考えて朝になって、考えるふりで朝を待って。

眠れないから漫画を読んでいた。夜明け前の話を読んでいた。数話読んで本を閉じると、カーテンの隙間から朝日が入り込んできていた。

朝はリセットじゃなくて、みんなに平等にやってくる、そんな感覚だと書かれていた。若い頃の自分に言っても反論されるだろう、と続いていた。少なくともその時、彼はそう思っていたんだ。

自分はまだその感覚になれない。気分が良ければ始まりで、悪ければ終わりになる。どっちにしても朝に他人は出てこない。

誰にでも同じようにやってくるのは正しいけれど、夜明けを過ごしてその感覚になることがない。いつかもっと大人になって、いろんなことを知って経験して諦めて何かを得たとき、始めて知る感覚があるのだろうか。

今は世界に置いて行かれるような感覚だけが照らされていくけれど、いつかの自分はもっと違う朝日や白む空を感じるかもしれない。それはちょっと楽しみだ。

暑かった部屋も冷房で冷えて、やっと眠れそうになったときにはもうすっかり朝だった。

それから寝て、昼に一瞬起きてまた寝て、起きたらカーテンの隙間から夕陽が入り込んでいた。

今日はずっと寝ていたようだ。また朝まで起きているんだろうし、これと言ってやることもない。やるべきことは山のようにあって、でもやりたくないことはやりたくないし、それでもやり始めないとできないこともあるだろうし、何から手をつければいいか考えている。考えるふりで今日も夜になるんだ。

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