【料理本のはなし】小林カツ代の切って煮るだけ鍋ひとつだけ / 小林カツ代
小林カツ代さんと言えば言わずもがなの家庭料理界のカリスマ、レジェンド。
なんでも生涯で紹介したレシピは6000種類を超えていて、出版した本は200冊をこえるのだとか。
今の時代ですら、6000種類ものレシピを紹介するのは途方も無いように思えますが、SNSなどもない時代にそれを達成したのは本当にすごいですよね。
小林カツ代さんの著作についてはレシピ本や料理エッセイ本などかなりたくさん目を通してきました。
その中で、今でも秀逸だと思っていて、ねもやんの自炊生活に大きく影響を与えたのがコチラの本。
本当に題名のとおりで、
「切って煮るだけ鍋ひとつだけ」で
材料をどんどん下ごしらえし、鍋に材料と調味料をガンガン入れるだけで、後はコンロが作ってくれるお鍋を使った料理を50種類以上紹介している、ちょっとエッセイチックなレシピ本です。
料理や工程の写真などはなく、おしゃべり口調で書かれた作り方とかわいらしいイラストでレシピが紹介されています。
季節ごとのおすすめのレシピや、おもてなしになるようなレシピもあります。
おしゃべり口調なので、読んでいるだけでなんだか楽しい気分にさせてくれる本なんですよね。
この本をねもやんが手に入れたのは、学生時代の頃。
その頃、大学の寮に住んでいて、そこは共用風呂に共用トイレ、共用洗濯機に共用キッチンで、狭い部屋の中には小さめな洗面台しかないようなところでした。
当時ねもやんは共用のキッチンは使わずに、部屋の中で自炊していました。
部屋の中に冷蔵庫と電子レンジと炊飯器を置いて、部屋の勉強机の上に1口のIHクッキングヒーターを設置して、狭い中で料理する。
今ふりかえると、それがねもやんの自炊生活のはじまりですね。
そんな環境での料理は本当に大変で、汁物に主菜、副菜など何品も作ろうとすると時間がかかるばかり。
全部出来上がる頃には半分以上のものが冷めてたりして。
そんな中、大学の購買部で売っていて、たまたま手にとったのがコチラの本でした。
当時鍋を使って煮るものと言えば、"肉じゃが"ぐらいしか思いつかなかったねもやんとしては、鍋を使った煮る料理の多様性になかなか衝撃をうけたことを今でも覚えています。
特に、味付けのベースがウスターソースの
チキンのウスターソース煮込み
ポークきのこ煮
や、トマト味の
チキンのイタリアン
段々重ねのチキンシチュー
は、それまで実家では食べたことのないような味で、おいしくてそれはそれはよく作りました。
他にも、こんな理由で、当時は本当にこのレシピにはお世話になりました。
とにかく簡単なものが多い(コレ大事)
とにかくおいしいものが多い(コレメッチャ大事)
切った材料をどんどん鍋に入れられるから調理台が狭くても問題ない
主菜、副菜、スープなど複数品目準備しなくても十分満足できるものが多数紹介されてる
煮ている間に洗い物もできたし、他のこともできる
熱源がIHだったので、火加減や鍋の中の状態を気にする必要がない
タイマー付きIHを使ってて、この本と相性よかった煮物ということもあり、1日経ってもおいしいものが多く、次の日にあたため直すだけですぐに食事をたべられるのがありがたかった
安い材料を手に入れたときに、大量に作ることが出来た
自炊を始めたばかりのねもやんをがっしりと支えてくれた本でしたね。
この本がなかったら自炊が続かなくて、もしかしたら今みたいに料理してなかったかも。とすら思うくらいねもやんにとってはインパクトのあった本です。
当時から持っていたレシピ本はその多くを処分してしまっているのですが、この本は常に処分の対象外であった、ねもやんにとっては大事な本です。
今でもたまにこの本を開いて、ホットクックを使って料理をすることも。
この本で紹介されている豚梅酒煮とかメッチャ好きなんですよ。
他にも、ねもやん邸のおでんはこの本のレシピがベースになってたりと、ねもやんの料理ライフの深いところに影響を与えた本だな、なんて思います。
20年以上前の本ですが、全然色褪せていない秀逸レシピ本です。