防災について考える(32)【災害対策基本法とは?~行政の防災対策のキホン、でも実は、、~】
みなさん、こんばんは!
今回は、行政が防災対策・災害対策を行うにあたっての基礎となる法律について考えていきます。
みなさんは行政が防災対策・災害対策を行う根拠となっている法律をご存じですか?
「いやー、知らないなー」という方がほとんどだと思います。むしろそれが正解の対応です。普通に生活していたら耳にするような法律でもありませんし。
これは、タイトルにもありますとおり「災害対策基本法」という法律で、昭和34年に全国で猛威を振るった伊勢湾台風の被害を受けて、昭和36年に制定されました。
なお、この法律の制定以前は、災害が発生するごとに、関連法律が制定されており、他法律との整合性について充分考慮されないままに作用していたため(=つまり、ちぐはぐなところがあった)、防災行政は充分な効果をあげることができなかったそうです。
そのため、 伊勢湾台風後、 このような防災体制の不備を改め、災害対策全体を体系化し、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図ることを目的として災害対策基本法は制定されました 。
その後、この法律は、大きな災害を経るごとに、改正が行われ現在に至ります。
さて、この法律制定の背景については先にお示しした通りですが、実はこの法律には、防災に対しての責務がそれぞれ国、都道府県、市町村、指定公共機関及び指定地方公共機関、住民等の順に規定されています。
よく見ると”住民等”についても、防災に対する責務が定められているんですね。行政の責務が定められてるのは、ある意味当然と思われるかもしれませんが、これはほぼほとんどの人がご存じないことだと思います。
では、住民等の責務は法律上では、どのように定められているのでしょうか?
(住民等の責務)
第七条 地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、基本理念にのつとり、法令又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
2 災害応急対策又は災害復旧に必要な物資若しくは資材又は役務の供給又は提供を業とする者は、基本理念にのつとり、災害時においてもこれらの事業活動を継続的に実施するとともに、当該事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する防災に関する施策に協力するように努めなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、基本理念にのつとり、食品、飲料水その他の生活必需物資の備蓄その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、防災訓練その他の自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。
法第7条にて、このように定められています。が、正直ちょっと難しく書かれている印象がありますね。大きく分けて3つ示されていますので、かみ砕いてみましょう。
① 地域内の公共的団体や、防災上重要な施設を管理する人は、この法律等で決められた内容の責務を果たす必要がある。
② 災害時に応急対策を実施できる事業者は、この法律で定める基本理念にのっとり、災害時も事業を継続できるようにし、その事業にかかわる国または地方公共団体の災害対応業務に協力できるよう努力してほしい。
③ 住民は、この法律で定める基本理念にのつとり、次に示すような取り組みから防災に寄与するよう努力してほしい。
・食品、飲料水その他の生活必需物資の備蓄や自ら災害に備えるための手段を考える
・防災訓練その他の自発的な防災活動への参加
・過去の災害から得られた教訓を伝承すること
このように記載すると、多少はわかりやすくなったのかなというところですが、③がすべてのみなさんにかかわるものになります。
しかし、③については、よくよく考えてみると、そんなに難しいことが示されているわけではありません。要約すると、備蓄をして、訓練に参加して、災害の恐ろしさを忘れないことになります。
普段から意識付けができていれば、取り組めている内容ですよね。
ぜひ、みなさんも、自身や大切な人の命を守るため、この住民等の責務について考えていただき、実践してもらえたら幸いです!
さて、今日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございます。
これからもひとりひとりの防災力アップに役立てればうれしいです!
ではまた!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?