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「違法の冷蔵庫」

我が家の冷蔵庫は僕が食べたいと思った物が翌日には入ってた。それは近所の昭夫くんちで見たプリンだったり、TVでみた役者さんちの冷蔵庫に入ってる大きなお肉だったり、思ったものは必ず翌朝には入ってる
子どものうちはそれを「魔法の冷蔵庫」と呼び気にも留めなかったけど、少しずつ心の片隅に引っかかるようになりいつかその謎を解き明かそうと機会を伺っていると、今日両親が旅行で留守にするというので誰が入れてるのか今夜待ち伏せすることにした
すると夜中の2時過ぎ、ダイニングテーブルの下で息を潜ませる僕の前にそいつは現れた
暗闇の中そっと冷蔵庫を開けたとき、庫内の明かりに照らされた姿は紛れもなく僕が子どもの頃に亡くなったおじぃちゃんだった
おじぃちゃんっ子だった僕のため亡くなったいまも、僕が食べたい物を毎晩こうして持ってきてくれてたんだ
すべてを悟った僕は思わず叫んでいた
「おじぃちゃん!それ違法だよ!」


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