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流行よりマイ流行を (随筆52)

流行とは面白いものです。誰かが「これがいい」と言い始めたら、みんなが一斉にそれに飛びつきます。洋服でも音楽でも、食べ物でも。流行の中心にいる人々が指を指す方向に、私たちは無意識のうちに従ってしまう。SNSで盛り上がるトレンドは、次の日には街中で見かけることが増えます。それはまるで、見えない手が私たちを操っているかのようです。

でも、ふと立ち止まって考えてみると、この流行という波に乗ることが本当に自分らしいことなのかと疑問が湧いてきます。もちろん、流行に乗ることで新しい発見や楽しみが得られることもあります。それは否定しません。ただ、その一方で、私は「マイ流行」、つまり自分だけの流行を大切にしたいとも思うのです。

「マイ流行」とは何でしょうか? それは、自分が本当に好きなもの、心地よいと感じるものを指します。たとえそれが他の人には理解されなかったり、時代遅れだと言われたりしても、そんなことは気にしません。それが自分にとっての「マイ流行」です。

たとえば、私は古い音楽を聴くのが好きです。今の若者が聴くような最新のヒットチャートにはほとんど興味が湧かず、むしろ昔の音楽に心を奪われます。その音楽には、時間を超えた魅力があります。流行に流されず、今もなお愛され続けているものには、それだけの理由があるのだと思います。

また、私は古本屋巡りが趣味です。新刊書店で本を買うのも良いですが、古本屋の独特な匂いや、表紙が少し擦り切れた本に魅力を感じるのです。それらの本には、前の持ち主が残した小さなメモや、ページの隅に折り目がついていることがあります。そうした痕跡を見つけると、その本がどんな旅をしてきたのか、どんな人の手に渡ったのかを想像せずにはいられません。これも私にとっての「マイ流行」です。

さらに言えば、私は日常の中で、流行に左右されない自分のリズムを大切にしています。例えば、朝のカフェの時間。流行りのカフェではなく、家でゆっくりと淹れる一杯が、私の日常を豊かにしてくれるのです。その時間には、何も急かされることなく、自分のペースで一日の始まりを楽しむことができます。

もちろん、流行を完全に無視するのは難しいし、それが悪いとも思いません。ただ、その波に飲み込まれる前に、「本当にこれが自分にとって価値があるものか?」と一度考えてみることは大切です。そうすれば、流行に流されることなく、自分だけのスタイルを見つけることができるでしょう。

「マイ流行」を大切にすることで、日常が少しだけ特別なものになるような気がします。周りの目を気にすることなく、自分が心から好きなものを見つけ、それを楽しむ。それが、私にとっての本当の贅沢であり、人生を豊かにする一つの方法です。

流行に乗ることも楽しいですが、自分だけの流行を見つけ、それを大切にすることの方が、もっと素晴らしいことだと信じています。だから、皆さんもぜひ、自分だけの「マイ流行」を探してみてください。それが、きっとあなたの日常をより豊かにしてくれるはずです。


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ポエムニスト・ノアキ(ノアキ光)
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