読書メモ(アナロジー思考)

■感想

・会社からの推薦図書で読んだが、アイデアの再現性という点と学びを最大化するという点で非常に有効であると感じた。また①多様なインプットを意識し抽象的に引き出しにしまうこと ②変化を過去から今までの流れでインプットすること を意識していきたい。個人的に例に出ていた高校の歴史の授業におけるアナロジーは非常に教育を変えるものだと思ったので教員志望の同期に是非オススメしたい本である


■作者と概要

・作者は細谷功。クニエのコンサルティングフェローを務める傍、大学で思考力に関する講義や企業研修を行っている。「新しい発想」をいかに再現性高く出すことができるかの解がアナロジーであることが重要との主張である

■よかったインプットメモ

・アナロジーとは類推のものから推し量るものであり2つの世界の比例関係を利用した思考法である。アナロジーには①自分の理解を早めるためのもの ②他者への理解を促すもの ③新しい発想を生み出すためのもの がある。より物事を抽象化することで活かせる場面が増え、1つ出来事から学べる量が増える。

・表面的類似性ではなく、構造的類似性に着目することでより意味のあるアイデアを出すことができる。【カバンと予算管理の例。2つを資源を分けて再分配するものと捉えた時に、管理方法における分け方の大小のメリットは同じである。(管理の分類が大きいと柔軟性はあるが特定のものは探しにくい。小さいと整理しやすいがデッドスペースが大きいなど)】。具体と抽象の行き来が非常に重要である

・アナロジーは演繹でも帰納でもない「アブダクション」と呼ばれる仮説的類推に当たる。仮説・検証における仮説フェーズで役立つ考え方である。アイデア発想においてより進んだ世界から借りてくることが非常に効果的であり1つの世界では既知のことを利用して他の世界における未知のものに対して知見を得ることができる。

・アナロジーにおける「似ている」を考える際に表面的類似性(属性)と構造的類似性(複数事象の関係性)に分けることができる。ベース領域(対象領域)から貸借距離が離れていて構造的類似性があるものが質の高いアナロジーである。(コインロッカーの電子化とチケット売り場の窓口の1本化の例。課金方法の違い以外に稼働状況の最適化がある。技術の変化により流れが変化したという共通点がある)

・共通点の見つけ方として一般化(上位概念に抽象度を上げる)、単純化(モデル化。該当特徴のみを切り捨てる)、構造化の3つがある。共通点を見つける際に大切なことは①ターゲット領域の目的に合致していること ②適切な抽象度レベルであること ③ターゲット領域での利用方法に関連する相違点も考慮すること(電子書籍と音楽配信の例。物理的媒体から電子媒体へという点では同じだが、物理的なコレクションとしての重要性やレコード⇨CD⇨MDという大きな変化を経験しているか否かという点では異なる) である。

・事業特性をアナロジーで考えるときの代表的な例として①固定費型か変動費型か(稼働率などKPIが変わる)②フロービジネスかストックビジネスか(中長期戦略が変わる)③一見さん重視か常連重視か(顧客の期待値を上げる営業スタイルか誠実さが求められるかの営業スタイルの違い)④下請構造の複雑さ(多重受構造でほぼ外注という点でゼネコンとSlerのは似ているが部品メーカーは部品⇨半製品⇨完成品と構造が異なる)⑤情報の非対称性 ⑥見込み生産か受注生産か(先読みニーズをリスクを負って意思決定するかor個別ニーズに柔軟に早く対応するか)

・歴史構造から未来を予測することは非常に有効である。より個人にフォーカスされる時代が来ることはダニエルピンクが10年前からこの手段で予想していた(巨大な生産手段が不必要になり産業革命前の分散型に戻ってきている中、働き赤田も同様の変化が起こる)


■その他メモ

・ 実は日常にアナロジーは溢れている。隠喩(人生は航海だ)はアナロジーの最たる例である。

・抽象化が得意な人の特徴として①図解してシンプルに表現する ②極論し、二項対立で考える(不必要な要素を取り除く)③格言好きである ④たとえ話が的確である ⑤似顔絵やあだ名をつけるのがうまい ⑥美しさにこだわる(構造的な美しさ。論理構成など)⑦飽きっぽく話が飛ぶように見える 

・応用が効くというメリットがある反面、アナロジーのデメリットとして他者に理解されにくくまた感情にはほとんど訴えないという点がある。現場タイプの人へは具体的な話が好まれる

・ポーターの5フォース分析は業界の構造を抽出するためのものであり類似業界のアナロジーを活用してこそ役立つ(初期は新規参入の脅威、成熟すると代替品の脅威の優先順位が上がるなど)

・入り口から出口までの一連の流れを歩留まりで考えることをパイプラインで例えることが多い。


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