初めて毒を体内にイレられたのかもしれない話

なんだか寝付けない夜。


ごめんなさい、出だしから嘘つきました。

寝るのはすぐ寝れたんですよ。

朝、というか早朝。
とても早朝。

まだ暗い時間に目が覚めて。

そうそう、前の日に鶏肉を焼いてたんすよ。
フライパンで。てきとーに。

ジュージューごおごお、焼いてたら。
やば。めっちゃ油が飛び跳ねて。
でも別にビビったりしないで。
普通に短い箸でひっくり返そうとしたんすよ。
そしたらあなた。

ひと粒の油が跳ねたのが見えて、
ゆっくりと右の、二の腕?
え、二の腕って力こぶが出来るとこ?
じゃあ、一の腕?三の腕?

手首と肘の間くらい。
その部分にひと粒の油がちょこんと乗って。

ジュー。って音がして。
しばらくしてから

あちちちちちちっ!!!

(H3小見出し使っちった)

ってちくちくと痛みが遅れて来て

あわてて水で冷やしたんですけど、
小さくて白い水疱が腕にできてしまいました。

そして、早朝。

そうそう。
なんで暗い時間に目が覚めたかって、その火傷の跡が毛布と擦れて、痛くて痛くてその痛みで目が覚めて、もう眠れなくなってしまったんですよね。

その時が、朝の5時くらいで。
起きて、ちいさな火傷の跡に絆創膏を貼って。

久しぶりにこんな朝早くに起きていることにちょっとテンションが上がってしまって、トム・ウェイツのしゃがれた音楽でもかけて、コーヒーでも淹れて、読みかけの本でも読みながら空が明るくなるのを静かに待とうか、ってそんなオシャレな気分になって。

でも。
そういえば夏の始めにキャンプに行った山奥で、このくらいの時間に外に出たら、それはまあ綺麗な朝焼けが見られたな、あれめっちゃ綺麗だったな、って思い出したのが間違いで。

よっしゃ、朝焼けの女神をお迎えしよう!
と、意気揚々と(今思えば邪悪な)ベランダに向かったのでした。

そして、毒。

私が住んでいる場所もまあまあ山の中でして。
ベランダの先にコンビニやマンションも無く、明るい看板や自動販売機、夜道を照らす外灯なんかも全然無いので、それはまあ、ベランダは真っ暗なんです。

漆黒の闇。

夏の朝5時はけっこう明るいのに、秋分を越えると同じ5時でもこんなに暗いのかって思うくらに暗い。和歌的には、ぬばたまの夜。

でもぜんぜん洗濯物とかベランダに干すタイプの人間ですから、ベランダに置いてある物の位置は把握しているし、ベランダ用のクロックスの位置もまあまあ覚えているので、がらがらとガラス戸を開き、なんの躊躇もなく、右足をクロックスが置いてあるであろう場所に踏み降ろしました。

ちくり、と足の裏に違和感を感じました。

小石でも踏んだかな、と思って気にせずに左足もベランダに踏み出し、右足に全ての体重をかけた時、

いっってえええええええ!

なんか右足の裏がいっっっってええええ!!

いやまじほんとめちゃくちゃ痛い!!!

なんかその時、ベランダの物干し竿を掴んだりしたみたいで、物干し竿がガッシャーンっなんて落ちたりするのも構わずに、すぐに家の中に戻って倒れ込み、ガラス戸を閉め、左足でけんけんしながら、奥の壁にある照明のスイッチまで行き、なんとか天井の照明の明かりを付け、その場に倒れこみました。

やっべえ。
画鋲でも踏んだかな?と思ってすぐに足の裏を確認したんですけど、なんにもない。

小石や画鋲や釘、小さなトゲさえも、
足の裏にはなんにも刺さっていない。

きっと、毒

足の裏は綺麗につるっとしているまま。

なんで?
なんでかは分からないけど、良かった。

画鋲とか刺さってたら、抜くのが怖いし。
血ってほんと無理なんで、出てなくてよかった。ほんと。

足の裏にちくちくじんじん痛みはあるけど、まあ、すぐにおさまるでしょう。

こういう時って、ほら、アドレナリンが出るんスよ。
じきにアドレナリンがどうにかしてくれて痛みを軽減してくれることでしょう。

わたし、自分の言動は信用してないけど、自分のアドレナリンは信用しているので。

なんて余裕を持って痛みと向き合っていたのですが、意外に、あろうことか、なかなか痛みは引かないばかりか、ますます鋭くなっていってるような不測の事態。

普通は、ぶつかった、刺さった、切れた、っていう、その瞬間の痛みを100としたら、時間がたつにつれて90→80になっていき、患部を押さえたり、さすったりすることで80→70に鎮静していくもんでしょう?経験上。

それなのにこの痛み、100から110、120→150→250→300!!

びりびりびりビリビリビリビリビリビリ!!

こんな感じでますます痛みは鋭くなり、汗が吹き出て、じっとしていることが出来ず、予測できない痛みと恐怖にうめきながら、情けなく床を転がるしか出来ないのでありました。

床を掃除しておいて、よかった。

絶対に毒

痛みがMAXに差し掛かるころ、たぶんベランダの痛みから15分が経過したあたりで、もう一度足の裏を確認してみると、足の真ん中あたりにポッチがあるんです。

見たことのない穴。

虫さされ?のような赤い穴。

やば。

とうとうUFOにアブダクション(宇宙人にさらわれ、人体に謎のチップを埋められ戻される。記憶は消される)された?

いや、でも記憶はあるし、時間の辻褄は合うし、普通は痛みは無いらしいし、残念ながらアブダクションの線はなさそう。

のたうちまわりながら、じゃあなんなんだよ、この痛みは、って思っていた時、気が付きました。

これは、毒かもしれない。

洗濯物を干す時に、スズメ蜂がベランダの近くを飛んでいるのを目撃したことがあるし、去年はマンションの壁でムカデも見たことがある。

蜂の死骸を踏んでも毒は残っているって聞いた事があるし。

これってけっこう、おおごとかも。

今日のお昼すぎに取引先に訪問する予定、休めるかも。

「蜂に刺されたかもしれないんで休みます」って言ったら怒られるかな。
(実際、めっちゃ心配してくれて休んだ。病院をすすめられたけど病院には行かなかった)

そんな事を考えながら過ごした地獄の時間も、30分を過ぎたあたりから、とめどなく流れていた汗は引き、痛みも軽くなり、あ、歩けるかもってくらいに回復しました。よかった。助かった。めっちゃおなか減った!!

ただそれだけを説明するのにめっちゃ文字数を使ってしまった。
もしかしたら文章が昭和軽薄体っぽくなる毒なのかもしれないっす。とほほ。

けっきょく何の毒虫なのかアブダクションなのか分からないんですが、もう、この痛みはヤダです。

お読みいただきありがとうございます。


ヒュドラの猛毒を塗り込んだ矢に射抜かれ絶望したヘラクレスの不死身を思う朝。

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