※ お食事中には決して読まないでください ※
【ナースのはなし】
「信じられない、どんな指使いをしたら一度にそんなに沢山取れるの。」
20歳以上年上の先輩が、私の中指を見ながら驚愕の表情を浮かべて言った。
私は子供の頃から手先が器用だった。
米粒…まではいかなくても、小豆くらいの折り鶴を折ったり、編み物をしたり。
それがこんなところでも役立つなんて。
摘便が必要だと聞けば──いや、むしろ聞かなくても、そのニオイ──雰囲気のことだ──を嗅ぎつけ駆けつけた。
自分でもなぜこんなに上手なのか、よくわからない。
もしも、コンクールなんてものがあるならば、北海道代表くらいにはなれる自信がある。
もしかしたら、日本で10本の指に入るかもしれない。
もし10本の指に入れるならば、中指に、私はなりたい。
なんのはなしですか
患者はスッキリしたと喜び、私は自信と達成感で胸がいっぱいになり、病院には一回につき1000円分の診療報酬が入るというはなし。
しかし、私の懐にはなんのボーナスも入らない、というはなしでもある。
私はこの細い中指を使って今日も摘便をする。
…かもしれないし、しないかもしれない。
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