お腹いっぱいになるまでピカソを観倒す
ピカソって、名前は知ってるけど作品はそれほど見てないなあ。
「ゲルニカ」とか「アビニヨンの娘たち」とか。
ピカソはギネスブックに載っている
パブロ・ピカソは1881年に生まれて91歳で亡くなるまで、
15万点の作品を残した。
1万3500点の絵画やデザイン、10万点の版画とプリント、
3万4000点の挿絵、300点の彫刻や陶芸品で、
「史上最も多作のアーティスト」としてギネスブックに登録されている。
(『13歳からのアート思考』 p318)
今回は、ベルリン国立ベルクグリューン美術館から持ってきた97点。
ピカソだけではなく、ピカソと同時代に活躍した、
パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティ、
が展示されている。
97点のうち76点が日本初公開で、そのうちピカソの初公開は35点。
全体としてピカソの展示が一番多く、だから、
「ピカソとその時代」
というタイトル。
ピカソが憧れたセザンヌの絵で静かに始まり、
ピカソの展示がどか〜ん、やってくる。
次から次に、ピカソピカソピカソ。
人物画、静物画、風景画。
やっぱり史上最多だからでもあるけど、
どれもこれも「押してくる」力が強い。
わかりやすさを求めてしまう
45歳のときの恋人だったドラ・マールを描いた絵もいくつかあって、
わたしが知ってるピカソ=ぐちゃぐちゃ、か、ぐにゃぐにゃ、
もあるけど、
「え、めっちゃキレイな人じゃん!」
と、わかりやすい、ぐにゃぐにゃしてないドラ・マールもある。
やっぱり「わかりやすい」を求めてしまう。
「正解」を求めてしまう。
写真を加工したような人物画、
写真を加工したような静物画、
写真を加工したような風景画。
目に見えている景色が正解で、
目に見えている人の様子が正解。
そうじゃなく、目に見えているのは正解の一つであって、
遠近法で描かれた世界は正解の一つで、
画家が表現したものも一つの答え。
自分はこの絵のどこが好きか、
という観点でじーっと観ていくといいのかも。
リズムがいい美術展
このピカソ展では、
ピカソでお腹いっぱいになったタイミングで、
クレーの展示に変わり、クレーの色使いの鮮やかさにみなさんホッとするのか、
そしてマティスの展示で、マティスの切り絵アートのやわらかさに安心するのか、
観客はピカソの前よりも足を止める時間が長かったり、
表情が穏やかになったりしていた。
そして、展示の最後は晩年のピカソに戻る。
いいリズム感だった。
釜石に帰ってきてピカソ展の図録を見ながら、
東京いったらもう一回、ピカソ観にいこうかなと思った。
『13歳からのアート思考』 末永幸歩 ダイヤモンド社 2020年