音を分解し始めたら終わりだ。
音楽を聴く。
全ての楽器と声がひとつにまとまっている。
ひとつの波になってディスクに収まっている。
音楽を作る。
いくつかの音といくつかの声をひとつにまとめている。
ひとつの波にしてディスクに収める。
そうすると次に音楽を聴くとき、音が分かれて聞こえる。
ここでこんな音が鳴っている。
ギターはこんな音で、こんな声が聞こえる。
そして、最後には分かれた音を鳴らす人が見える。
ここでこんな音を鳴らしている。
こんな音でギターを弾いて、こんな声で歌っている、と。
そうなるともう単純には楽しめない。
分解して細かいところを見ていかなきゃ作ることはできないけれど、一度分解してしまうと素直に遠くから楽しめなくなる。
こんな矛盾が生活には溢れている。
気付きの分解は、素直さや純粋さを奪っているのかもしれない。
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