キーボードの「打ち方」の提案
キーボードが文房具に
私達は学習端末が「文房具」になる新しい時代にいます。この時代に向けて
文部科学省は、小学3年生、4年生から文字入力を指導する計画です。
参考1:「教育の情報化に関する手引」
また、その文字入力の指導は、先生に期待されています。
「文房具のように端末を普段から活用して文字入力の経験を積み重ね、多様な文字の入力方法について教員がサポートしていき、文字入力の速度や正確性を高めることが重要だ。」 参考2:令和3年度の調査結果の報告より
「教員がサポートしていき」とありますが、
先生が文字入力の指導を行う準備ができているとは言えません。
誰もが認める「文字入力の指導方法」が確立していないからです。
こうした環境を踏まえ、「文字入力の学習方法」:「打ち方」確立
のための学習方法を提案させて頂きます。
文部科学省の取り組み
「キーボードなどによる文字の正しい入力方法」と書かれていますが、
情報活用能力の調査では、「キーボードによる文字入力」の改善ポイントが示されているので、「キーボードによる文字の正しい入力方法」の指導が計画されていると理解するのが正しいと思われます。
児童生徒の情報活用能力を知るための調査が継続的に行われています。
平成27年度(2015年)調査の「文字入力」についての報告では、
「濁音・半濁音・促音を含む漢字やカタカナの単語の入力は、正しく入力できる児童が極めて少ない」と報告されています。
「改善ポイント キーボードでの文字入力」
授業での指導の改善ポイントは、次の2つです。
1つ目 「■基本を守った操作の指導」
2つ目 「■日本語入力システムを使う指導」
文字入力 求める力は 40字/1分
参考2:令和3年度の調査結果の報告より
詳しくは、先生に考えてほしいこと 2
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1分間に A4 用紙の1行(40 字程度)の文字入力ができる児童生徒は、
小学校では 2.3%、中学校では 6.4%、高等学校では 13.9%であった。
端末・アプリケーションを活用した学習場面において、自分の考えを表現するためには、スムーズに文字入力できることが重要だと考えられる。
文房具のように端末を普段から活用して文字入力の経験を積み重ね、多様な文字の入力方法について教員がサポートしていき、文字入力の速度や正確性を高めることが重要だと考えられる。 (原文のまま)
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この報告には、文字入力は先生が指導し、求める文字入力の力は、
40字/分と書かれています。(遠回しにですが、この様に読めます)
次は、調査結果の児童生徒の文字入力の力です。
1分あたりの文字入力の分布
小学5年生の平均は15字/分 目標:40字/分との差
5年生の文字入力は平均15字/分で、目標40字/分と開きがあります。
鉛筆の「書き方」を学習せずに書くのと同じで、スムーズな入力40字/分を目指すには、基礎から順序よく学習することが必要です。
⇒ ホームポジションを守った操作 (説明へリンク)
⇒ 手や指の正しい構え方 (説明へリンク)
⇒ 基礎練習と実践練習 (説明へリンク)
この内容は
改善ポイント1つ目「■基本を守った操作の指導」と同じです。
学校の現状への配慮も必要
1)文字入力を指導する教科、時間が定まっていない。
2)文字入力の指導に慣れた先生が少ない。
3)学習範囲が未定(日本語入力でよい、半角英数記号の入力まで必要)
これらのために、次の機能が必要です。
1)始業前、授業の最初、読書の時間、自宅学習など空時間に学習
(練習)できる配慮。
2)先生が側にいなくても学習(練習)できる配慮。
学習内容を説明し、操作方法をアニメーションの動画で示すなど。
3)「書き方」のように手本を表示し、日本語入力システムを順序よく学習
(練習)できる配慮。
4)漢字かな混じりの日本文の入力から、英文やプログラム入力の深い学び
まで、一人ひとりのニーズに合わせた深い学びができる配慮。
こうして開発したシステムを「打ち方」と名付けて提案します。
タイピング、タッチタイプでなく「打ち方」で伝わるようにと思います。
「打ち方」の提案
「打ち方」は日本文からプログラムの入力まで、学習できるシステムです。
キーボードには約50のキーがあり、約100種類の英字・数字・記号を入力できます。日本文は日本語入力システムを使い漢字、ひらがな、カタカナなど数千の文字を入力することができます。
児童生徒には、漢字、ひらがな、カタカナなど日本文の入力が必要です。
しかし、英語の授業では、英小文字・大文字・記号の入力が、数学や理科の授業では、数字や記号の入力が、中学技術、高校情報の授業では、プログラムの入力が必要となると思われます。
学習端末の利用が進めば、文字入力のニーズも変わっていくと思われます。「打ち方」は、児童生徒の発達段階に合わせ、日本文からプログラムの入力まで、無理なく学習できるようにしたシステムです。
先生の誤解
「文字入力」指導の「改善ポイント」が文部科学省のウエブサイトに掲載されていますが、先生に共有されてるように思われません。
「練習ソフトの良し悪しに関わらずキーボード練習をすれば、文字入力の正確さや速さは向上する」と考える先生が多いからです。しかし、「■基本を守った操作の学習」への配慮がないと不適切な癖がつく可能性があります。
改善ポイントの先生への周知が望まれます。
⇒ ホームポジションの大切さ
⇒ 練習方法の違い 練習が続かない理由
日本語入力システムの学習にも配慮
ここで提案する「打ち方」は、「■基本を守った操作」と同時に、
「■日本語入力システム」が無理なく身につくようになっています。
「打ち方」について、練習内容の順番に説明させていただきます。
ローマ字の表について
ローマ字入力の練習に当たって、教科書のローマ字表では入力できない文字があるので練習する文字を追加します。
文字の追加では、小学3年生が学習しやすいことを優先します。
この表では、ヴェニス ヴァイオリン ヘディング ディズニィ
ウィスキー ローマ などが入力できません。
左の表は、1991年内閣告示の『外来語の表記』で、外来語のほか外国
の地名・人名の表記のための文字(13字)です。
右の表は、外来語や外国語の地名・人名などを原音や原つづりになるべく近
く書き表そうとする場合に用いる文字(20字)です。
V と L を使うと外来語で使われる33字が入力できるようになります。
記号「ー」の追加で ウィスキー ローマ等が入力できるようになります。
外来語や外国の地名を入力できるローマ字の表は、次のようになります。
ローマ字は、アルファベット21字と「ー」で
ローマ字入力に必要なアルファベットの数は21字です。
あ い う え お や か さ た な は ま ら わ が ざ だ ば ぱ ゔ ぁ
A I U E O Y K S T N H M R W G Z D B P V L
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
ローマ字入力に必要な記号の数は1字です。
「ー」
練習は、ローマ字50音表の順に進めます。
ローマ字入力を優先して練習
アルファベット21字と記号「ー」を使いローマ字入力から練習します。
アルファベット21字の中に「C 」と「X」がないので、ローマ字入力は、アルファベットの「A ~ Zまで」の練習よりも易しいからです。
「ゆっくりやれば、速くなるキー入力練習」
「書き方」は、手本を見て「ゆっくり」「丁寧に」練習します。
「速く、速く」と急ぐと好ましくない癖が付いてしまいます。
「打ち方」も同じです。
慣れないのに急ぐと、好ましくない癖が付いてしまいます。
「指ならしの練習」
ローマ字入力の練習の前に、ローマ字入力で使うアルファベット21字を
練習します。
ローマ字入力で使うアルファベット
A I U E O Y K S T N H M R W G Z D B P V L
の21字を 「ホームポジション」「人差し指」「中指・薬指・小指」に
分けて練習します。
ホームポジション 5字
図のように、指を置いて、下へキーを押します。
ホームポジションの8つのキーを押していますが、ローマ字入力で使う
アルファベット21字の内の ASD KL 5字 を打つことができます。
人差し指 で打つキー 10字
ローマ字入力のアルファベット21字の内の10字を打つことができます。
左手で5字 右手で5字 を打ちます。
中指、薬指、小指 で打つキー 6字
ローマ字入力のアルファベット21字の内の6字を打つことができます。
左手 中指 1字 、薬指 1字 、小指 1字
右手 中指 1字 、薬指 1字 、小指 1字
1字ずつなので、覚えやすいです。
指ならし練習に続いて、ローマ字50音の練習をしますが、記号「ー」以外は、始めてのキーはありません。動かし方を練習したキーを組み合わせてローマ字50音の入力の練習をします。
ローマ字50音の練習
練習は、キーの押し方を練習する基礎練習と、日本語入力システムを使った実践(じっせん)練習を組み合わせて練習します。
基礎練習 キーの「押し方」を練習します。
指をホームポジションに構えて、目的のキーを押す練習をします。
構えた指を動かす方向と距離(長さ)に慣れる練習をします。
⇒ ホームポジションを守った操作 (詳しい説明へリンク)
⇒ 手や指の正しい構え方 (詳しい説明へリンク)
基本を守る練習で、正しいキー操作を効率よく身につけることが出来ます。
日本語入力システムを使う練習
日本語入力システムの練習を実践(じっせん)練習と名付けます。
「■日本語入力システムを使う学習」を早くから練習します。
文字を日本文にする実際に役に立つ実践的な練習です。
"AIUEO"の基礎練習に続け、"あいうえお"と入力します。
キーを押す感覚を忘れない間に、"あいうえお"と入力する効果は絶大です。
小学3年生でも、ローマ字入力が理解できます。
実践練習は、問題文を入力欄に入力する練習です。
次のような画面で練習します。
「あいうえお」と入力し未確定の状態をEnter キーで「確定」します。
あいうえおの入力の練習と併せて、Enter キーを「確定」と「改行」に、
使い分ける練習をします。
先生の代わりの「ガイド機能」
先生も授業では一人ひとりの子どもの横で教えることが出来ません。
横にいるように、先生の代わりに教えるガイド機能を備えています。
次のアニメーションは、「あいうえお」のガイド機能です。
ローマ字50音は、次のメニューで練習します。
基礎練習「あ・や行」 ⇒ 実践練習① ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ④
基礎練習「かさたな」 ⇒ 実践練習① ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ④
基礎練習「はまらわ」 ⇒ 実践練習① ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ④
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ローマ字入力に使うキー記号「ー」の「打ち方」
のびる音「ー」まで練習したら変換の練習に進みます。
変換の練習
ローマ字入力で入力したひらがなを漢字に変換する練習をします。
変換の練習の機能をガイド機能で、紹介します。
漢字変換の練習
文の区切りの練習
同じ読みでも、変換する位置で、変換の内容が変わります。
次の問題文「ここではきものをぬぐ」は、
「ここで」「はきものを」で区切れば、「ここで履物を」
「ここでは」「きものを」で区切れば、「ここでは着物を」
になります。適切な文節区切りの理解と練習が必要です。
「打ち方」の練習では、文の区切りの練習は、大切な練習で、
効率の良い文の区切りについて学習します。
文の区切りの練習をガイド機能で説明します。
文の区切りの練習は、文字入力の効率を上げるのに大切です。
日本語入力システムを使いこなすために役に立つ情報を次のリンク先に、
書いています。クリックして確認して下さい。
⇒ 日本語入力システムを使いこなす (1)
⇒ 日本語入力システムを使いこなす (2)
文章基礎練習
「変換の練習」の次は文章入力の効率を上げる役に立つ練習をします。
「文章基礎練習」としてまとめています。
文章基礎練習の内容をガイド機能で紹介します。
■「、」と「。」の練習
文章には、かならず「、」と「。」が出てきます。
まず、「、」と「。」の練習をします。
■よくでてくる言葉の練習
文字入力が正確で速くなるのは、打ちにくい間違いやすいキーは、丁寧に打ち、よくでてくる言葉をさっと一気に打つことで速くなります。
「その」、「いました。」などよくでてくる言葉を
一気に打てるように練習をします。
■かなづかいの練習
通る を 「とうる」として変換すると「と売る」となります。
先生 を 「せんせえ」として変換すると「センセ絵」となります。
読みを間違えて、修正すると効率が悪くなります。
入力するときは、仮名遣いを注意して入力する必要があることを学びます。
正しいかなづかいの練習をします。
■変化する言葉の練習
「言う」は
「言わない、言います、言う、言うとき、言えば」のように変化します。
変化する言葉を練習すると、効率よく入力できるようになります。
変化する形の練習をしてしゃべるように入力できる練習をします。
■文章練習
文章基礎練習のまとめた文章練習です。
文章入力の大切な要素を一つの文章にまとめています。
繰り返し練習することで、文章を効率よく入力する練習ができます。
豊富な文章問題で練習
ローマ字入力、変換練習、文章基礎練習を終えたら、新しいタブ「文章練習」を選んで、文章練習へ進みます。
70字から850字まで、90問弱の豊富な問題を準備しています。
次が、文章練習のメニューです。
文章練習問題(例)
低学年の子どもでも高学年向けの文章練習ができるように、問題には、ルビをふっています。
メニューからレベル1 声高らかに(1)を選ぶと
次の練習問題が表示されます。
「採点する」ボタンを押すと、問題文と入力文を比較して、
誤字、余字、脱字を自動採点した結果が表示されます。
入力時間、入力速度、も表示されます。
「打ち方」のまとめ
ホームポジションから指を動かす練習
正しい手本でのローマ字50音の練習
日本語入力システム(IMEなど)を使う練習
文章を入力する基礎練習
短い文から長い文章へ、文章入力の練習
「打ち方」の機能を駆け足で、紹介しました。
「打ち方」は、文字の正しい入力の学習(練習)から順序よく文字入力の
力をつけるカリキュラムになっています。
情報活用能力の体系
「教育の情報化に関する手引」の「情報活用能力の体系」を図にすると次のようになります。「打ち方」は、この体系のように発達段階に沿って力をつけるカリキュラムになっています。
日本文の入力から発展的な練習へ
「打ち方」は、850字までの日本文の入力の練習をする事ができます。
更に、半角での英文やプログラムの入力の練習ができます。
半角での英文やプログラムの入力は、次のメニューで練習します。
小学生に、英文入力の練習が必要か議論が分かれます。
しかし、「打ち方」で多くの児童が、Shiftキーでアルファベット大文字を打ち、数式や記号を入力できるようになっています。
子どもが望むなら子どもの可能性を広げる半角英数記号の入力の練習機能をシステムで準備するのは好ましいと考えます。
半角アルファベット小文字・大文字、最上段の数字・記号、右手で打つ記号、英文、数式、プログラムの入力の練習機能をガイド機能で紹介します。
アルファベットの小文字の練習
アルファベットの大文字の練習
最上段 数字の練習
最上段 記号の練習
右手で打つ記号の練習
右手で打つ記号(+Shift)の練習
英文入力の練習
数式入力の練習
プログラム入力の練習
「打ち方」のまとめ
ホームポジションから指を動かす練習
正しい手本でのローマ字50音の練習
日本語入力システム(IMEなど)を使う練習
文章を入力する基礎練習
短い文から長い文章へ、文章入力の練習
英文やプログラムの入力につながる発展的な練習
子どもたちへ「打ち方」を!
次のグラフは、紹介した情報活用能力調査の結果で、
1分間に40字以上入力できるグループに、赤枠をつけました。
問題文からわかる必要な練習
次は、調査に使われた文章と類似の文章です。
問題文から練習が必要な文字種類をあげると
⇒ローマ字入力で、漢字、ひらがな、カタカナが入力できる
⇒アルファベットが入力できる
⇒半角の数字や記号が入力できる
これらの練習が必要なことが分かります。
文字入力の指導の真の課題
小学5年生の平均は15字 目標の40字との差
問題文の入力には、次の練習が必要でした。
⇒ローマ字入力で、漢字、ひらがな、カタカナが入力できる
⇒アルファベットが入力できる
⇒半角の数字や記号が入力できる
これらは、改善ポイントの■日本語入力システムを使う学習
と同じです。
更に、目標の40字を目指すには、しっかりした基礎が必要で、
改善ポイントの1つ目「■基本を守った操作の学習」です。
⇒ ホームポジションの大切さ
⇒ 手や指の構え方
⇒ 基礎練習と実践練習
文字入力の指導の真の課題は、
「■基本を守った操作の学習」と「■日本語入力システムを使う学習」
の指導が軽視されていることです。
これらは、鉛筆での「書き方」と同じで、文字入力の基礎・基本です。
時間をかけて確立された「書き方」のように
「打ち方」も時間をかけて作り上げる必要があります。
「打ち方」のシステムが多くの学校で使われ、意見を頂きシステムの改良を続けることができたらと希望します。
また、使い方の情報交換も必要です。そうして、5年、10年後、だれもが認める「打ち方」につなげたいと思います。
1人1台学習端末を子ども達が文房具として使う時代を目前にしています。子ども達の基盤スキル「打ち方」の確立のために、多くの先生方のご指導を頂けたらと希望します。よろしくお願いします。
「打ち方」に準拠したシステムのご案内
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