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オランダ国立オペラ「魔笛」 (作品予習&生演奏の感想) | アムステルダム音楽旅
1年前のフランス国立ラン歌劇場(ストラスブール)で遭遇した衝撃の巨大なザラストロ様を超えるスーパー「魔笛」の鑑賞となるか?!
作品予習 |ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮サイモン・ラトル
作品の一般的な解説はWikipediaでもご覧ください。
少しおかしな(ユニークな)作品予習は、2022年12月フランクフルト&ストラスブール音楽旅の予習編をどうぞ。
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生演奏の感想|オランダ国立オペラ&バレエ、指揮リッカルド・ミナージ
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あれれ!
暗くなったと思ったら、いきなり演奏が始まってしまったではないか!
指揮者がオケピットに入って、客席に向かってペコリして、お客さんが拍手して、開始ではないのね?!
そもそも、オケピットというほどの「穴」ではなく、オーケストラがいたのは客席と同じレベルの床。オーケストラと客席の間に敷居はない。(ちょっと面白そうなので、最前列に座ってみたかったな!)
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開演前から、指揮者の席に誰かがいるのには気づいていたのだが、指揮者ご本人だったわけだ。リラックスして、オケの中というか背景に溶け込んでいるような感じでオーラを消していらっしゃった。。
指揮者リッカルド・ミナージの名は最近どこかで何度か見たことあるような気はしていたのだが、帰国後、まだ試聴していない最近のベルリンフィルのデジタルコンサートホール動画を見てみようと思ったら、彼の名があった。イタリア出身のヴァイオリニスト兼指揮者で、主に古楽で活躍。経歴によると、私も名前を知っている複数の有名な古楽アンサンブルで演奏している。この機会に名前をしっかり覚えたので、今後注目していきたい。
2023年12月20日
Dutch National Opera & Ballet
DIE ZAUBERFLÖTE
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Musical direction: Riccardo Minasi
Stage direction: Simon McBurney
Sarastro: Christof Fischesser
Tamino: Mingjie Lei
Der Sprecher: Frederik Bergman
Königin der Nacht: Rainelle Krause
Pamina: Ying Fang
Papageno: Thomas Oliemans
Monostatos: Lucas van Lierop
Papagena: Laetitia Gerards
出演者の詳細は別サイト(私の鑑賞コンサート一覧 - 2023年)をご覧ください。
序曲が演奏される中、チョークアーティストが舞台の横で「モーツァルト」や「魔笛」、年代などをサラサラっとおしゃれにチョークで書いたり消したりしている。その様子を私たちは中央のスクリーンに映し出された映像で見る。
お調子者のくせに、たまにちょっぴり自殺願望?を持つこともあるパパゲーノ(職業:鳥刺し)の周辺では、いつもダンサー(あるいは役者?)集団が紙を手にピラピラと一生懸命に音を立てて鳥の羽ばたきを表現する。ピラピラピラ・・・
シンプルで美しい演技なのだが、なぜかクスッと笑ってしまう!というのも、オーケストラ団員も、手が空いている奏者はそれぞれ紙を手に、一緒に一生懸命ピラピラ・・・😆
オーケストラは紙ピラピラ以外の場面でも活躍した。王子タミーノが手に入れたフルートは、オーケストラのフルート奏者から提供された!
夜の女王は車椅子に乗って登場。女王のアリアもバッチリ決まった!
3人の少年たちは、なぜか杖をついてヨボヨボの小人のような姿で登場。
陽気なパパゲーノは客席に乱入!
お芝居ではたまにあるがオペラで客席乱入はちょっと珍しい。狭い長い列にわざわざ入り込んで、迷惑顔のお客様たちを立たせて、端から端へ走り抜ける(笑)
タミーノとパミーナは初々しい雰囲気だがしっかり歌える歌手2人。
去年のストラスブールでツボにハマり笑いが止まらなかった巨大な顔の賢者ザラストロだが、今回のザラストロは普通にスタンダードな威厳のある落ち着いたザラストロ様という感じ。
「お!」と思ったのは、奴隷頭で邪悪なモノスタトスがカッコ良かったこと(笑)
きちんとスーツを着てスラリと長身で。いつも思うのだが、モノスタトスが欲しいものは、タミーノやパミーナが欲しいものと同じなのだ。要するに愛が欲しいわけだ。モノスタトスだけ嫌われ者で最後まで不幸というのは可哀想だ。(そう思いませんか?)
オーケストラの楽器だけではなく、爆発や雷などはスピーカーからの効果音を使用していた。偉大なる古典派モーツァルトの作品で電子的な音なんて・・・とは思わない。「魔笛」に限り全然OKだと思う。
というわけで、今回の鑑賞では前回を超える衝撃は無かったのだが、楽しい公演だった。
クリスマス時期のヨーロッパは、実はクラシック音楽オタクにとってはちょっと物足りない。家族や子供向けの似たような公演ばかり。くるみ割り人形、くるみ割り人形、白鳥の湖、メサイア、くるみ割り人形・・・
オペラが上演されるとしてもクリスマスや年末をイメージしやすい「ラ・ボエーム」「こうもり」あるいはドイツ語圏なら子供向けの「ヘンゼルとグレーテル」がある。そして、このモーツァルト「魔笛」もクリスマスの定番上演作品の一つ。子供が登場するから子供向けということなのだろうか?子供から見ると意味不明な場面ばかりだと思うのだが・・・
これらの演目の中では個人的には「魔笛」が最強だと思う。内容は摩訶不思議で多様な解釈が可能だ。この不思議な作品をどう見せるかという演出にも注目したい。
若い王子に興奮するオバサマ3人(笑)
登場するなり「きゃー怖い」と気絶する頼りない王子タミーノ(笑)
強烈な夜の女王
威厳あるザラストロ
3人の可愛い少年たち
陽気だがちょっとネガティブなパパゲーノ
パパゲーノの理想のお嫁ちゃんパパゲーナ
チャラいけどどこか憎めない腹黒いが可哀想な奴隷のモノスタトス
魔法の笛の効果で突然かわいいダンスをするモノスタトスら奴隷軍団(笑)
ザラストが率いる神秘的で怪しげな集団・・・
生まれ変わるなら演出家になりたい人間(←私のこと?)にとって、「魔笛」は演出してみたい場面の宝庫である!
コンセルトヘボウのバーカウンターでは、小さなクッキーをご自由にどうぞという以外、食べ物は提供されていなかったのだが、オペラハウスではデザート類を買うことができた。遠慮なくオランダ名物アップルタルトをいただいた。久しぶりに飲んだシュワシュワのスパークリングワインも旨かった!
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音楽旅2022年12月
フランクフルト&ストラスブールも
見てね!
(個人サイト)
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