これ以上ないウェルビーイングな温泉
「温泉いく?」
ってことで、いってきた。
東京から中国人の友人が来釜(らいふ)するというので、
新花巻駅までクルマで迎えにいった。
もちろんわたしは運転をしないので、
リタイヤしているマモルさんに同道をお願いした。
マモルさんは温泉が好きで、
新花巻駅までいくんだったら、
ちょっと足を伸ばして花巻の温泉にいこうよ、と。
新花巻駅でのお迎えは10:30だ。
「そんな朝の時間にやってる?」
と聞くと、マモルさんは、
「6時からやってっとこあるから」
じゃあ、ってことでいってきた。
花巻温泉からちょっと奥へ進んだところ、台温泉の「精華の湯」。
日帰り温泉で、宿泊設備はない。
玄関口でチケットを買って、用意してある箱の中に入れて、手続き終了。
番台というか受付というか、誰もいない。
「ただいま席を外しております」
と書いてあるが、
マモルさんいわく、そもそも誰かがいたためしがないらしい。
ふと見ると、
「当店は
お客様との信頼関係により
運営されております。」
という書き置きが。
「当店は、ご利用いただいた方が
幸せになってお帰りになられる施設を目指しています。」
とも。
ウェルビーイングな、時代の先端をいく温泉か。
お風呂代は、税込み480円!
あとからネットで見ると、500円から値下げしたらしい。
時代に逆行する温泉か。
「をとこ」
を書かれた暖簾をくぐって脱衣所へ。
サクサクっと脱いで浴室に入ると、
かすかな硫黄のニオイと熱気。
お湯も熱め。
源泉は100℃に近く加水のみをしていて、
源泉かけ流しのありがたいお湯。
そこに、22時に閉店したあと、
毎晩お湯を入れ替えているらしい。
かけ流しに毎日入れ替え、つまり、お湯の新鮮度合いも驚愕。
朝採れの温泉だ。
・信頼と幸せ/trust and well-being
・この時代に値下げ
・朝採れの新鮮なお湯
ありえるのか? 成り立つのか? と心配になる。
「かみや」というそば屋も併設していて、
そこで儲けるからいいんじゃないか、
という声も聞こえてくるが(マモルさんの声なんだけど)、
たしかに値段はやや高めだけど、
びっくりするほと高くもなく、むしろ良心的。
しかも、営業時間はお昼の3時間、水曜木曜定休日。
30分ほどで退出したけど、
汗がどんどん出てきて止まらなく、
扇風機の風と販売機で買った炭酸水が、
身体とノドにさわやかさを叩きつける。
これ以上ないウェルビーイングなお風呂だ。