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ヒューマンニーズを満たすスキル~基本原則とは
1.メンバーから信頼を得られるコツとは
効果的なリーダーシップには、メンバーの自尊心を尊重し、共感的に耳を傾け、積極的な参画を促すなど、信頼関係を築くためのスキルが求められます。リーダーが多様性を活かし、メンバーから信頼を得るための5つの重要なポイントについて解説します。
ヒューマンニーズに応えるためのスキル、基本原則があります。
1・自尊心を大切にする
2・共感的に聴き、反応する
3・協力を求め、参画を促す
4・考えや感情、結論の根拠を知らせる(信頼を得るため)
5・責任を持たせたまま、側面から支援する(当事者意識を引き出すため)
①自尊心を大切にする
対話の相手の「自尊心」を大切にするということです。相手が大切にしている価値観やプライド、認められたいという気持ちに敬意を払っているということを、言葉で直接的に伝えます。
相手が認められたいと思っていること、誉めてほしいと思っていることを理解し、言葉にして相手に伝わるように届けます。そうすることで、相手は認められたと感じます。日本のリーダーは、誉めベタです。言葉にして伝えなくても、相手は分かってくれると思い、漠然とした暖昧な表現を使いがちです。
ローコンテクスト社会では、相手のことをよく観察し、知る努力をし、相手の気持ちに届く具体的な言葉を伝えて、はじめて相手は認められたと感じます。
②共感的に聴き、反応する
「共感」というのは、相手の気持ちを客観的に理解して、それを言葉にするスキルです。相手の話をよく聴いていることを示すには、相手が話したことについて「事実」と「気持ち」の両方を理解したということを、相手に伝えなくてはなりません。
人は誰でも、話を聴いてほしいという欲求を持っています。「リーダーは、部下の話に共感する人だ」と分かれば、部下は心を開いて自分の気持ちや持っている情報を率直に話すようになります。多様な人材をマネジメントしていくうえで、多様な意見やアイデアを引き出すためには、相手の話を聴き、共感を示すことは、とても有効かつ重要なスキルです。
多様な価値観の人たちが集まって話をするときに、いろいろな観点からの意見やアイデア、人と違う意見を受け入れ、共感することから、新たな発想やイノベーションが生まれる土壌をつくることができるのです。
③協力を求め、参画を促す
人は、「自分のアイデアを言いたい」「参加したい」という心理的欲求を持っています。自分の意見が少しでも解決策に使われることがあれば、貢献意欲や当事者意識が高まります。ローコンテクスト社会のメンバーは、自分の意見や考えがあれば、言葉で伝えることに価値を置き、自分の意見を述べることは重要だと考えています。
リーダーは、メンバーに率直に質問をして、相手が直接的に回答しやすい質問を投げかけます。自分の意見や考えを述べたり、アイデアを出したりすることで、メンバーの当事者意識は高まります。
④考えや感情、結論の根拠を知らせる(信頼を得るため)
リーダー自身の考えていることや気持ち、自分が出した結論の根拠を、率直に、そして論理的に相手に話します。日本人は、自分が伝えた思いや意図・考えを相手が正しく理解できないと、聞き手側の問題にして、自分の伝え方を振り返ることは少ない傾向があります。まさしくハイコンテクスト文化の特徴で、聞き手側の能力に期待しているからです。
ローコンテクスト社会では、言葉ではっきりと話さなければ、「通じない」という考え方ですから、相手に伝わるように話す側の責任が問われます。このスキルはリーダーが、相手に「通じるように」自分のことを含めて情報を共有することで、メンバーからの信頼を獲得するためのものです。
リーダーが率直に考えや思い、決定事項の背景を分かりやすく、相手が理解できるように話せば、メンバーにとっては、リーダーから信頼されていると認識します。多様性の中では、アンコンシャスバイアスもありますから、話すことに価値を置いているローコンテクスト社会では、話さないということは、「意見がないリーダー」「考えていないリーダー」と誤解されてしまい、メンバーからの信頼を失う可能性もあります。あるいは、「リーダーが無視している」「差別している」とメンバーが感じてしまうことすらあり得るのです。
メンバーは、リーダーのことを信頼したいと思っているし、リーダーから信頼されたいと思っています。信頼されていると感じてもらうためには、「率直に情報を相手に通じるように開示する」ことがカギになります。「分かってくれているはず」と思い込んで、リーダーからの情報開示が不十分なことが続くと、メンバーとの信頼関係を壊す危険性があります。リーダーには、言いにくいことであっても「言葉」にして伝える責任と勇気が問われます。
⑤責任を持たせたまま、側面から支援する(当事者意識を引き出すため)
人は、仕事を任されたら、「自分がやらなければ」と思うものです。日本のマネジャーは、「私が代わりにやってあげよう」とか「大変そうだから、この部分はBさんにお願いしよう」などと、部下の責任を無意識に取り上げてしまうことがあります。
こういったリーダーの行動は、グローバルのメンバーにとっては、自分の「アカウンタビリティ」が暖味になり、上司に自分の責任範囲を侵害されたと思い、モチベーションが下がるかもしれません。人基準ではなく、職務基準であるということを常に念頭に置いて、メンバーの支援やサポートをすることが重要です。
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2.良質な対話が化学反応を生む
「コミュニケーションが大切」といった一般論を否定する日本人リーダーはいないでしょう。しかし、ハイコンテクストの文化の中で、コミュニケーションや対話のスキルを習得することへの優先順位はあまり高くないのが現状です。
リーダーとして質の高い対話を行うためには、対話の基本スキルやフレームワークを学び、できるようになるまで練習をして対話のスキルを完全に習得する必要があります。今回ご紹介した対話のスキルは、さまざまなビジネス場面で活用できます。
マネジメント サービス センターとDDI社では、VUCA時代に成果を生み出すリーダーとして、「カタリスト型リーダー」を推奨しています。カタリストというのは“触媒”を意味します。化学反応を促進し、新たな価値を生み出すリーダーの呼称です(図表13)。
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カタリスト型リーダーは、メンバーに刺激を与え、多様な人材のさまざまな観点や意見を引き出し、化学反応を起こして変化を生み出します。このカタリスト型リーダーシップに欠かせないのが“対話”です。世界基準の対話のスキルは、シンプルですが、科学的理論に基づいて開発されたもので、国内外問わず、多くの企業で導入されています。DDI社の調査からも、この対話のスキルを使うことでリーダーの行動が変わり、結果としてメンバーの行動変容が起こり、業績につながっていることが証明されています。
最初に述べたように、リーダーシップは開発することができるのです。
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3.ダイバーシティ
グローバルリーダーは、あらゆる国籍の人たち、性別、世代の違いなど、さまざまな人材が混在している組織やチームを運営し、多様な人材の違いを活かし、結果を出す人です。多様な人材で構成されているチームだからこそ、それぞれの視点や発想、意見を交換しながら、変革やイノベーションが生み出されます。
ジェンダーダイバーシティの観点だけを取り上げてみても、GLFによると、継続して良い業績を上げている組織は、女性リーダーの比率がより高いことが分かりました(図表14)。
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CEOがダイバーシティ経営を経営戦略の優先課題として打ち出している理由は、企業が既存ビジネスに安住し続けることができない危機感からです。図表14のデータが示しているように、変革やイノベーションを生み出し、事業を伸ばすためには、ダイバーシティが不可欠だからです。
日本のリーダーは、グローバルリーダーと比べて、多様な人材と接する機会が極端に少ない環境で仕事をしてきました。日本企業は、女性活躍においても、2016年G7最下位。144カ国中111位。前年から下がっています。ちなみに、110位がネパール、112位はカンボジアです(グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2016)。
このデータが語っているように、日本のリーダーは、ダイバーシティを推進し変化を生み出していくためのリーダーシップスキルを習得することが急務です。「人」をひとくくりの固定観念で見るのではなく、個人として見る力、そして相手の価値観を認める(自尊心)、多様な意見を聴く(共感)、異なる意見をより知るために質問をして意見を求める(参画)、自分はどう考えるのか、自分の意見を持ち、伝わるように伝える力(共有)。ダイバーシティの第一歩は、相手のヒューマンニーズに応えていくことから、オープンマインドのコミュニケーションがスタートします。
多様性に富んだ人たちとの意見交換を通じて、リーダーは、物事を新しい側面から見ることに気づくことができます。本来、人が誰しも持っているアンコンシャスバイアスに気づく機会に、自ら飛び込み、体験することが重要です。日本の多くのリーダーは、そのような場も少ないため、アンコンシャスバイアスがあるということすら気づいていません。
日本人のリーダーがダイバーシティ、ひいてはインクルージョンを進めていくためには、多様な人たちのヒューマンニーズへのアンテナを張ること、ソーシャルセンシティビティ(感受性)を高め、共感のスキルを習得することが、第一優先です。
4.おすすめ人材アセスメントソリューション
5.グローバルポジションを獲りにいく
グローバル企業において、日本人は優秀な部下にはなれるが、グローバルポジションはとれないという事態が起きつつある。外国人、とりわけアジアの優秀なリーダーたちが、日系企業の重要ポジションを占め始めている。このままでは、日本人はグローバルはおろか、国内でも重要なポジションをとれないことが危惧される。
日本企業では、なぜリーダーシップ開発が停滞しているのか。グローバルポジションをとれるリーダー人材は、いかにして輩出されるのか――。
日本人のリーダーがグローバルで戦うために世界基準で獲得すべきリーダーシップスキル、及びリーダーシップ開発成功の要諦、人事が起こすべき変革、経営のコミットについて、具体的事例とリーダーシップに関するグローバル・データを織り交ぜながら解き明かす。
6.会社概要:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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