『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』を原作TRPG側から紹介してみた
3月31日、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』が公開された。
この世の「ロールプレイングゲーム」と名の付く物全ての始祖にあたるゲームを原作とした本作は、ゲームの映画化である事や日本での異世界モノであるかのような宣伝といった不安要素を吹き飛ばし、実際に見た人からは高評価の連続が相次いだ。
そこでこの機に乗じ、日本公式からはあまり紹介されていない原作との繋がりを中心に紹介したいと思います。本編の内容にガッツリ触れているため、映画を見た後のパンフレット代わりとしてお楽しみいただければ幸いです。
なお、D&Dの基本的な遊び方については下の公式の動画をご覧ください。
動画への補足として、映画で例えるなら、エドガン達一行がプレイヤーが操作するキャラクター、ソフィーナやフォージのようなキャラクターがダンジョンマスターが操作するNPC(ノンプレイヤー・キャラクター)にあたります。
加えて、公開後に映画のプロダクションノートも公開されたため、パンフレット代わりとしてはこちらもお楽しみください。
世界観
「フォーゴトン・レルム」
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』には公式から卓オリジナルまで、無数の世界観があり、『アウトローたちの誇り』では「フォーゴトン・レルム」が採用されています。
詳しくは説明しきれませんが、『ダークエルフ物語』や『シャドウデイル・サーガ』、『バルダーズ・ゲート』など、フォーゴトン・レルムを舞台とした作品も数多くあり、長い歴史を誇る世界観です。
外見としてはある種の「中世風ファンタジー」のテーマパーク的な雰囲気もあり、ビクトリア朝時代のような近代風の要素も混じっています。
やや余談となりますが、かつてこの世界と我々の地球は交流も多くあり、しかし、時が経つにつれ繋がりは薄れていったという設定があります。この世界観に「フォーゴトン・レルム」(忘れられた領域)という題がついているのも、これが由来です。
日本公式にどれだけ原作の知識があったのかはわかりませんが、「異世界」もあながち間違いではないのかもしれません(映画では地球人は登場しませんが…)。
アイスウィンド・デイル
旅の始まりは北方、極寒の地「アイスウィンド・デイル」、その氷原の中にそびえ立つ監獄「レベルズ・エンド」から始まります。
映画内で目立った場所としてはこの監獄とエドガンの家があるタルゴス程度ですが、一帯にはテンタウンズ(十の町、タルゴスも含む)と呼ばれる大小の集落や、ドワーフの暮らす山などがあり、歴代のシナリオや関連小説でも注目される機会の多い地域です。
ソード・コースト地方
アイスウィンド・デイルから南、今回の冒険の主な舞台となるのはフェイルーン大陸西岸の「ソード・コースト」地方。フォーゴトン・レルムの世界観の中でも特に多くの物語が描かれてきた地域です。
作中では「バルダーズ・ゲート」や「ウォーターディープ」といった他の大都市の名前が登場していましたが、これらの街はソード・コーストの海岸沿いにさらに南に進んだ先にあります。
ネヴァーウィンター
「北方の至宝」の異名を持つ、フェイルーン大陸きっての大都市です。
現在のネヴァーウィンターは数十年前に付近の火山の噴火によって壊滅したかつての街の跡地に、ウォーターディープの富豪であるダガルト・ネヴァレンヴァー卿が出資した事を期に復興が進みました。映画の時点では復興がかなり進んでいるようで、新たなソード・コースト北方の中心地となった元気な姿を見せています。
なお、理由は不明ですが、映画でみられた街の遠景は、公式の設定や、映画の書籍で公開されたコンセプトアートからは南北の位置関係が反転していることがわかっています。
アンダーダーク
フォーゴトン・レルム(惑星トリル)の地下には「アンダーダーク」と呼ばれる世界が存在します。そこは地下でありながら菌糸や結晶などで光が確保され、地下に適応した生物が多数生息しており、地上とは全く異なる世界が広がっています。
位置関係
実際に作中に登場した場所の位置関係なのですが、様々な関連書籍などの情報をまとめたところ、以下の通りとなっております。
ゲームの要素
「クラス」
クラスはプレイヤーキャラクターの得意な事を表す分類です。
日本ではこういった概念を「職業」と訳すことがありますが、D&Dのルールブックでは以下のように紹介しています。
クラスは技術や才能や経験の表れですが、その力でどのような生き方をするかはクラスが定義するものではありません。この事は特にエドガンやフォージの項でも重要になってきます。
同調
サイモンが呪文破りの兜を使用しようとする際、何度もエルミンスターの幻影に阻まれています。
これはゲームにおける「同調」を物語に組み込んだのでしょう。D&D第5版のルールでは、一部の強力な魔法のアイテムは、1時間程度の儀式により、心を通わせ自らの魂と結び付けることによって、「同調」することでしか能力を発揮できません。
ルール上、同調には特別判定は必要ありませんが、あれだけ強力なアイテムですから、映画のGM(?)はそう簡単には使わせたくなかったのでしょうか。
主要キャラクターたち
エドガン
本名:エドガン・ダーヴィス / Edgin Darvis
種族:ヒューマン
クラス:バード
クリス・パインが演じるチームのリーダー・エドガンはかつては正義の結社「ハーパーズ」の一員でしたが、家族を養うために誓いを破り、義賊として盗みを働くようになりました。
ヒューマンというのは我々もよく知っている人間です。ゲームのルール上はカタカナというだけです。
海外の情報によれば、彼のクラスは「バード」とされています。鳥の「bird」ではなく、日本語で言えば「吟遊詩人」になる「Bard」です。映画でも彼自身がハーパー時代の表の顔として吟遊詩人だったと説明されていますね。
本来D&Dではバードは音楽やパフォーマンスの魔力で呪文を使うことができるのですが、映画上キャラクターの役割分担のためか、彼自身はあまり使わないようです。
しかし、バードの大きな特徴として、味方に応援の言葉をかけ、様々な判定を成功しやすくする「バードの声援」があり、彼が各所で仲間達にかける発破、リーダーシップがその表現といっていいでしょう。
日本語版の翻訳は総じて原作を知らない人が見ることを優先してカタカナ語を極力抑えた作りになっていますが、エドガンは映画自体での役回りから「盗賊」と呼ばれていました。バードのクラスだからといって、吟遊詩人のようなパフォーマンスの仕事ばかりをしているキャラクターであるとは限らないのです。
この事は実際にキャラクターを作る際のよい参考になると思います。
ホルガ
本名:ホルガ・キルゴア / Holga Kilgore
種族:ヒューマン
クラス:バーバリアン
ホルガのクラスはバーバリアンです。戦士系としては「ファイター」のクラスもありますが、ファイターの訓練された戦術と違い、バーバリアンは怒りのままに力任せで戦います。
未開の地に育った部族の戦士というのがバーバリアンの典型ですが、ホルガもソード・コーストから北方の地に住むウスガート(訳によっては「ウスガルド」とも)という部族群の出身です。
プロレスじみたファイトスタイルは、レベルアップの際に取ることができる特技「酒場流喧嘩殺法」の能力でしょうか。その場で見つけた即席武器や素手による戦闘が強化されます。
サイモン
本名:サイモン・オーマー / Simon Aumar
サイモンはフォーゴトン・レルムの世界に名を残す伝説のウィザード「エルミンスター・オーマー」の遠い子孫にあたります。
種族:ハーフエルフ
エルミンスターの血筋はヒューマンですが、サイモンにはエルフの血も混ざったハーフエルフです。
ファンタジーものなら日本でも長命な事なども含めおなじみのエルフですが、一つD&Dらしい要素を挙げるとするなら、エルフは人間で言う6~8時間の睡眠の代わりに、ある程度意識を保ったまま4時間程の瞑想をするだけで済ませます。しかし、ゲームのルール通りなら、流石にサイモンにはエルフの血が薄くてそのような芸当はできませんが…。
クラス:ソーサラー(荒ぶる魔法)
ソーサラーのクラスは技術や信仰としてではなく、血筋や何らかの外的要因など、ある種の異能として魔法を使う者を表します。
D&D第5版では、どのクラスも序盤のレベルでそのクラスの中でもさらに細かい分類である「サブクラス」を選びますが、サイモンは公式のデータ集(詳細は記事下参照)でサブクラスについても明確に言及されているキャラクターの一人です。
彼は「荒ぶる魔法」のソーサラーらしく、混沌の力を帯びています。劇中では自分の力を制御できないなどといった形で表れていましたが、ゲーム上では100面ダイスで内容を決定する魔法の暴走という形で表現されています。
ドリック
本名:ドリック / Doric
種族:ティーフリング
日本公式では「人間とモンスターの間に生まれ」とありますが、その「モンスター」とは、厳密にはフィーンド=悪魔の類です。
遠い先祖などの悪魔の血を引いた結果として、悪魔らしい角や尻尾を持っています。
フォーゴトン・レルムにおいては、その姿から一般から疑いの目を向けられることも多く、事実彼女も親に捨てられています。ゲーム『バルダーズ・ゲート3』でも、社会から離れた所でお互い集まるティーフリングの人々が見られます。
クラス:ドルイド(月の円環)
ドリックは親に捨てられた後、エルフのドルイド達によって引き取られました。
このドルイドというのは、D&Dにおいては自然と心を通わせる魔法使いです。彼らは往々にして文明とは離れた社会を持ち、それぞれのグループ=円環を通して文明誕生以前の古き教えを守り続けています。
D&Dのドルイドを代表する能力として、動物に変身する「自然の化身」があります。『アウトローたちの誇り』の劇中ではこの要素をフルに取り上げる形となっており、映画の日本語訳でも日本人のファンタジー観として比較的馴染みの薄い「ドルイド」を訳するための単語として使用されています。
公式のデータ集では「月の円環」のサブクラスにあたるとされています。本来ドルイドはあまり強い動物には変身できませんが、月の円環のドルイドはこの変身能力を強化することができ、変身中でも戦闘に耐えうる強靭さを発揮します。
ゼンク
本名:ゼンク・エンダー / Xenk Yendar
種族:ヒューマン
彼はヒューマンですが、「手招く死」を間一髪で逃れた影響か、老化が遅いようです。
クラス:パラディン(献身の誓い)
ゼンクのクラスはパラディンにあたります。「聖騎士」とは言いますが、D&Dのパラディンは大義や信念を魔法に変えて戦う、魔法と武器両方の扱いに優れたクラスです。
魔法により武器を強化し、仲間を癒やすその姿は、『ドラゴンクエスト』における勇者とも重なります。
遺跡でのサーイの殺し屋戦で剣を光らせていましたが、これはパラディンを象徴する能力ないし呪文「神聖なる一撃(ディヴァイン・スマイト)」、もしくは後述する献身の誓いのパラディンの能力「武器聖別化」表現でしょうか。
どちらも自らの魔法を武器に込め、攻撃を強化する能力です。
パラディンのサブクラスはどのような信念で戦うかを表す「誓い」です。
公式のNPCデータ集(またしても下参照)では罪のない人々を守るため戦うゼンクは「献身の誓い」を立てていると説明があり、ゲーム上の能力でも味方を守る事に特化しています。
フォージ
本名:フォージ・フィッツウィリアム / Forge Fitzwilliam
種族:ヒューマン
かつてのエドガンの仲間であり、フォージは前領主のネヴァレンヴァー卿に代わり、ネヴァーウィンターの街の領主となっています。
(クラス:ローグ)
NPCに相当する立ち位置のキャラクターではありますが、公式NPCデータ集(記事下参照)を見る限り、かつてのエドガンたちとの冒険では「ローグ」のクラスにあたる仕事をこなしていたのでしょう。
「ローグ」は日本語で言えば「ならず者」「はぐれ者」などの意味を持っています。これだけだと分かりづらいかもしれませんが、サブクラスとしてシーフ(盗賊)、アサシン(暗殺者)などを持っていると言われれば、イメージしやすいのではないでしょうか?(なお、古い版ではシーフ側がメインのクラスとして存在していたようです)
劇中では本人のまともな戦闘シーンはありませんでしたが、いざ冒険するとなれば解錠や偵察などを任されたのでしょう。
日本公式は実際の内容を鑑みた上で「詐欺師」と呼んでいましたが、エドガン同様にクラス=生き方ではない例と言えるでしょう。
ソフィーナ
本名:ソフィーナ / Sofina
種族:ヒューマン…?
ソフィーナは『アウトローたちの誇り』の主な舞台となるソード・コーストやその北方から遥か東方にある国、サーイを牛耳る魔術カルト「レッド・ウィザード」の一員です。
その一人一人がエリート魔術師であり、日々領土の拡大を目指してフェイルーン大陸の各地に侵略を目論んでいます。
今回は頭領ザス・タムの「手招く死」を起こす角笛を利用していたようです。
現行第5版のルールブックのひとつ『モンスター・マニュアル』の「リッチ」(後述)のイラストとしても、リッチ化したレッド・ウィザードと思われる人物が描かれています。
(クラス:ウィザード相当)
こちらもNPC枠ですが、「レッド・ウィザード」の「ウィザード」の部分に触れておきましょう。
サイモンのようなソーサラーが自らの才能、異能として魔法を扱うのに対し、ソフィーナやエルミンスターのようなウィザードは自らの知識や技術として魔法を扱います。
ゲームのプレイヤーキャラクターとしては、自らの呪文書に研究成果として呪文の使い方をしたため、幅広い種類の呪文を扱うことができます。
ザス・タム
本名:ザス・タム / Szass Tam
種族:ヒューマン(リッチ化)
(クラス:ウィザード相当)
他の主要キャラクター達は本作のためのオリジナルであるのに対し、ザス・タムはサーイのレッド・ウィザード達の長として、シナリオや小説など、数々のフォーゴトン・レルムを舞台としたメディアに登場している歴史の長いキャラクターです。
そして、彼は不死化したことで300年以上に渡って権力を振るってきたリッチでもあります。
リッチは国産のRPGでもたまに登場するため、馴染みのある方もいるかもしれません。ですが、D&Dにおけるリッチは単なるアンデッドではなく、魔術師が儀式によって箱などに魂を封じることで不死性を得た存在です。『ハリー・ポッター』におけるヴォルデモート卿のようなもの、と言われれば馴染みのある方はいるかもしれません(D&Dの歴史的にはこちらの方が間違いなく先なのですが)。
その他の個人名
エルミンスター
本名:エルミンスター・オーマー / Elminster Aumar(訳ゆれ:エルミンスター・アウマルとも)
種族:ヒューマン(不死化)
(クラス:ウィザード相当)
サイモンが呪文破りの兜と同調する際など、サイモンに関してひいひい爺さんにあたる大魔術師・エルミンスターの名前に言及されています。
彼もザス・タムと同じくフォーゴトン・レルムの歴史に名を残す伝説のキャラクターです。
サイモンは「死んだはず」と言っていますが、魔法の女神であるミストラに選ばれ不死になっているはず(エルミンスター殺害未遂のような事件もあったにせよ)なので、サイモンがエルミンスターの事をよく知らないだけなのでしょうか?
エルミンスターもウィザードとして知られているので、サイモンとは魔法へのアプローチが違うことになります。サイモンが上手くいかなかった理由の一つかもしれません。
彼自身魔法で姿を変えることがあるため断定できませんが、一般的なエルミンスター像として上のイラストのように白く伸ばしたヒゲがあり、作中で登場したとされる姿とはイマイチ似つかないものです。
あの像がエルミンスター本人ではないという、原作ファンをあえて疑わせるための演出だったのでしょうか?
余談ですが、彼も時折地球とこちらの世界を行き来することがあり、この世界観の原作者のエド・グリーンウッド氏の家に遊びに行くこともあるそうです。
モルデンカイネン
種族:ヒューマン
(クラス:ウィザード相当)
ネヴァーウィンターの金庫の扉に魔法をかけたり、呪文破りの兜を制作したとされるモルデンカイネンは、「フォーゴトン・レルム」の世界観とは別の世界出身の大魔術師です。
高位の魔術師の中には呪文やポータルなど、他の世界に渡る手段を持っている者も少なくないので、こういったこともあり得るのでしょう。
その他の人型種族
ユアンティ
冒頭、監獄でチラッと映っていた囚人の一人に蛇人間のユアンティがいました。主に南方の熱帯雨林に住み、ヒトと蛇の割合も個体によって異なります。
フォーゴトン・レルムでは他の人型種族の肉も喰らう残忍な種族とされており、収監されていたのもうなずけます。
ホブゴブリン
続いて冒頭でエドガンとホルガのいる部屋に送られた囚人はホブゴブリンです。
ゴブリンは今やファンタジー系でも広く知られていますが、D&Dでは「ゴブリン類」として小さいゴブリンの他にも背が高く統率力に優れた「ホブゴブリン」などがいます。
フォーゴトン・レルムではホブゴブリンの戦士たちは力と武勇を求める武人であり、資源を略奪するべく軍団で行動すると描かれています。
ハーフリング
諮問委員会の一人や、ホルガの元彼はヒューマンのちょうど半分ぐらいの背丈を持つ「ハーフリング」です。
極めて家庭的で、一般的にあまり冒険に出たがらないタイプです。
また、種族単位で幸運に恵まれているとされています。そこ、ホビットじゃんとか言わない
ドラゴンボーン
監獄の評議員や物乞いとして登場したドラゴン頭の種族がドラゴンボーンです。
ドラゴンのような頭や、鱗に覆われた大柄な体を持ち、ブレスも使うことができますが、尻尾がある個体はまれです。
関連するドラゴンの種別によって自らの鱗やブレスも異なり、監獄の評議員のノリジウスは善なるメタリック・ドラゴン(金属竜)の一種、シルヴァー・ドラゴンの血統です。
D&Dの世界観において、主にドラゴンには善のものと悪のものがいますが、その血統がドラゴンボーン個人に影響するとは限りません。
アーラコクラ
同じく評議員のジャーナサンは鳥人間のアーラコクラ。
風の精霊と深い関わりを持つ種族で、成熟も3年と早いですが、寿命は30年程と短いようです。
精霊界の外では高い山の上を好み、あまり物に執着しないそうです。
タバクシー
ゼンクが巨大魚の口から助けた子供やその親は猫人間のタバクシーです。
ネコ科の動物のように出し入れできる爪を持ち、野生に住む個体となれば爪を壁に喰い込ませ高所に登って狩りをします。
モンスター
アウルベア
ドリックの変身先として登場するのがアウルベア。フクロウの知性と熊の筋力を兼ね備えたモンスターです。
D&Dは元祖RPGとして他の作品にも大きな影響を与えているので、もしかすると『ドラゴンクエスト』や『ぷよぷよ』関係などで見たことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。
実は原作のルールではドルイドは普通の動物にしか変身できないのですが、映像映えなどを優先したそうです。TRPGはプレイヤーとGMの間で共有される物語がすべてなのでGM特権、ハウスルールということで。
ラスト・モンスター
処刑場の梁の上で争っていた二匹の生物が、「ラスト・モンスター」です。ラストは”last”ではなく”rust”、「錆」です。
触手で鉄を溶かして食べてしまう、いわば「錆喰い虫」といったところでしょうか(脚は4本しかありませんが)。物体は金属製なので、エサの事で争っていたのでしょう。
アックス・ビーク
時折登場していたダチョウのような鳥は「アックス・ビーク」でしょうか?その名前は文字通り「斧クチバシ」で、クチバシの形からきています。
普通の動物にあたる立ち位置なので特に目立った特徴はありませんが、原作第5版の基本ルールブックにはイラストがないためある意味貴重かもしれません。
ブラック・ドラゴン
死体の回想に出現した酸のブレスを吐くドラゴンが、体色通りの「ブラック・ドラゴン」です。
邪悪な「クロマティック・ドラゴン」の一種で、後に登場するテンバーシャウドも同じクロマティック・ドラゴンに属する「レッド・ドラゴン」です。
こういったシーンで火を吐くドラゴンではなく酸を持ち出すことで、D&Dらしさを狙ったのかもしれません。
ビホルダー
ゼンクに関する噂として、「ビホルダーを瓢箪一つで倒した」というものがあります。
ビホルダーは中央の眼と10の眼柄(がんぺい、先端に目のついた触手のような部位)を持ち、中央からは対魔法領域が、眼柄は即死、石化、念道など、それぞれ異なる光線をはなち、高い知性と狡猾さで知られています。
その知性と偏執的な神経質さから、眼柄の光線は常人の知性からすれば、一見してランダムに放たれているように見えます。
この名前にピンとこなかった方は日本におけるアレコレに関してはご存じなければ「鈴木土下座ェ門」で調べていただければわかりますが、それに関してあまり知られていない事実として、実はどうやら『ファイナルファンタジー2』以降に登場したモルボルは、ビホルダーのランダムな状態異常を与える性質をモデルにデザインされた(極めてぼかした表現)そうです。
インテレクト・ディヴァウラー(脳みそ君 / 動く脳)
地下世界・アンダーダークに踏み込んだ一行で最初に出会った敵対的なモンスターは「インテレクト・ディヴァウラー」(知性喰らい)。
主な特性はゼンクが説明した通り、他人の頭脳を乗っ取ってしまう事です。気づかれてしまえば実質即死もあり得る所でした。
ぽっちゃりレッド・ドラゴンのテンバーシャウド
(※訳ゆれ:センバーチョードとも)
火を吐くのはドラゴンの典型ですが、D&Dではレッド・ドラゴンがこれにあたります。
テンバーシャウドは元々とあるドゥエルガル(アンダーダークに住む別名「グレイ・ドワーフ」)の炉に火を提供する代わりに宝を貰うという契約を結んでいたはずですが、『アウトローたちの誇り』ではどういう訳か脱走しているようです。
公式サイトではレッド・ドラゴン全体が太っているかのようにとれる書き方をされていますが、あくまでテンバーシャウドが太ってしまった特別な個体というだけです。
ディスプレイサー・ビースト
闘技場に放たれた怪物達の中でも、ヒョウ型のものです。尻尾の触手で光を歪め、こちらを惑わす狡猾な生物です。
…というのは『アウトローたちの誇り』やカプコンのアーケードゲームでの描写で、本来の設定上は光を歪めるのは毛皮で、位置が少しずれて見える程度のはずです。映画としてだいぶ見栄えに振り切った改変になりました。
ちなみにこの怪物、SF小説『宇宙船ビーグル号の冒険』などに登場する怪物「クァール」を元ネタとしています。『ファイナルファンタジー』や『ダーティ・ペア』をご存じという方は、こちらの名前の方が馴染みがあるかもしれません。
ミミック
闘技場には宝箱に擬態した怪物がいました。日本のRPGでもおなじみのミミックです。
今回は宝箱として登場しましたが、D&Dのミミックが本当に恐ろしいのは宝箱以外に擬態するものも存在する、という事です。
ミミックだらけの場所に長くいれば、何もかもがミミックじゃないのかと疑心暗鬼になってしまうでしょう。
ゼラチナス・キューブ
闘技場の柱に紛れてゼリー状の物体がいましたが、これが「ゼラチナス・キューブ」です。一辺3メートル程の立方体で、間違って入ってしまった生物を溶かして食べてしまいます。
透明な体は特に暗い場所では視認性が悪く、何も知らない生物が勝手に飲み込まれてしまうのです。
呪文
基本的に現行の第5版を基準として紹介します。
フォッグ・クラウド(サイモン)
まずは回想から。サイモンが追っ手の衛兵を撒くために放った煙は、「フォッグ・クラウド」の呪文です。
単に霧を発生させるだけですが、それだけで目くらましとして優秀なのは言うまでもないでしょう。
チェーン・ライトニング(ソフィーナ)
回想のよみがえりの石板を盗み出すシーン、ソフィーナが電撃でハーパーズの衛兵を退けました。
電撃の呪文はいくつかありますが、相手から相手へ飛び移っていたので「チェーン・ライトニング」です。この時点でかなりの高レベルの呪文ですが、ソフィーナはさらに高いレベルの呪文を使っており……
タイム・ストップ(ソフィーナ)
回想の潜入と最後の対決で二度登場したソフィーナの時間停止呪文は「タイム・ストップ」。吹き替えでは呪文名が直接言及されている数少ない呪文でもあります。
基本的に神でもない人物がたどり着ける呪文としては最高レベルの呪文です。
カウンタースペル(サイモン)
ソフィーナのタイム・ストップに対して2回とも対抗したのはサイモンの「カウンタースペル」でしょう。ゲーム上でも、格上の呪文相手には確実に止められる確証はありません。
ディスガイズ・セルフ?(ソフィーナ)
普段ソフィーナは魔法でレッド・ウィザードのトレードマークである赤いローブを黒く(青く?)したり、アンデッドとしての正体を隠しています。これは「ディスガイズ・セルフ」の呪文でしょうか。
自身の見た目を同等のサイズの生物に変えたりできる呪文ですが、それもあくまで見た目だけで、触れるなどされればバレてしまいます。ソフィーナはローブの色や顔を変えるだけでカバーしたという事でしょう。
ただ、公式のNPCデータ(記事下参照)にはこの呪文に関して言及もなく、色を変えられる魔法のローブだったという線もあります。
プレスティディジテイション?(ソフィーナ)
エドガンとホルガがフォージと面会するシーン、フォージがソフィーナにコーヒーを冷ますように頼んで使用した呪文ですが、「プレスティディジテイション」でしょうか?
これ一つでちょっとした魔法が多数使える優れもので、その効果の一つとして、「小さい物体を冷やしたり、温めたり、風味を付けたりする」というものがあります。
他の冷気系の呪文を使用したという線もありますが、威力が強烈なためコーヒーを冷ますどころではないでしょう。
トランスミュート・ロック(ソフィーナ)
同じくフォージとの面会のシーンで、二人を捕らえるためにソフィーナは魔法で床を流砂に変えます。
『ザナサーの百科全書』収録の「トランスミュート・ロック」は、岩を流砂や泥に変えることができます。
さらに床を泥にするだけでなく、泥や流砂を石に固めたり、天井の石を泥に変えることで相手を圧殺することもできます。
プレスティディジテイション(サイモン)
サイモンの初登場シーン、小さな火を灯したり、草の香りを発生させたのもプレスティディジテイションです。
「1つのろうそく、松明、あるいは小さな焚き火の火を点けたり、消したりする」、「火花のシャワー、一吹きの風、かすかな音楽、奇妙な匂いといった無害で瞬間的な知覚を作り出す」といったこともできます。
(旧い版には指先に火を灯す呪文がある、という情報もあるようですが…)
ブラー(サイモン)
サイモンの芸のひとつとして登場したのが、自分の姿をブレさせる呪文。これは「ブラー」でしょう。
ゲーム上は攻撃が当たりにくくなるとあるので、実際は戦闘でもガンガン使っていける呪文です。
テレキネシス(サイモン)
そうして芸をしている間に、こっそり金目の物を吸い寄せる球(これは何かわかりませんでした)を飛ばして盗みを働くサイモン。
この後罠の橋のシーンでも「テレキネシスには遠いよ」と言っているため、「テレキネシス」の呪文のようです。
文字通りの念力の呪文で、その気になれば戦闘でも使えることでしょう。もちろん、彼がちゃんと発動した上で抵抗されなければの話ですが…。
リバース・グラビティ(サイモン)
盗みがバレてしまい、緊急時にサイモンは呪文を発動しますが、間違って違う呪文を発動、その場にいる全員の重力が反転し、天井に打ち付けられてしまいます。
これは「リバース・グラビティ」の効果でしょう。実はかなり高レベルな呪文で、サイモンの隠された才能が見え隠れしています。
フェザー・フォール?(サイモン)
リバース・グラビティで浮き上がったところから落ちてくるサイモン。明確な描写こそありませんでしたが、かなり安全そうに落ちていたので「フェザー・フォール」の呪文を使ってたのでしょうか?
フェザー・フォールは落下速度を和らげてくれる便利な呪文です。これで冒険には付き物の高所から落ちても安心です。
プロジェクト・イメージ?(ザス・タム)
城で主ザス・タムと会話するソフィーナ。こんな所にわざわざザス・タムが来るわけもないので、おそらく幻像か何かでしょう。
幻像から直接見て会話できるのは「プロジェクト・イメージ」の呪文です。こういった悪役ムーブなどにはうってつけですね。
しかし、おそらくサーイから話していると思われるザス・タムですが、D&D第5版を基準とするとプロジェクト・イメージは数百km程度の距離しか届かず、ネヴァーウィンターとサーイの間は1000kmを優に超える距離があります。この辺りは映画用の脚色なのでしょうか…。
ウィッチ・ボルト(ソフィーナ)
ハエに変身して城に忍び込んだドリックに気づき、電撃を飛ばすソフィーナ。
先程のチェーン・ライトニングでも一応説明はつきますが、「ウィッチ・ボルト」がルール上は「バチバチと鳴る青いエネルギー光線」とあるため、一応説明します。
ウィッチ・ボルトの面白い点は、初撃を喰らわせた後、電弧を形成して継続してダメージを与えられることです。
もしドリックがソフィーナの電撃に捕まっていれば、相当酷い目に遭っていたかもしれません。
ファイアー・ボルト(ソフィーナ)
逃げるドリックにさらに追撃で火の矢を放つソフィーナ。
これは「ファイアー・ボルト」でしょう。第5版のルールでは最低レベルの呪文なので、力をあまり使わずにドリックを捕まえようとしていたことがわかります。
グリーンフレイム・ブレード(サーイの刺客・ドララス)
サーイの刺客・ドララスは剣に緑の炎を纏わせて戦います。
『ターシャの万物釜』等収録の「グリーンフレイム・ブレード」でしょう。
作中では反映されていませんが、有効打を与えた際に隣にいる他の敵にも火を飛び火させることができます。
メジャー・イメージ(サイモン)
衛兵たちの気を引くためにサイモンがエドガンの幻を作り出しました。
これは「メジャー・イメージ」の呪文にあたります。そこそこのサイズの幻像を作り出すことができ、触れるなどして幻術と見破られない限り、音、匂い、温度まで複製できる優れものです。
エヴァーズ・ブラック・テンタクルズ(ソフィーナ)
エドガン一行を2度縛り上げた触手の呪文はこれでしょう。ゲーム中でもまさに映画で描かれている通りの内容なので、特に説明もいらないでしょう。
D&Dにいくつか存在する開発した魔術師の名前が名前に使われている呪文のひとつで、これには「エヴァード/Evard」の名前が使われています(最初の一語がEvard's)。
グリフ・オヴ・ウォーディング(ソフィーナ)
金庫に入れたはいいものの、そこに宝はなく、サイモン達が見つけたのは空の部屋のみ。そこにソフィーナが仕掛けたであろう触手が伸び、一行を捕らえてしまいます。
「グリフ・オヴ・ウォーディング」は魔法の印に条件を刻み、自分の他の呪文を罠のように発動させることができます。この場合、この呪文を通してエヴァーズ・ブラック・テンタクルズを発動したのでしょう。
タイダル・ウェイヴ(サイモン)
フォージから舟を奪うべく呪文を唱え波を起こすサイモン。
波を起こす呪文として、ソーサラーが使えるのは「ザナサーの百科全書」収録のタイダル・ウェイヴですが、ルールブックにある3m程度の幅や高さと言うには少々大きく描写されています。
ミーティア・スウォーム(ソフィーナ)
「手招く死」の作戦の被害を抑えられてしまったソフィーナがエドガン一行を迎え撃つために最初に放ったのはまさかの流星群。
「ミーティア・スウォーム」はタイム・ストップと同等の最高レベルの呪文であり、高レベルのキャラクターでも一撃を喰らえばひとたまりもないでしょう。初っ端から全力で殺しに来る辺り、彼女の怒りの程がうかがえます。
シールド?ウォール・オヴ・フォース?(サイモン)
魔法の壁を作り出し、ミーティア・スウォームから仲間を守るサイモン。
攻撃に対するリアクションとして使用するという点は「シールド」のそれですが、性質としては大きな力場の壁を作り出す「ウォール・オヴ・フォース」に近いようです。
公式のNPCデータ集(記事下参照)のサイモンの項ではリアクションとして使用する独自の能力として再現されています。
アニメイト・オブジェクツ(ソフィーナ)
頭数が足りないと考えたのか、ソフィーナはドラゴンの石像を動かして襲わせます。
これは「アニメイト・オブジェクツ」―物体を操り命令に従わせる呪文と思われます。
原作では大きな物体一つだけでなく、小さな物体を複数動かすこともできます。
サンダーウェイヴ(ソフィーナ)
戦闘シーンの中でソフィーナが一行を吹き飛ばした攻撃は「サンダーウェイヴ」でしょう。轟音と共に衝撃波を放ち、吹き飛ばすことができます。
やや余談ですが、実際にプレイされる方に注意したいことがあります。ゲームではルール上[雷鳴]ダメージと書かれていますが、これは音波や衝撃波などのようなダメージを表すタイプで、電気そのものは[電撃]ダメージがあります。サンダーウェイヴは低レベルから使える呪文なので、これを使用した初心者が間違えやすいポイントになりがちなのです。実際にプレイする際にはお忘れなく。
オティルークス・リジリエント・スフィアー(ソフィーナ)
数を減らして各個撃破を狙うソフィーナは、球体に閉じ込める呪文―「オティルークス・リジリエント・スフィアー」でエドガンとホルガを隔離します。
名前に開発した魔術師「オティルーク」の名前が入っている呪文で、術者の集中が続く限り、相手を基本的に破壊不能の球体に閉じ込めてしまいます。
ミスティ・ステップorディメンジョン・ドア(ソフィーナ)
瞬間移動で攻撃をかわすソフィーナ。
瞬間移動にはいくつか種類があるのですが、短距離を移動できる呪文として「ミスティ・ステップ」…だと思ったのですが、公式のNPCデータ集(記事下参照)「ディメンジョン・ドア」だけが採用されています。こちらは比較的長距離、150メートルほどを飛ぶことができます。
ビグビーズ・ハンド / マクシミリアンズ・アースン・グラスプ(ソフィーナ&サイモン)
血にまみれた手を召喚するソフィーナに対し、サイモンも瓦礫の手で応戦。
公式のNPCデータ集(記事下参照)に従うなら、共に大魔術師「ビグビー」の名を冠する呪文「ビグビーズ・ハンド」でしょう。大きな手を召喚し、攻めにも守りにも使うことができる用途の極めて多い呪文です。
実はサイモン側はソーサラーなため、本来ウィザードしか使用できない「ビグビーズ・ハンド」ではなく「マクシミリアンズ・アースン・グラスプ」を使用した可能性もあるのですが、そちらの「地面から生えて敵を捕まえる」以上の機能を見せているため、公式のデータ集でもビグビーズ・ハンドとして解釈されたのでしょう。
公式のD&Dのルールブックでも「機能さえ変わらなければ外見は自由でいい」という記述があり、このシーンは絶好の例と言えそうです。
フィンガー・オヴ・デス(ソフィーナ)
時間停止に巻き込まれた(と思っていた)エドガンにトドメを刺すべく魔力を込めた指を差し出すソフィーナ。これは「フィンガー・オヴ・デス」の呪文です。
指から負のエネルギーを流し込み、とてつもない苦痛とダメージを与えた上で、さらに死亡した場合はゾンビ化して命令できるというものです。これが決まっていればエドガンもひとたまりもなかったでしょう。
魔法のアイテム
透明化のネックレス
エドガンが盗み出し、娘のキーラにあげたネックレス。実はこれ、原作のルールブックには載っていません。同様の効果を持つ指輪(リング・オヴ・インビジビリティ)なら存在するのですが…。
バッグ・オヴ・ホールディング
何かと荷物持ちにさせられているサイモン。映画では直接的な描写こそありませんが、腰の鞄の意匠はルールブックにある「バッグ・オヴ・ホールディング」のそれです。
一見すると手頃なサイズの手提げかばんですが、中は一辺約20メートルの立方体の異次元空間に繋がっており、総積載重量も約230キログラムながら、重量の心配も要りません。
デスリィ・トークン(呪文:スピーク・ウィズ・デッド)
呪文破りの兜の在処を求めて、サイモンが死者と会話する呪文を使用するシーン。
製作側が映画的に使いたい!と思ってもクレリック(聖職者)用の呪文だった(バードも使用できますがキャラ付けのために魔法は使用しない事にしているのでしょう)ため、クレリックに関連したアイテムの効果で使用したという扱いにしたのでしょう。
公式のNPCデータ集(記事下参照)では、このトークンには「デスリィ・トークン」という名前がつけられています。
ここで登場しなかったアイテムは?
実際のところ、「ここ・そこの杖」や「呪文破りの兜」など、作中で取り上げられる魔法のアイテムは原作のルールブックにないアイテムばかりです。でも、それでいいんです。TRPGなので、オリジナルのアイテムやモンスターを出しても、面白いと思ったらそれでいいんです。
とはいえ、物語の鍵を握る5つのアイテムのデータが原作側から公式に無料で公開されています。そこで今回、このデータ集を翻訳しました。作中のキャラクター達のNPCとしてのデータもあるため、これを読んでいるDMの皆さんの参考になれば幸いです。
その他の小ネタ
闘技場の別パーティ
闘技場にやけにシンプルなデザインの服を着たパーティがいましたが、実は80年代にアメリカで放送されたD&Dのアニメの主役一行です。
最近発売されたスターターセットのシナリオ『竜たちの島ストームレック』の挿絵でも登場していますが、アニメの舞台はフォーゴトン・レルムとは別の、特に名前もない世界のはずです。ですが、ストームレック島はネヴァーウィンターとも地理的にも比較的近いため、その前後だったのでしょうか?
「呪文破りの兜」にまつわる小ネタ
呪文破りの兜の英名は「ヘルム・オヴ・ディスジャンクション」。
古い版に登場した最高レベルの呪文として、「モルデンカイネンズ・ディスジャンクション」があります。モルデンカイネンの名を冠する呪文として、周囲のあらゆる呪文やアイテムの魔法を打ち消してしまうというものです。
公式のデータ集(上参照)でも呪文破りの兜の製作者はモルデンカイネンとされており、関係性が見てとれます。
他の方による解説も見てみる
ここまで散々解説しましたが、これでも自分が解説しきれなかったネタが大量にあるようです。流石に自分でも回収しきれないので、他の配信者様の配信へのリンクを貼っておきます。
また、同じシーンでも解釈の違いがあり、それを楽しむのもまた乙な物です。
炯遊えいり(あきらか えいり)様による、歴戦のGM目線からの解説。
烏烏烏(うがらす いずく)様と現D&D翻訳チームの柳田真坂樹(やなぎだ まさき)様(+途中からFighter-KOU様)による解説。
D&D界の生き字引的存在としてだけでなく、映画ファン、プロレスファン的な視点からも解説。
おまけ:他にもオススメ
同じく『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に関連したメディアとして、アマゾンプライムビデオで配信中の『ヴォクス・マキナの伝説』もオススメです。
エログロこそキツいですが、『アウトローたちの誇り』同様のうまくいかないアウトローたちの英雄譚が楽しめます。
「ビグビーズ・ハンド」も大活躍しますよ。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09R6JPQ2N/
そしてこちらのシリーズでも解説記事やオリジナルルールの記事を書いています。
ヴォクス・マキナ本編を見ながら読み進められるよう、話数別で紹介しています。
おまけ:原作も触れてみる?
一部の映画館では原作のルールブックやスターターセットも売られていたのもあって、原作を遊んでみたいという方もいらっしゃるかと思います。
こちらも有志の皆さんの解説が充実しているためご紹介します。
アシム氏による他のVTuberを招いての解説配信。
これ以外にも時折『マジック:ザ・ギャザリング』の世界観でD&Dを遊ぶ配信をされております。イケボから繰り出されるDMは必聴です。
えびちゃん様による解説動画。
これ以外にもグラフィックデザイナーの腕を活かしたハイクオリティなリプレイ動画を投稿されています。
炯遊えいり様による解説配信シリーズ。
これ以外には高頻度でセッション配信を行っています。長く密度の濃いDM経験がウリと私は思っています。