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マーケティング組織づくりでは「実行システム」をデザインして実行力を高めよう

マネージャーのアウトプットとは、自分の率いる組織のアウトプット。名著『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』より。

組織のハイアウトプットのために求められる行動は、チームメンバーの能力と情熱を引き出し、望ましい行動を強化すること。

「ひとりひとりが組織のために正しい行動をとる確率を高めることが、組織文化だ」 刀・森岡さんの言葉です。

マネージャーがやることは、一人一人が組織のために正しい行動を取る確率を高めることです。

組織を率いて、個のアウトプットの最大化と個々が合わさった組織のアウトプットの最大化を目指します。そうしてゴールにたどり着くために成果を出すのです。



*  *  *



こんにちは、スノードームのムロヤ(@rmuroya)です。

前々職の人材系ベンチャーでは、社員番号13番で入社し、その後にわずか数年で200人と急成長を遂げたベンチャーの成長の真っ最中にいました。よくある組織の30人の壁。年商2億の壁を超えたさなかにいました。

組織も拡大していき、チームマネジメントについては、初めは2名だったのが、9名にまで増えていきました。
(一時期はMAX13名)

前職のホットリンクでも、再成長中フェーズの組織づくりをしてきました。


このnoteではこれまでの取り組みの振り返りもかねて、経営者やマーケ部門長の方に向けて、チームをどう組成し、どういう風に考え、施策を実施し、浸透させていったか」について書いてみました。

なお、メンバーひとりひとりの向き合い方のソフト系(人間の性格特性、やる気の種類、ペップトーク等)ではなく、組織単位に適用可能なハード系の施策が中心になります。


こんな方に読んでいただけたら嬉しいです

マーケティングやデザインなどのインハウス化を考えている人はもちろん、

・新任マネージャーやリーダー
・組織のメンバーが増えてきて、マネジメントや育成の悩みが増えてきた方
・組織をもっと大きくしたい方、リーダーを目指したい人や、組織を率いている人

の方にも参考になれば幸いです。


また、ぜひコメントなどもお聞かせいただければ嬉しいです。




■目次

1. テコと好循環サイクルで投資効率を高める
2-1. 前提条件の共有
2-2. 設計思想
3-1. 実行システムの全体図
3-2. 旗を立てる
3-3. 実行支援システム
3-4. 実行
3-5. 組織学習
4. 要点おさらい
5. 役割を演じる



1. テコと好循環サイクルで投資効率を高める

組織としてのアウトプットを高めるために、テコ(レバレッジ)が効くものだったり、好循環サイクルを組み込みこむことで、投資効率を上げていきました。

最小の努力をインプットしたら、最大の成果がアウトプットされるようなシステム構築ですね。

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この辺りについては、ちきりん氏の『生産性』で紹介されている有名な等式である

「生産性=得られた成果÷投入した資源」

がわかりやすいですよね。

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まずはこうした効率的な施策の取り組み方をインストールしていきます。


2-1. 前提条件の共有

「ホラクラシー」や「ティール型組織」など、流行りの組織論を単に真似したら、システム全体として拒絶反応が起きることが往々にしてあります。戦略と資源をもとに組織設計はされるものです。

標準化されたオペレーションを圧倒的な行動量での遂行を重視する営業組織なら軍隊型で統率をきかせたりしますし、市場で圧倒的シェア確立のために低コストリーダーシップが重要ならAmazonのようなオペレーショナルエクセレンスと倹約の文化が重要だったりします。厳密なルールベース、手続き型に基づく遂行形態なら、官僚型組織がハマることもあるでしょう。

このようにして、組織形態とは、なすべき目的と望まれる行動形式によって規定されるものと考えています。



ここに書かれている私のケースの場合は、

・複数サイトをインハウス体制で運営
・日進月歩で進化するWebマーケティングがコアスキルとなる
・未経験者も多かった

をもとに、仕組みを構築していったことをお伝えしておきます。



2-2. 設計思想

何を前提とするか、どういう価値観かで変わってくると思います。

あとから知ったのですが、米Google社の「プロジェクト・アリストテレス(https://qiita.com/ino-shin/items/75e32c9202ae5c29ad5c)」の研究結果と同様のことが根底にあった気がします。

(めちゃくちゃ良い記事です。ぜひ読んでみてください)


組織にいる人材のパワーを最大限に引き出して、最高に気持ちよく仕事を遂行できるようにシステムを整えていました。


また、

・自分と他人の遂行能力は異なる
・超優秀な個人事業主的な動きから組織人へシフト
・人間の特性を理解し、理想だけを追わない
・組織力とは、個人力とシステム(仕組み)の掛け算
・同じ結果(目的)を追求するなら、プロセスは楽しくやりたい
・リソースは常に足らないものと心得たうえで設計する(「あと広告宣伝費がウン万あったら…」「もっと人がいたら…」)

という前提もあるものです。


マネジメントについては「人間のどういう側面を信じるか」によって取り組み方は変わるものと認識しています。ガチガチに縛るか、自由奔放に任せきるか、またはミッションで変わってくると思います。

このnoteに書かれている取り組みに違和感があれば、上記の前提においている考え方が違うのかもしれません。

なお、人間への見方ひとつで、資源の解釈も変わってくるものだと思っているので、非常に重要なポイントだと考えています。どれだけ見えているか、です。



3-1. 実行システムの全体図

要素を分解すると「目的、目標、実行、組織学習、実行支援システム、戦略」の6つだと考えています。

総体のシステムとして、最小の努力をインプットしたら、最大の成果がアウトプットされるようなシステム」を設計していきます。

超単純化すれば、前掲のこの図ですが、

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その総体の実行システムが下記です。

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実行力といえば、施策の「DOそのもの」に目がいきがちですが、このDOの成果を最大化できるためにも全体から設計していきます
(DOだけを見ると、労働時間を投入して≒残業して成果を積み重ねる安直な発想につながる罠)


これはどういう構造かと言うと、

・戦略レイヤーの上に実行システムが乗っている
・実行と組織学習の好循環サイクルによって、螺旋状に上っていく
・実行支援はそれに風を送り込んで浮遊力を高める
・螺旋階段の軸は目的ー目標ー戦略とブレないようにしていく

というものです。

「何を果たしたいのか、どこで戦うか、どうやって勝つか、どんな能力が必要か、どんな環境(システム)が効果的か」と考えて設計します。


言いかえると、

明快なゴールと資源から戦略が決まり、
戦略から優先順位が決まり、
それが実行スピードを生み、
型と組織学習で螺旋階段を登っていく

みたいな流れです。


おまけ)
戦略と実行』の以下の図で説明されている「実行の失敗の構造」は非常に勉強になりました。

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3-2. 旗を立てる

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チームの「目的」「目標」である北極星はどこかを示します。

こうして、エネルギー投下先の皆のベクトルを揃えます。

ワンピースで例えるならば「偉大なる航路(グランドライン)を目指す」です。

CRO改善にフォーカスしていた一時期は、「CV2倍」と書かれた標語のポスターを自作して掲示してましたw 楽しく燃えるのが一番ですね。

 
また、日頃の施策の軸をぶらさない方法として、Amazonの「品揃え、利便性、価格の3つを追求しよう」みたいな方針の共有も効果的ですよね。

絶対にブレない芯ができれば、成果の積み上げを作りやすくなります。積むべき積み木が効果的に積み上がりますので。



3-3. 実行支援システム

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(再掲)

実行支援システムでは、望ましい行動を引きだすために、「組織文化」と「評価設計」を整え、意思決定のスピードを高めるために「基準設計」で、判断に迷う時間のロスの削減も進めます。


●組織文化

文化とは、共通言語です。

重要なのは「一人一人が組織のために正しい行動を取る確率を高めること」でしたよね。この文化を作るにあたっての具体的手法の一つが造語作りです。

ポイントは、「思考のトリガーになるか、腹落ちして思考できるか」です。わかった気になるのが一番ダメです。解像度が低くなるから。自律&自立&自走できるようになります。

文化ができれば、文化が勝手に育ててくれるので、育成コストを軽減することができて、その分を大きなことに使えるようになるメリットもあります。

Facebook社の組織文化がフィットすると思ったのでまんま取り入れたり、
ーー
「Focus on impact」
「Done is better than perfect 」
ーー

独自には、

「TTP」「TTT」「横展開」「TUG」「行動ロック」「ツンツン」「スリスリ」
「ビール3杯理論(https://oshamambe.jp/archives/28)」とか作ってきましたw


「造語」は、実行の方向をぶれないようにしてくれます。重要な考え方の焦点を浸透させることができます。

「ことばの強さ」を心がけ、特徴量の高い言葉をつくって、ロジックとその背景の価値観、込められた感情や信念もセットで伝えていきます。念仏のように唱え続けて、しつこくしつこく浸透させていきます。

造語が共通言語になればOK。共通言語になれば、コミュニケーションのスピードが高まります


●実行と評価システムをリンク

組織であっても、脳の報酬回路と原理は同じです。望ましい行動を引き出すためです。やってほしいことと、やったら嬉しいことの整合性をとれるようにし、評価設計、褒賞設計に反映させていきます。

賞与やボーナスに反映させるか、ちょっとした金銭インセンティブ、あるいは褒められる場を用意するなど非金銭の喜びでもよいでしょう。
(この辺はリクルートさんやサイバーエージェントさんが匠ですよね)

評価設計によって、エネルギーの投下のされ方は変わるため、結構時間をかけて考えてました。


●高速の意思決定のための基準設定

迷う時間は、実行の時間をさらっていきます。また、意思決定のスピードは、明快な戦略にも左右されます。これがあれば、取捨選択や優先順位も明快になります。

ここでは「だれが、何を、どうやるか」を迅速に決めて動いていくためのシステムづくりです。


①自由に暴れていい領域の提示
小さい頃は気づいた人が拾うけど、組織が大きくなればなるほど重要。不明瞭であるがゆえの、お見合いや押し付け合いの不要なコミュニケーションが発生します。
また、職務領域が明確になれば、マニュアルもつくりやすくなります。

②GO/NO GOや、基準値の設計
・A/Bテストの統計的有意差判定ガイド
・ライティングガイドライン
なり作りました。
これで「あとは任せた」の状態を作っていきましょう。

③権限委譲
「あとは任せた」とセットなのが、自走するために、エンパワーメントならぬパワーシェアリングが必要です。組織のパワーとは、権限と情報。これらをどんどん委譲、提供していきましょう。


役割の細分化など組織設計に左右されることも多いですが、この範囲の施策遂行は承認不要で進めてOK、とコミュニケーションすると良いです。


●意思決定について、ちょっと脱線

このアマゾンの4つのルールは、オペレーショナルエクセレンスの構築方法として、非常に参考になります。
https://note.mu/muroya/n/n3597d53e71ec

実行は全力でやらないといけません。コミットしなければいけません。

最終的な決定権者の動きに従うのが組織の宿命。仮に納得いかなくても、全力でやらないといけない時があるのです。SONYのウォークマンもそうだったでしょう。「やれ!」と言われてやったんです。

ここで認識して欲しいのが、全力でやらなければ、仮に失敗で終わったときに、戦略が悪かったのか、実行が甘かったのかわからない、ということです。戦略は「未来に対する仮説」なので、良い悪いを判断するにも、100%投下しないとわかりません。

この点は組織で握っておくべき点だと思います。そうして、戦略の実行の過程で、仮説や環境認識の間違いがあれば、すぐさま取り入れて軌道修正したらよいのです。

決まれば腹をくくって取り組む。これが組織の動き方。組織人(会社員)の姿です。



3-4. 実行そのもの(両輪の片っぽ)

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実行では、多くの打席に立てるか、徹底して施策をやり切れるか、をベースに設計し、実行量の最大化を目指します

戦略設計と施策立案で優先順位が決まれば、後は実行あるのみ!

①業務進捗をつくる

色々な取り組みがあると思うのですが、要はフォローの仕方とその頻度がキモ。重点施策に対するメンバーのマインドシェアを高めていきます。

●進捗管理

月一回のフォローか、週一回のフォローか。日本電産の回復劇は、ここのフォローの徹底にあると言われているくらいです。リクルートの「ヨミ会」も有名ですよね。

また数値管理はマジで命なので、ダッシュボードの数字を読んで、違和感のある数字が目に飛び込んでくるレベルを目指したいものです。

また、施策遂行に関する時間感覚の鋭さは重要です。例えば、「納期はとりま1週間で」ではスピード感が遅すぎる動きになることもあります。リードタイムがアウトプット数に制限をかけます。

施策実施数の先行指標は、アイデア創出数。なので、アイデアの進捗管理も効果的です。ポートフォリオ管理も効果的で、連続的改善、非連続的改善など、どれだけストックがあるかもウォッチしていくのもよいでしょう。

施策展開に必要な工数の見積もりも行い、足りなければ調達に動きましょう。


●1on1

対面で部下と面談の場を定期的に設けています。フィードバックの場、KPTによる内省学習機会の提供など、コーチングなどで内省を促して成長機会を提供できるようにしたり、困りごとの情報が上がってくるようにします。

なお、フィードバックもコーチングもティーチングも、好ましい結果や行動に繋げるためです。

このへんのコミュニケーション技術は、書籍がたくさん出ているので参考にされてみてください。


②全員がチームスキルを身につける

個人の力を伸ばすことは簡単ですが、チームワークを育てることも重要です。

●強み弱みの共通認識

チームを組む理由は、弱さを無力化するため。個々の弱みを無力化するためにも、弱さの開示をする必要があります。

そのためにも「心理的安全性」は大事です。そうして、凸凹の可視化からの相互理解、互恵関係がスタートできます。

なお、いきなり強み弱みを開示してって言われても思い浮かべられないことも多そうなので、その際はマーケティングスキルマップなどで全体の地図を見せてあげて思考の補助教材にするとよいと思います。


●甘え上手は、リソース調達上手

例えば、HTML/CSSの実装が苦手なメンバーには、得意な人に「TTT(徹底的に頼る)してきたら」「スリスリしてきな」と伝えます。

誰かの進捗が滞っている場合は、「催促したら?」じゃなくて、「ツンツンしたら?」とポップにします。

こうした行動の阻害要因には、思考の根底にどこか遠慮があったりするので、そこを打開します。

上手に甘えて、力を借りるスキルも人生には重要です。抵抗感には、ポップさで解消を図ります。結果的にとる行動は一緒でも、認識がポップになるので(リフレーミング)。これも心理的安全性です笑


●決して「戦略だけ」からは成果は生まれない。

いうても最後はやったかやらなかったか。不確実性が高ければ打ち手の数が重要だと思います。

次々とアイデアが湧き出て、次々と実行できているか、実行に注ぐ時間をたっぷり確保できているかが競争力を決めるのかと。

「打ち手を早く決める」「打ち手を早く着手する」「打ち出を早く完遂する」、そして結果的に「打ち手をたくさんやる」です。

施策の成功確率(打率)はだいたい3割くらいだと思うので、打席に多く立ってバットを振りましょう。

実験をたくさんやれば、たくさん成功/失敗できます。たくさん成功/失敗できれば勉強できます。たくさん勉強できれば、インパクトと成功確率を高められます。実験して、学んで成長して、次に繋げて、を繰り返す。これで螺旋状に上っていくのです。




3-5. 組織学習

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実行システム

次に、「組織学習」です。

ウェブは日進月歩で進化します。あまりにも変化が激しすぎます。そのため、学習習慣があることが生存の条件です。

この組織学習では、「PDCA」と「ナレッジマネジメント」が両輪になります。

●PDCA

当たり前の徹底こそ重要で、実行の局面ではこれがコアの思考です。自己学習をインストールします。

特に新人には「PDCAのCとAは逆上がりだよ」「やりっぱなしはだめ」と1024回くらい伝えたいところ。施策が失敗しても、学びを得て、次に繋げるためです。

せっかく打ち手が多くても、「なぜ?」を繰り返して学びにつなげていないと、螺旋階段の成長に繋がっていきません。

実行スピードが早まれば、打ち手が多くなって、学習機会が増えて、ライバルよりも早い優れた施策遂行に繋げられます。

PDCAについては書籍やWeb記事がたくさん世にありますので、読み込んでみてもらえればと思います。


●ナレッジマネジメント

「職人になれる仕組み」を整備し、戦力を強化していきます。型による技能伝承で、育成によって社内資源を増やしていくのです。非常に重要なので、ここの分量は多めです。

ナレッジマネジメントがなぜ重要かと言うと、組織が大きくなればなるほど、自然とできていたことができなくなるからです。席が隣同士で日常会話でできていたものが、組織や業務の細分化、レポートライン等でやりづらくなります。組織内のナレッジ関する情報伝搬があらゆる要因によって減衰されていくからです。

そこでナレッジマネジメントを確立し、仕組みとして自然に実行されるように整えていきます。


まず、ナレッジマネジメントについて、「知の移転プロセス」の図を説明しますと、

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①知の創出←ここの領域の広さと深さでインパクトのてっぺんが決まる
②知の言語化←天才と秀才の壁(センスと言語化)
③知のデータベース化←コンテンツとしてアウトプット
④知の他者へのインプット(移転のスタート)
⑤理解(わかる)
⑥実践(できる)
⑦習慣化(できている)
⑧メンテナンス(陳腐化したら捨てるか磨くか)

という8つのプロセスに分解できます。

このプロセスに沿って、自社にはどこかボトルネックになっているかの診断をするとよいと思います。


*  *  *


能力開発においては、事業成功の要件からのコンピタンスを洗い出して、成長シートを作成するのがオススメです。求められる技術、態度、資質何を学べばいいかを明確にします。

新人用には、「3ヶ月独り立ちシート」でSEOやGAやCROの取り組みのカリキュラムを作ったり、人材事業の集客のコアスキルである「SEO」については、教養編、初級編、中級編など研修を整備してきました。



この教養編は大義を伝えてコミュニケーションコストを下げる工夫をすると、他部門の協力が必要な施策であっても承認を得られやすく、施策を動かしやすくなります。


また、メンバー育成にはマーケティングスキルマップなども活用できると思います。

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「この事業ではここがコアスキル。ここは徹底的に伸ばしてほしい。あと○さんはここが強いから、もっと伸ばしてみんなをリードしてほしい」

みたいな感じにも活用できます。
   

●フレームワーク作り

フレームワークを言い換えると「思考の型」です。認識や、戦術策定の思考の型になります。

AIDAとか、P&Gの「WHO,WHAT,HOW」が有名ですよね。

この型の整備が、1→10の組織成長のエンジンになってくれます。優れたフレームワークとは、60点の人を90点にしてくれる仕組みですので、めちゃめちゃこだわりぬきました

強い組織には、必ずフレームワークがありますし、フレームワークは、人から離れた抽象概念なので、組織の資産になります。


これまでに、
・SEOライティング
・ニュースリリースの作成方法
・リンクビルディング
・CRO施策立案のIFKフレームワーク、テンション上げるかハードル下げるか
・ダッシュボードの数字の読み方、気づき方
など、作りまくりました。


●作成のポイント

フレームワークも造語と同様に、「思考のトリガーとして想起しやすいか?」がポイントです。大事なことなので繰り返しますが、「一人一人が組織のために正しい行動を取る確率を高めること」ですから。

人間は、摂取しようとした情報量が多いと圧倒される動物です。野心があったり成長志向の高いラーニングモンスターならムシャムシャ食べて消化もするのですが、大体の人は箸が伸びないし、消化不良に陥ります。

なので、なるべく腹落ちしやすい言葉で、シンプルにキャッチーにしていきました。複雑だとしても構造化して、枠とかエッセンスの状態でパッケージングさせましょう。

腹落ちしていれば、腹のなかから引っ張り出せます。借り物ではなく自分の言葉で引き出せます。なので、平易な言葉で、わかりやすい例えで腹落ちしてもらうことが重要です。

シンプルであれば、フレームワークの拡張性が高まったり、他概念との接続がしやすくなります。キャッチーであれば、口に馴染むので、なおさら純粋想起しやすくなります。独特な言葉で、概念を強く印象付けられます。

こうした工夫で、「一人一人が組織のために正しい行動を取る確率」を高めていきます。


●具体的な施策

以下の5つの施策は、社内での情報の巡りを良くする頭脳のシェアの施策です。ポイントは個々の学びに閉じ込めず、組織の学びにすることです。

ポップなコミュニケーションで、気負いせずに垂れ流れるように場を設計します。あとは承認によって、味をしめてもらうこと。「情報共有たまんねぇぜ(ペロリッ)」となれば、あとは習慣化していくのでシメたものです笑

ーーー


①ドヤ会
成功事例をドヤる会議体です。楽しいですし、メリットしかないので騙されたと思ってぜひ一度やってみてほしいです。
言語化の促進にもなり、一石五鳥くらいの得があります。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

上手にファシリテーションしてあげて、示唆を促せば学習機会をここでも格段に増やせます。


②懺悔会

ドヤ会の反対失敗事例を供養する会議体です。

しくじり先生的に失敗事例そのものをコンテンツに昇華し、黙って墓場に葬りさせずに、組織としての知恵(教訓)に成仏させる取り組みです。

やらかしたことや失敗はしれっと墓場に持ち込んで共有知にできないので、心理的安全性を高めて、失敗をさらけ出せる仕掛けです。

「失敗してもそこから学べばいいよ」というメッセージにもなり、思い切ってバットを振り続けていけます。


③uno会
ブレスト会です。テーマを設けて複数人で集まって45分くらいで時計回りでアイデアを順番に出し合います。

なぜunoなのかと言うと、「ドローフォー」と言えば、次の人は4つアイデアを言わなきゃならないからです。「リバース」と言えば、反時計回りに変わります笑 ブレストにゲーミフィケーションを取り込んだものとイメージしてもらえればわかりやすいでしょうか。

マーケの仮説づくりの源泉はアイデアにあり。マーケターはいかに優れたアイデアを出せるかで価値が決まると言っても過言ではありません。(無論、泥臭い実行も鬼大事)

「自由闊達にアイデアを出していいんだ」「他者からアイデアを引き出してもいいんだ」というメッセージも伝えることができます

大量にアイデアが出たあとは、分類化や整理、体系化が捗ります。一覧ページの改善アイデアとかは、だいたいこの場のインプットから体系化のヒントを得ました。

脳の糖分が大量消費されるハードエクササイズです笑


④大臣制
専門分野を確立してもらって、大臣制で、凸の強みでリードしてもらいます。
社内SNSとかでおすすめの記事を垂れ流してもらう運用もします。情報発信に慣れてきますし、担当の分野についてのアンテナを張り、インプットが習慣化されます。

チームメンバーがお互いの強みと尖る分野を認識して、弱みをカバーしあって持ち味を発揮できる環境づくりの促進にもなります。また、社内大学のような感じで、自主勉強会を活発化させます。


⑤ペアマーケティング
通称「ペアマ」。ペアプログラミングのマーケ版です。(「ペア読書」なんて取り組みもよく聞きます)

凸凹を補い合うチームワークの発揮につながり、思考回路を覗きあったり、強みを持ち寄って施策を磨き上げていきます。例えば、あるページに関するCRO施策を二人でやって、アイデア発想法を学んだり、UIへの落とし込みのアイデアを覗くことができます。



こうして、情報の巡りを良くして、成長機会を至るところに散りばめていきました。

最終的には「ラーニングモンスターの楽園」になれば理想的だと思います。

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なお、先ほどの「知の移転プロセス」の中で、①の「創出」のプロセスがボトルネックになるケースが多いと思います。

ここの解消法として、社外からもナレッジを仕入れる取り組みも非常に効果的で、社外顧問コンサル活用も良いでしょう。内製主義で利益を独占する良さもありますが、うまく外部パートナーと組んで、利益を分かち合うことも有効です。





4. 要点おさらい

ここらでまとめます。

・マネージャーのアウトプットとは、組織としてのアウトプット

・だから、チーム全体の生産性を上げる「チームづくりの取り組み」がテコが効くし、好循環サイクルを組み込めたら最高

・共通言語と共通認識をつくり、実行量を奪うコミュニケーションコストを下げられる

・実行システムの要素は、「目標、実行、組織学習、実行支援システム」の4つ

・いうても最後はやったかやらなかった。不確実性が高ければ打ち手の数が重要

・人材は労働市場での競争も激しく流動性は高いが、仕組みは会社の資産になる



5. 役割を演じること

「役職は機能である」

この考え方が好きですし、すごくフィットします。

職場を離れたら単なる人同士。出口治明さんから学んだことです。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19998430V10C17A8000000

年上年下関係なく、リスペクトをもって役割として接するべきで、不用意にパワーを押し付けることはいけません。

それぞれの役割は、映画でいう主演や監督や衣装さん、大道具さんみたいなもの。勝てるシナリオという脚本を書く人もいれば、演技指導する人、撮影する人もいます。

あくまで、組織を率いることは「役割」です。


*  *  *


ここに書いたことは全て正解だとは思ってないので、「永遠のベータ版」として進化していきたい所存。世の中の変化に合わせて、変わるべきタイミングには、フレームワークや造語も進化させていくといいと思います。


なお、優秀なメンバーに恵まれたからこそ、この強いチームづくりのシステム構築がスムーズにできたのかもしれません。

脱社畜だとか、フリーランスとか個人の働き方に光が当たることが多いですが、チームで働くのも楽しいですよね。人間は一人で生きられません。


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