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自分を愛せない人達
公開年に観ていたら年ベス!ってやつ。
『シック・オブ・マイセルフ』
観たよ。期待通りエグかったけど良かった。
※以下ネタバレあり
主人公の女の子は所謂ミュンヒハウゼン症候群てやつ。
自らを傷付けたり嘘までついて周囲の同情や関心をひこうとする精神疾患。
この手の方々、めちゃ~くちゃ身近で見てきたんですよ。
20代の時だからSNSが今みたいに普及する前の話だけど、摂食障害を拗らせちゃって、不眠と鬱で隔離病棟にて入退院を繰り返してた時期があったのです、私。
その頃はとにかく早く死にたくて、がっつり病んでたから、持ち物には制限があったし病棟の出入口は鍵を掛けられているぶ厚い鉄の扉だったりして。
そんな私がいた隔離病棟には精神を病んだヤバい人しかいなかったのよ。
病名は挙げたらキリがないと思うんだけど。
で、話を戻すと、やっぱりこの主人公のように『他人から認められたい』って女の子が凄く多かったの。勿論おじさんや青年など男性も居たけど、割合的には女性が多かった。
※寝る病室は男女別。夜は鍵を閉めるから異性間での交流は出来ない。
で、私が入退院を繰り返した2年の間で、ずっと入院してた女の子が2人いてね。
一人は確か20歳位。
Kちゃん。
もう一人は23、4歳位の既婚者Yちゃん。
この2人の承認欲求がとんでもなく強くて。
皆で話をしているときは必ず自分が会話の中心にいたい。
自分が分からない、自分とは関係のない話題になると、2人ともその場で気絶?して倒れてたのよ。
本当にいきなり。バターンって。
パッタリ倒れるからチェブラーシカみたいな、なんか可愛らしいあだ名をつけられていたのが当時20歳位で、可愛過ぎるお姉ちゃんにコンプレックスを抱いていたKちゃん。(あだ名は忘れた)
Kちゃんは転倒防止サンダルを履いて、おでこにいっつも大きな絆創膏を貼っていた。
看護師さんが可愛らしいイラストを描いてあげた大きな絆創膏。
その絆創膏を見て誰かか何かを言うとKちゃんは嬉しそうだった。
気絶なのかどうか、私には分からない。陰であれは嘘だと言ってる他の患者もいたし、中にはKちゃんと仲良くするのやめなって言ってくる患者もいた。
私は病院の中だけの付き合いだと割り切っていたから、全てどうでもいいなと思って、皆には当たり障りない対応と距離感を心掛けていた。
一方、Yちゃんは既婚者。
時々旦那さんが面会に来ていたようだし、一見精神疾患なんてあるようには見えない、背が高くほっそりしていて、今どき~!って感じのギャルっぽいヴィジュアルの子だった。
Yちゃんはファッションが大好きな子だったから、私はお洋服の話をよくしていた。
身長は私(168cm)より高いのにSとかSSサイズの細い洋服ばかりを着ていた。
「むんむちゃんも頑張れば着られるよ!」ってよく言われていたからしっかり覚えている。
摂食障害を拗らせてまともに食事が摂れなくなっていた当時の私は、エンシュアという飲む点滴みたいなものを食事替わりにしながら変なダイエットばかりしていたので、Yちゃんとファッションの話をするのは楽しいけど、そこから体型の話になるのは正直キツかった。あ、なんか嫌…ってなると速やかにその場を離れた。
ただ、Yちゃんも摂食障害だった。
私と同じ過食嘔吐。
多分元々は私と同じで食べるのが大好きだったはずの子だ。学生時代の写真を見せてもらったことがあるが、ポッチャリしていて超笑顔で可愛かった。
きっと、何処かのタイミングで自分の容姿が嫌になったのかな。
旦那様は居たけど、もしかしたら「可愛い」「綺麗」って褒められて喜ぶ女子的な欲求は、旦那様に満たしてはもらえてなかったのかな、分からないけど。
いや、旦那様は褒めてくれるけど、別の誰かに容姿を馬鹿にされて傷付いた…とかかな。
今となっては確かめようがないから分からないけど。
で、そのYちゃんはダイエットの話とか、美の話になると体調を悪くしていたの。
患者同士が集う多目的部屋みたいなところには合皮の横長のソファと会議室みたいな横長テーブルが沢山並んであって、大体お気に入りの決まった席が皆あったんだけど。
Yちゃんの隣にはT君という同世代の男の子がピッタリ寄り添って座っていた。
T君はなかなか逞しい見た目の子だったんだけど、中身は繊細、みたいな雰囲気だった気がする。
AB型だから自分は変わってるみたいな事をよく言ってて、歳上の彼女がいて(本当かどうかは不明)、どんな不調で入院してるのかは明かさずにいた。
Yちゃんが体調不良になり始めるとT君の肩にグッタリもたれる。
T君は無言で『いいんだ、いいんだ、このままにしておいてくれ』みたいな感じで、普通に座ったまま。
いや、普通ではないな、髪撫でたりしてたもんな。
それが始まるとその場にいた入院仲間達もシラケてササ~っといなくなる(私含む)。一部の空気読めない系というか我が道系の方は居残っていたと思うが。
でも部屋自体そこまで広いわけじゃないから、離れたって2人が見えるのよ。
旦那さんいるのに気持ち悪いね…って言われてた。T君だって一応彼女いる設定だったし。
甘えたいから具合悪いフリなんじゃない?とまで言われてた。
そんなKちゃんとYちゃん、2人に共通するのが強い承認欲求。
自分を自分で認めてあげられない、愛せない。そんな自分をとにかく沢山褒めてほしい、見て!私を!見て!凄いでしょ!可愛いでしょ!見て見て見て見て見て見てーーーーーーー!!!!!!!
SNSじゃなく現実でこんな感じだったから、哀れで仕方なかった。
私も病んでたから共感できる部分もあったけど、私は私に向けた愛を好きな人から欲しいって感じだったから。
摂食障害を拗らせてしまった時代の相方はこれまた化け物みたいな奴で、ルッキズムの怪物だった。
太っている=死 っていつも言ってた。「デブになったら死ぬ」とか「鼻の下に鼻クソみたいなホクロがあったら生きていけない」とか、本気で言うような奴。
※こいつの話を書くと気分悪くなるから終了。
んで、なんだっけ。
あ、結局、自分の事を愛してあげられないと、少しずつ周りを巻き込んで不幸にしちゃうよねってこと。
KちゃんとYちゃんが嘘つきだったかどうか本当のところは分からないけど、私が見えていた様子の中では少なくとも2人は嫌われていた。
注目を集めたいだけの、彼女ら本人が中心の会話。嘘。嫉妬。
しかも、私はKちゃんからは異性絡みでちょっとした嫌がらを受けたから結構苦手である笑
Kちゃんは私のことを私の前では“こじはる”と呼んだり(勿論全く似ていない、私がファンなだけ)、「むんむちゃん、スタイルが良くて入院初日から見惚れて目が離せなかった」とか「憧れている」と言ってきていた。
ホストばりに歯が浮くような台詞。(当然信じちゃいない。)
そんな大好きな私に対して!
女特有のい・や・が・ら・せ!!!私のこと憧れてて大好きじゃなかったんかい!!
嘘つき!!!!
てか多分本人は嫌がらせとは思っていない気がするな。
あるとき自分よりも目立ってしまった私の事が気に入らず、放っておけず、『あたしの方が若くて可愛いでしょ~』的なマウンテンゴリラになっちゃったのだ。ナチュラルに。赤ちゃんのように。
その時は結構腹が立ったから以後Kちゃんと話をするのをやめたんだけど、一連の流れを見ていた周りもKちゃんから完全に離れて、程なくしてKちゃんは更に症状が重い患者の病棟へ移った。
※因みにYちゃんは私の入退院後暫くして離婚していた。
承認欲求が強過ぎると自分も周りも幸せになれへんのや。
そうなるに至るには、それぞれ複雑な理由があるのは分かるけども。
だから本当SNSってキツいよね。
心が寂しい人達がひたすら叫んでる。構ってくれ~~愛してくれ~~って。
そんなこと続けても何も変わらないのにね…。
自分から見て見て!ってアピールしなくても、勝手に周りが注目しちゃうような魅力的な自分になるには、自分で気付いて自分に向けた自分だけの努力するしかない。
まず中身がペラペラで人間的な魅力の薄い人には寄っていかないよ。似たようなレベルの友人や恋人は出来ると思うけど。類友。
でも、実際は現状に満足出来ていなくて、もっと心豊かな生活やら素敵な恋人欲しい!なら、ダラダラSNSばっかり見て他人を羨んでるようじゃ厳しいと思う。
素敵な人は素敵な人同士、引き寄せられるから。
悪いヤツは悪いヤツと連むでしょ、空気とか波動みたいなのが共鳴して。
他人軸で生きるから苦しいんだよ。周りの価値観に合わせようとするから。
自分は自分だ!
と言いながらも、毎日SNSなんか見てたら毒されていくよ。
無意識に刷り込まれていく。
どこの誰かも分からんような他人が決めた『凄い』とか『カッコイイ』とか『可愛い』なんて、どうでもいい。
本当の意味で自分のことを大好きになれたら、そういう時にこそ素敵なパートナーに出会えたり、素晴らしい友人に恵まれるんだろうね。
劇中の後半で彼氏が捕まったけどさ。
最初からお似合いカップルだな~って思って観てたもん。
いくら有名な芸術家でも同レベル。
そりゃ、まともな思考の友人は離れるよ。関わりたくないもの。
賢い人は自分の人生に不要な、悪影響を及ぼす人間は容赦なく切る。
デメリットしかないし、同情して優しくするのは友情でもなんでもない。それこそ、その人の為を思うなら思いきり突き放さなくては、アホだねって。
いつか本人が自分で気が付くよ。
Filmarks
☆4.2