2-2で迎えた8回裏、2死1,2塁で打席には甲斐が立つ。ここで甲斐が出塁すれば、大きなチャンスでてっぱちに打席が回ってくるのだ。 「どちらにしても満塁でてっぱちとか…ママ

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野球と、オリンピック

プロ野球のない夏を、久々に過ごしている。 「久々に」と言ったのは、そもそも私が野球を見始めたのはたった4年ほど前のことで、それまではずっと「プロ野球のない夏」を30年以上続けてきたからである。 だからまあ、人生における「プロ野球のない夏」の方がずっと長いわけだけれど、この4年間の夏があまりにも濃かったのだろう、もう野球がある夏が当たり前のようになってしまった。おかげで、なんだか毎日、手持ち無沙汰な日々を過ごしている。(やるべきことは山のようにあるのにね…) さてそもそも

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