もうこれ以上、引き離さないでくれないか。
今日はずっと欲しかった本の発売日だった。配達は明日の予定だけど、数日間は受け取れないから楽しみは先延ばしになりそうだ。それでも確実に良いことしか起きないことが分かっているから安心できる。
好きなバンドの新譜も来月出るらしい。髪型を真似しても、同じ本を読んでも、全く追いつけそうにない彼はどんどん先へ行ってしまう。新しい挑戦をして、新しい感覚を得て、過去から褪せない価値を一生懸命繋げている。
明日が来ればここではないところで夜を迎える。数日後、また少し戻ってくる。行ったり来たりを繰り返して、気持ちも揺らしながら明日を待っている。待っているようで本当はいつも明日を拒んでいるし、熟しているようで本当はいつも流されている。
今度こそは上手くやれたらいいな、と焦る気持ちが膨らんできた。そういう時期なんだろうけど、そう簡単に割り切れない時期でもあるから決着はつかない。
またいろんなことが嫌になって、全てのことから逃げたくなって、何もないのに何もないから気持ちだけ募る、そんな時間が来るんだろうか。誰かといれば元気になるけど、それは元気じゃない部分を忘れているだけだ。思い出したとき、その暗さに驚いて、明るくなったときの眩しさに耐えられなくなる。その溝を埋められる日がいつかは来るのか。
何かを失ってからでは遅いから、ちゃんと本物で少しずつ埋めていかなくちゃいけない。偽物で誤魔化しても、脆いからすぐに崩れてしまう。もう何も崩したくないし、大切なものは手放したくない。たったそれだけなのに、それだけを守るのが大変だから溝は深く広くなっていくんだろう。
今日は朝起きて、食事をして、昼になってまた食事をして、ギターを弾いていたら夕方になった。昨日から同じラジオを聴いて、同じところで笑っていた。
気付けば部屋は暗くて、人工的な明かりだけに照らされている。抱えたギターは大きくて収まりが悪いし、弦も錆びたままだけど、凄く良い音がする。音の違いなんて分からないから心地良いか悪いかそれだけだけど、鳴りが良くて好きだ。
夜になるまえに皿を洗って、支度などをしたい。
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