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むにみずべ 岐阜編03 長良川鵜飼
気がつけば夜風が気持ち良い季節、
岐阜にも最高の夜の過ごし方があります。
これ知っていますか?
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日本人だけが鵜呑みにする
大して考えず、言われるがままに信じてしまった時、日本では鵜呑みにすると言います。
英語圏では、swallow(燕してしまった)、中国語圏の方は渾崙呑棗(ナツメを丸呑みしてしまった) というようです。
つまり、(表現として)日本人だけが物事を鵜呑みにする訳です。
鵜が、(物事ではなく)魚を丸呑みするのに気付いた人類。さっそく鵜で魚を獲るようになります。
ゆるく首に紐を結び、引っかかる大きな魚だけを鵜匠が素早く籠に出させる、という漁法。
特徴は、夜松明の火で魚を驚かし動いたところを鵜が獲るというものです。
有名だから行くのか、行くから有名になったのか
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信長に気に入られ、接待でも使われていた、
1300年以上の歴史誇る長良川の鵜飼。
源頼朝が京都から伊豆に流される途中で寄り、徳川家康が大阪で豊臣家を滅ぼした後に寄り、京都から東京に来た明治天皇に納められ、
京都帰りのチャップリンが絶賛する。
どうやら有名人が関西から関東に向かうときは避けて通れないようです。
もしこれまで寄らずに東京まで来てしまった皆様は、きっとまだ有名ではないのでしょう。
特に狙うは、長良川が誇る、鮎です。
鵜飼を観ながら食べる鮎
刺身に代表されるように、食材は生で切るだけの調理が最良とされる和食の中で、鮎だけは塩焼きが最良とされました。
和食を作り上げた板前たち。かつて、お造り派と塩焼き派が拮抗した時代もあるのでしょう。今ではすっかり塩焼き派の天下です。
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そんな最良たる鮎の塩焼き、もちろん長良川鵜飼でも食べられます。
それがこの、「食べる水族館魚ぎ」
何と明治から4代続く老舗の魚屋さん、とは思えないポップな名前ですが、その塩焼きは半端ありません。
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ちなみに、このあたりは、長良川温泉という温泉街でもあり、宿泊した鵜飼観覧客のためには、鮎焼き舟なるものも出るのだとか。これも、、良いですねぇ。
そしてお弁当。今回は仕出し弁当菊水さんです。(市内の6店が鵜飼船乗り場まで持ってきてくれます。)
さぁ、鮎の塩焼きとお弁当を携え、いざ乗船です。
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外せない宴会と河原のさんぽ
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出船時間は3つに分かれ、全員が乗船したら順々に漕ぎ出して行きます。しかし観る鵜飼は全て同じ19:45分ごろ開始です。
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では早く出船した舟がどこに行くかと言えば、
乗船場から少し上流に行った、河原。
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ショータイムを待つ間、船着場のままではなく、100m程度とはいえ、漕ぎ出して徒歩で行けない場所に停泊して過ごせるというのも特別感があります。
鵜飼観覧船は、鵜飼を観るだけで無く、その前にここで宴会を開くのが、醍醐味です。
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さらに、他のむにみずべでも多く問題となる、トイレもしっかり対応。
河原に停泊する観覧船の隙間に、ちゃっかりいるトイレ船。男女分かれそれぞれ複数確保されている本格仕様です。
なお、トイレに行かずとも河原をぜひお散歩してください。闇夜に浮かぶ岐阜城、提灯の灯りで照らされ河原に並ぶ観覧船。足元は悪いですが、一見の価値があります。
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そうこうしていると開始を告げる花火が打ち上がり、
いよいよ、鵜飼、始まります
信長印のエンターテイメント
手縄を巧みに操り何羽もの鵜を同時に操る、長良川鵜飼が始まりました。
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今回は、付け見せと呼ばれる、停泊した舟の周りで鵜飼舟がまわるというもの。
別の日、おそらく船の数が少ない日などは、狩り下りという、鵜飼舟と一緒に川を流れていく時もあるようです。
と、最後に総がらみなるものが始まるとの案内がありました。そしてこれは船頭の位置で観ても良いと言われ、いそいそと舟の先端に向かいます。
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一艘ずつ流れてきた先ほどと一転、6艘の鵜飼舟が川幅いっぱいに雁行して並び、長良川の鮎を一掃する勢いで獲る、その名も総がらみ。
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それが終わると、観覧船の横まで来て撤収作業にはいります。まさかの観覧船真横で始まったラストスパート、火の熱さがこちらにもモワモワと伝わってきます。
さすがの信長印のエンターテイメントです。
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飽きさせない炎のスペクタクル、感動です。
ところがどっこい、
最近の若者、鵜飼を見ないらしい。
これは、、どうにかならんのか。船頭としても活動するギリッギリ若者のムニとしても、何か力になりたいっ!!
と言う訳で、若者たちが鵜飼を放って置けなくなるアイデアを、勝手に考えてみました。
ちなみに、岐阜で若者の心を掴む最強アクテビティの参考例は、渓谷を走る廃線跡のレールバイク、ガッタンゴーです。
若者で溢れる長良川鵜飼へ
お忍び鵜飼
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夜、火を使った水上のショーとなれば、本来ならば、ロマンチックさを求め、右往左往するカップル達を狙うことができます。
ハードの整備は難しくなく、今の中央のテーブルを囲む宴会スタイルを逆にして、外向き2人掛けを設置するだけです。簡単に低い衝立で囲んでしまえば、個室のようなお忍び鵜飼の完成です。
季節毎に見頃を迎える絶景
鵜飼は夏の風物詩といえど、その期間は長く5月から10月になります。
各季節そこだけしか楽しめない部分が、もっともっと打ち出されると、
この時に行かなくちゃ!と思います。
例えば東京で活躍する屋形船で言えば、
春はお花見船、夏には花火船、秋からはハゼ釣り天ぷら船。
では鵜飼で言うなら、
初夏はシャッターチャンスの季節。
日が長く、鵜飼の乗船時間はちょうど茜色に染まる夕焼けが見頃です。そしてマジックアワーに煌めく船の灯り。
盛夏は納涼、花火に加え、食べ物で攻めてもいいかも知れません。かき氷や、氷で冷やしたきゅうり売りの舟が来ても良いですね。
(鮎はきゅうりの匂いがする、キュウリウオの仲間ですしね)
そして初秋は、1番外が気持ちの良い季節。水上のビアガーデン、長良川鵜飼麦酒舟としてのイベントもどうでしょう。
特に郡上八幡、関、岐阜、桑名など、長良川沿いの地ビールを大集合させると、他にはないここだけのビアガーデンができそうです。
以上、夏の夜を最高の一夜にする、長良川鵜飼でした。
今年ももう少し楽しめますので、ぜひいってみてください。