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【ワインレビュー】ピポリ アリアーニコ デル ヴルトゥーレ 【濃厚さとフレッシュさの絶妙なバランスがここに】
ピポリ アリアーニコ デル ヴルトゥーレ
Pipoli Aglianico del Vulture
〜濃厚さとフレッシュさの絶妙なバランスがここに〜
生産者
VIGNETI DEL VULTURE by FANTINI GROUP
年間生産量 : 800,000本
所有ブドウ畑 : 66.0ha
170ha(契約畑)
平均樹齢60年(80年のものもある)
葡萄品種:アリアーニコ 100%
熟成:60%をステンレスタンク、40%バリック大樽で10ヶ月間
アルコール度数 : 13.50%
年間生産本数 : 60,000本
国:イタリア
生産地域:バジリカータ
栽培地域は、バジリカータの西側に位置するポテンツァ県のアチェレンツァ、バリレ、マスキートです。畑で選別しながら収穫します。柔らかく除梗、破砕します。発酵前に醸しを、4~5度で5日間行います。水平式発酵タンクに入れ、野生酵母を使い22~24度で発酵させます。フレッシュさを残し、飲みやすくするため、マセラシオンを短くします。大樽に移し、マロラクティック発酵。60%をステンレスタンク、40%をバリック(新樽でない)で10ヶ月熟成し、さらに3ヶ月瓶で寝かせます。スミレ色がかった、濃縮した赤色。サクランボやマラスカチェリーの強い香り、スパイスやバニラの香りもあります。しっかりとした骨格、バルサムの風味、熟したタンニン、長い余韻があります。濃厚で、パワフルですが、飲みやすさがあります。
こちらのアリアニコ・デル・ヴルトゥーレ・ピポリに使用されるブドウは、畑でまず選別を行いながら手摘みし、柔らかく除梗、破砕します。発酵前の醸しを、4~5度の温度で5日間行った後に、天然酵母使用し回転式発酵槽で発酵。大樽に移しマロラクティック発酵。熟成も大樽で8ヵ月間行います。ラベルは、ヴルトゥーレ火山の溶岩が流れる様子がモチーフとなっています。 こうして造られるワインは、ジューシーかつ厚みのある味わいで、力強いスタイル。熟したタンニンが味わいをまろやかに包み込み、後味には重さを感じさせない飲みやすさが魅力です。ソーセージやラグーソース、赤身のお肉ととても相性のよい赤ワインです。
上記、インポーター等からの引用です。
まとめると以下のようなワインですね。
栽培・収穫について
栽培地域: バジリカータ州のポテンツァ県(アチェレンツァ、バリレ、マスキート)で栽培。
収穫方法: 手摘みによる収穫で、畑で選別しながら丁寧に行う。
醸造プロセスについて
1. 除梗・破砕: 柔らかく除梗し、果実へのダメージを最小限に抑えて破砕。フレッシュさを保ちながら果汁を最大限に引き出す。
2. 発酵前の醸し: 4~5℃の低温で5日間実施。
3. 発酵: 水平式の回転タンクを使用し、野生酵母で発酵(温度:22~24℃)。
4. マロラクティック発酵: 発酵完了後に大樽で実施。
5. 育成: ステンレスタンクと大樽(※新樽ではないもの)の併用し10ヶ月育成を行う。瓶熟成を3ヶ月行い、味わいを落ち着かせる。
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ワインの特徴
色: スミレ色がかった濃縮した赤色。
香り: サクランボやマラスカチェリー、スパイス、バニラが混ざり合った複雑な香り。
味わい:しっかりとした骨格を持ち、熟したタンニンが味わいを包み込む。バルサムの風味がアクセントとなり、長い余韻が特徴。パワフルで濃厚ながらも、飲みやすさが際立つ。
食事との相性: ソーセージ、ラグーソース、ラム肉と特に相性が良い。
以下、私の考察を含めた補足情報です。
テロワールについて
この地域はヴルトゥレ山周辺に位置しているため、火山性土壌が特徴です。火山性土壌はミネラルが豊富で、水はけが良く、ぶどう栽培に適しています。また、標高が約500mと南イタリアにしては比較的高く、昼夜の温度差が大きいため、晩熟品種であるアリアニコがしっかり熟します。さらに、アチェレンツァ、バリレ、マスキートといった古い産地では、樹齢60~80年の古木が多く、自然と収量が制限されるため、凝縮感のあるぶどうが得られるのも特徴です。
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https://www.fantiniwines.com/en/wines/vigneti-del-vulture/pipoli-aglianico-del-vulture-doc/
栽培と収穫について
ヴィニェーティ・デル・ヴルトゥーレでは、有機認証は取得していないものの、多くの畑で有機農業を実践しています。興味深いのは、最上位ワイン「Aglianico del Vulture Piano del Cerro」のラベルに蜘蛛が描かれている点です。これは、農薬を使用していない証拠として、農薬に敏感な蜘蛛が多く生息していることを象徴しています。
収穫は手作業で行われ、地元の栽培家から供給されるぶどうを使用しています。また、「畑で選別を行う」という点から、ワイナリー内での選果作業は実施していないと推測されます。ただし、最上位ワインでは二段階選果が行われていることが特徴的です。
醸造について
このワインの醸造は、果実のフレッシュ感とフルーティーさを維持するお手本のようなつくりです。まず、発酵前に4~5℃という低温で5日間コールドマセラシオン(低温醸し)を行います。この工程により、果皮から色素やアロマ成分を優しく抽出し、鮮やかな色と繊細な香りを引き出します。同時に、渋みを抑えたソフトな味わいを作り出します。
発酵は、22~24℃という比較的低い温度で、野生酵母を使用して行われます。この発酵温度帯と野生酵母の使用は、発酵を穏やかに進め、果実のフレーバーをしっかりと保つことを目的としています。また、水平回転タンクを使用することで、果皮と果汁を均一に混ぜながら適度な抽出を実現しています。このタンクの仕組みにより、発酵中のもろみの温度差が均一化され、タンニンと酸味のバランスが取れた味わいが生まれます。
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上の図のようにタンク内にプロペラがあり、発酵中にタンクを回転することで発酵中のもろみを均一にすることができるものです。また、発酵終了後液を抜いたあと、回転させることで皮や種を効率的に取り出せる仕組みになっています。(それでも、すべての果皮や種を取り除くことは難しく、最終的にはタンク内に人が入り、手作業でかき出さなければなりません。これが最も過酷な作業のひとつです。)
熟成について
発酵後は大樽でマロラクティック発酵(MLF)を行い、酸味をまろやかに調整します。熟成は、60%をステンレスタンク、40%を新樽でないバリックで10ヶ月行われ、その後さらに瓶内で3ヶ月熟成されます。
大樽は酸素透過率が低いため、ワインを過剰に酸化させることなく、果実味を保ちながら繊細で複雑な香りを引き出します。一方、ステンレスタンクは酸素透過性がないため、ワインのフレッシュさと果実味を最大限に保つ役割を果たしています。瓶熟3ヶ月については詳細な効果が不明ですが、一定の温度と湿度が保たれる地下の洞窟で行われているため、最終的な味わいを整える工程であると考えられます。
評価
このワインは、ヴィニェーティ・デル・ヴルトゥーレの特徴である火山性土壌や古木から生まれる凝縮感のある果実味を見事に表現しています。低温マセラシオンや水平回転タンクの使用、大樽とステンレスタンクのバランスの取れた熟成が、フレッシュさと果実感たっぷりな仕上がりを実現しています。
僭越ながら勝手にワインに点数をつけさせていただいてますが、
Pipoli Aglianico del Vultureは、5点満点中 3.7点とし、濃厚でありながら飲みやすいスタイルとコストパフォーマンスの良さが際立った1本でした。ラベルもおしゃれで好みです◎。
(いつかどのようにワインを評価しているのか書けたらなと思っています。簡単に言うと価格は考慮せずワインとして楽しめたのかに注目しています。100%独断と偏見での評価です。R point とでも名付けようかな)
最後までお読みいただきありがとうございました。