出会いに出会う。古本屋。
「いつからいるの?」
「一体誰を待ってるの?」
棚から動かずただただ待ち続けている本達を見ていると、ついそう問いたくなる。
ぴかぴかの本じゃない。
ここにあるのは、一度誰かの手に渡った本たち。
「一度」だけではなく、何度となく色んな人の手に触れられてきたのかもしれない。
パラパラとページをめくれば、新品の本と違い、すっと手に馴染む感覚がある。
前の「読み手」の存在を感じる。
今度は私が新しい主になってもいいだろうか?
そう問うても、何も答えない。
ただそこにあるだけ。
だからこそ、自分が手にした出会いに運命的なものを感じてしまう。
そこから始まる新たな世界が垣間見える。
行ってみようか。
行けるだろうか、この本と。
半信半疑の期待を胸に、レジへ向かう。
「今日からお前はうちの子だよ」
帰ってきて、自分の本棚に並べる。
新たな家族。
さあ、どんな世界なのだろうか。
期待通りか、期待以上か、期待が無駄になるのか。なんだっていいじゃない。
ページをめくっている時間は、ものすごく満ち足りているのだから。
また誰かに出会えるだろうか。
もっともっと、素敵な世界に出会えるだろうか。
そんなワクワクする出会いが隠れているから、古本屋通いはやめられない。