吉村萬壱「ハリガネムシ」を読んで
図書館で長嶋有のエッセイを読んでると
その中でさらっと紹介されていたこの本
何気なく手に取ってしまったことを後悔した
凄まじい暴力とリビドーの世界
高校教師をしている主人公「慎一」は
ソープ嬢「サチコ」と知り合い
関係を深めるごとに
サチコの中にある被虐性を見出し
同時に、自分の中にある嗜虐、加虐性に
気づかされる
リビドーの赴くまま突き動かされていく
そのエネルギーこそが
自分の中に巣食ってしまったハリガネムシ
そのものなのだろう
「リビドー」といってしまうと
とても陳腐に感じられるけど
そうとしか言いようのない暴力
、性愛
なぜなら慎一はサチコを自分のものにしたい
といった支配欲や恋愛感情なんて微塵もない
ただ暴力行為の中で得られる快楽こそ
自身を震えるほど満たしてくれる
ハリガネムシに寄生されたカマキリは
水辺へと無意識に誘導され
その身体からハリガネムシが水中へ
帰るのと同時に死んでしまう
無意識に芽生え、醸成されていった
嗜虐性愛の行き着く先はどんな世界だろう
手にとって後悔したと書いたけど
気づけば最後まで一気に読み上げていた
まさか、この本をきっかけに
自分の中にハリガネムシが寄生していないか
小さく身震いをし、図書館を後にした