町田そのこ「星を掬う」を読んで
いくつもの母娘の物語
それは美しい便箋に綴られるような
幸福な歴史ではなく
ガリガリと銅板を削るように刻まれた
激しく、儚く
そして、とても愛おしい母娘の歴史
それぞれが身を削るような過去を経て
必然でも偶然でもなく
当然のように集った「さざめきハイツ」
ときには目を背けたくなるような出来事も
美しく結晶するための
最後のひと煮立ちだったのだろう
どう決着するのか想像すらできなかったけど
最後の数ページに
主人公や登場人物だけでなく
読み終えた自分まで
報われた気持ちで満たさ