こんなんじゃいけない毎日を録画して。

音が途切れた瞬間、脳内は色を失い一気に過去の昼間がやってくる。

夢だとか想像だとか思うより早く、意識はその中の道を歩いている。喉が詰まって、呼吸も浅くなる。焦点が定まらないし、ざわめきが頭の中を埋めていく。嫌なことなんてないのに具合が悪くなっていって、すぐに座り込みたい気持ちに駆られる。

落ち着けとか大丈夫だとか思う頃にはもう、意識は緊張していて眠れなくなる。溜め息をついて、起き上がる。体が疲れていないせいだと思う。外に出る気にもならないまま、しばらく起きていた。

朝方寝て、昼前には起きた。食事をして、少し経って外に出た。たくさん歩きたくてカメラを持って出かけた。夜になって後悔しない方を選んでいきたいと思った。

写真を撮ると目線が人とずれるから楽だ。そうして路地裏を歩いていると、知り合いに会った。物凄い偶然だった。それは本来喜ばしいことなんだろうけれど、今じゃないほうが良かった。少しだけ話してすれ違った。

久しぶりの人に会うと嘘をつかなくちゃいけない気がして嫌だ。何も隠すことないのに、何となく素直になれなくて濁してしまう。構えていないから急に安定が崩されて、すぐに座り込みたい気持ちに駆られた。

あれは本当に夢で、予知夢だったんじゃないか。今日は良くないから諦めて部屋にいればよかったのかもしれない。別になんてことないはずなんだけど、なぜか落ち着かなくなって座れる場所を探した。

駅前の石に腰掛けて、マンションの入り口や空や鳥を見ていた。少し経つと寒くなったから上着を羽織ってまた歩いた。

会いたくないときに会いたくない人に会ったから、会いたいと素直になれない詩の曲を裏返さずに聴いていた。音楽では掻き消せない妄想がぐるぐる回って、考えなくていいのに考えてしまうからどうしようもなかった。

別に、今会いたい人なんてほとんどいなくて、それもそれで良くないなと思いつつ、いつもそうだから仕方ないような気もした。

店に寄って買い物をして、帰った。何も上手く行かないんだ、と笑顔で言う芸人の言葉を思い出して少し元気が出た。それでもずっと浮いているみたいで心地悪い。帰宅してもまだふわふわしていて落ち着かないな。

今日は洗濯をする日だ。もう少し歩きたいし、今月中にやってしまいたいことだってある。もうあと数日しかないことに驚いたのは昨夜だった。期待するより擬態していたい。上手く紛れたころしれっと裏切って、世界を騙して、自分だけの景色を独り占めしたい。

今日は洗濯をする日だ。もう少し歩いて、早く帰ってきてちゃんと今日を終わらせたい。

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