親ガチャが話題になる前の話、奥山さん
こんにちは、総合病院のMSWです。
オチのない話をします。
(名前は仮名です)
奥山さんには息子が二人いて、次男は野球選手です。
数年前に引退したし、トップスターではないので私は知りませんでしたが、どうやら中堅どころの内野手(あれ、外野手だったかもしれません)。
石田純一の奥さん、東尾理子さんの父上ともちょっとだけ関りがあったらしく、サインボールをお持ちです。
そしてそれを、とってもとっても大事にしている奥山さん。
でも、自宅の離れに同居しているのは長男家族です。
ね。これは「あるある」。
奥山さんは自分でも認めていますが、次男をそれはそれはかわいがって育てました。
お金もつぎ込み、野球関連のイベントには欠かさず参加し、週末も次男のために費やされました。
その甲斐があって、次男はプロ野球選手です。
あら、長男は?
長男は高校卒業後に、地元で就職しました。
長男について、奥山さんが語るべきことは、それだけだそうです。
あら、そうですか。
じゃあ、今は?
次男は滅多に帰省しません。
連絡も寄こしません。
お金だって、支援しません。
奥山さんは、年金15万円ほど(2か月で)。
当然、毎月の生活費には足りませんから、長男が援助しています。
奥山さんは脳梗塞後で半身不随。
トイレで失敗すれば、自分で掃除をすることはできません。
そして、それを長男は知っていますが、特に何もしません。
奥山さんは何か失敗があれば、週3回のヘルパーを待つしかないのです。
人生って、こんなもんよね。
ある日、長男と話しましたが、そのときの言葉はこうです。
(長男は自分の受診のために来院していました)
放り出さないだけ、自分はエライと思わないとやってられない。
自分と弟にかけられてた金額も、手間も、他人くらいの差がついている。
自分が、金だけは出しているのは、今さら母親に寄りかかられたくないから。
「親ガチャ」って言葉が話題になる10年前の話でした。