月ウサギは耳で飛べるか?
人間は、地球が欠けることを知っているのかな、とU-404は思った。打ち上げに失敗したり、金儲けに凝ったり、戦争に夢中になるうちに、彼らはすっかりわたしたちのことを忘れてしまって、音沙汰がない。ただ、果てしない暗闇に放り出された先祖たちの記憶が、時々冷たい水になって耳元に流れてくる。凸凹ばかりの地面に立っていると、それさえも愛おしく思えてくるから不思議だ。彼らはわたしたちを追放し、ここには草の一本もない。宙に投げ出され、息をすることもままならなかった同胞は、一瞬のうちに萎んで