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詩作品まとめ

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2022年2月の記事一覧

【詩】折り紙

折り目をつける

生きているうちはどこかで

ひとも

はなも

そらも

どこかに折り目をつけている

天気雨に打たれている

あじさいをきみは見たか

はなが粛々と

色を変えゆくことを受け止めて

雨に打たれているのを

たえまないそらを

きみは見たか

折りたたまれて裏がえし

千代紙のように

ひるやよるを

くるりくり返しているのを

いづれきみは見るのだろう

鶴を折るような丁寧さ

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【詩】きみの落下論

ぼんやりするわたしは

あやまって卵を落とした

落とした卵を目だけはしっかり捉えていたので

「卵を焼いて食べなくちゃあ」

「今日も八時に行かなくちゃあ」

とそれら細胞の伝言遊びに

太陽は頭のてっぺんをきつきつとのぼって

わたしは頭痛のせいで

もうひとつ卵を落とした

「イカロスでなくわたしを撃てばよかったのよ」

と落ちゆくきみらはささやいていた

さようならなんて本当はないのだと

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