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そうだ、MSWになろう。

大学は福祉系学科だった。
夢のない人間だったので、特にやりたいこともなく福祉職なら食いっぱぐれもないし、勉強してまで福祉の仕事に就く人はきっと優しい人だから働きやすそう。というふわっとした理由で福祉を学ぶことにした。

体力には自信がなかったので、介護職というと気が引けたし、どこか変わった場所で働いてみたいという気持ちもあって様々な場所で就職できる"社会福祉士"に興味を持った。

社会福祉士の勤務地は様々である。
児童や介護、障害はもちろんのこと、学校や刑務所など社会的支援が必要な場所に欠かせない存在である。

社会福祉士という資格を持ち、ソーシャルワーカーとして働く。学校ではスクールソーシャルワーカーと呼ばれるが、病院ではメディカルソーシャルワーカー、略してMSWと呼ばれる。

大学在学中に、大きな超急性期病院で実習した。
平均在院日数7日。
つまり入院して平均7日で退院する病院ということだ。こうした手術などの急性期的な治療をメインにする病院もあれば、脳血管疾患のような回復までに時間がかかる患者を受け入れる、いわゆる慢性期病院という病院もある。

初めて、"働く"という意味合いで病院に通った。
もともと健康体なので、そもそも大きい病院に行く機会は無かったのですが…。

そこで一番印象的だったのが、「病院を退院するからといって、必ずしも元通りに回復しているわけではない」ということ

学生の私は「病院は病気を治療する場所」で、「退院する時は健康になって帰る。」と思っていた。
考えれば当たり前の話だが、病気には後遺症というものがあるわけだし、一度怪我や病気になれば既往として残り続ける。完全に元通りにはならないのだ。

特に高齢者は入院や手術による廃用が進み、大きな病気を患ったあとに元々と同じ生活を同じように営めるケースは少ない。
そこで、私たちMSWが介入するわけだ。
退院後の生活に必要なことはなにか。その人がその人らしく、生活していくのに必要な社会資源はなにか。
院内他職種と、ケアマネなど院外の他職種と連携して退院後の生活を考える。

患者や家族、関わる全ての人の想いを聞くことは難しく、考えさせられることばかりで、つらくしんどい時もあったが、MSWとして働いた6年は、間違いなく、社会人の私の基盤となっている。

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