期待と存在価値–ノーヒットノーラン/BUMP OF CHICKEN(B)
ゆるめのメロディと大人しい歌い出しで始まるため、ここ一番の勝負の大舞台に立たされ汗ばむ様な緊張感が漂う描写の歌詞とは対照的なのが印象的だ。
野球のワンシーンに例えられてはいるが、好きな事(つまりバンド)を自分のペースでやってきたつもりが周囲の期待が膨らみすぎて戸惑っている藤原基央自身の心の声にも聴こえる。そう考えると、期待に応えることが自分の存在価値だと思っているなかなかにシンドい状況だ。
だが、怯えてその場から逃げ出したいと思う反面、その期待に応えたいと思う気持ちを見つけ出し、あえて「まかせろ!」と胸を叩くことで自分を奮い立たせている。
震える足と手を周囲に悟られない様に、曲調も弱気な己を鼓舞するかの様に徐々に音を弾ませていく。
(said B)
「ノーヒットノーラン」said Aのレビューはこちら
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?