ゆっくり、ゆっくり歩く。お父ちゃんはちょっとだけ嬉しくなった。
あと1か月後に、
出産を控えた妊娠9ヶ月の妻と
1歳半の息子と
駅前のスーパーまで3人で買い物に行く
お父ちゃんが普通に歩いたら
10分程の道のり
でもお腹の大きい妻と
よちよち歩く息子と3人で歩くと
30分近くかかった
「これくらいのペースだと大丈夫だわ」
と妻は
時より負担のかかる腰を摩りながらだけれど
妊娠後期のここ1か月位は
なかなかこうやって身体を動かせなかったので
気持ち良さそうにゆっくりゆっくり歩く
「でんちゃ!」
と息子は
時より線路を走る電車が見えると
指をさしながら大きな声で嬉しそうに叫ぶ
だんだんと長い距離も歩けるようになってきて
自分で自分のベビーカーを押しながら
気持ち良さそうによちよちよちよち歩く
「あなたと二人だけだったら
私は5分で置いて行かれるけど
こうやって三人だと一緒に歩けていいわ」
と妻がいたずらな表情で皮肉を言う
まだ息子が生まれていない時
妻と二人で歩いていると
(無意識で)
目的地まで早く歩き、
いつの間にか妻を後方に置いて行ってしまうことがしばしばあって、とても悲しませた
せかせか、せかせか
何かに追われるように
二人でいるときも
電話をしたり
スマホで仕事をしたりして
ゆっくりなんて歩けなかった自分がいる
だから今はこうやって
駅前のスーパーまでの30分
妻と息子を
しっかり見ながら
何てことない話をしながら
ゆっくり、ゆっくり歩けたことを
お父ちゃんはちょっとだけ嬉しく思う。