あずまやの魅力|静けさの中で気づくこと
公園や庭園にある「あずまや」って不思議な魅力があると思いませんか?
「少し座っていきませんか」と、そっと背中を撫でてくれるような落ち着きのある存在感。見かけると吸い寄せられるように足が向かっています。
見つけてもらえるのを待っていたのか、それとも自分が休息を求めているから目に入ったのか。どちらとも言えないけれど、ただ静かに、穏やかにそこに佇むあずまや。
桜の木のそばでは「ここでお花見してごらん」と朗らかに語りかけ、深い森の奥では「よくぞ見つけてくれましたね」と優しく迎え入れてくれる。
茅葺の屋根の下、木の温もりを感じるベンチに腰掛けると、土の香りや葉っぱを揺らす風の音が身体に染み込んでいく。絡まっていた心の糸がするするとほどけて、自然の一部になったような心地よい感覚に包まれるー。
あずまやの魅力は、「しなくてもいいこと」に思える時間を、実はかけがえのないものだったと気づかせてくれるところにあるのかもしれません。「こんなことしてていいのかな」と思うひと時が、振り返れば心と身体を満たし、「ここまでよく来れたな」「次はどこに行こうか」と新たな一歩を軽やかに踏み出させてくれるのです。
普段の生活でも、そんな「あえての時間」を少しだけ持てたら素敵だなあと思います。いつもと違う景色に足を止めたり、思いがけない行動に身を委ねてみたり。自分らしくないことさえ、自分を信じるきっかけに変えていけたら。
あずまやに座る度に、そういった大切なことを温かく教えてもらえる気がしています。
だからわたしはあずまやが好きです🛖