えびちゃん先生の雑感ノート:ほめるということの捉え方
はじめに
「ほめて伸ばす子育て」というのが聞かれるようになって結構経つかと思います。親御さんの中には、「うちの子はほめられて伸びるタイプです」と仰る方も多くなってきました。
もちろん、どの子も「貶される」より「ほめられる」方が伸びるのは我々教師も分かっています。しかし注意すべきは「ほめる質」です。闇雲にほめちぎっても、それは「ほめて伸ばす子育て」とは違います。ほめるときは、「子どもがほめてほしいと思っているポイントをほめる」ことと、「ほめることで子どもをコントロールすることになっていないか」に注意しましょう。
この記事を読んで欲しいのはこんな人
○ 子育て中のお母さん、お父さん
○ 子どもに関わる大人(先生など) です。
ほめたはずなのに、なんで?
自分の子どもが「ママ~、見て~!」と自分の描いた絵を持ってやってきました。自信に満ちあふれた表情がキラキラと輝いています。
何の絵かと目を向けると、「パパとママに挟まれて手をつないでいる子ども」の絵でした。
それまで、丸をつなげただけのような絵しか描いてこなかった我が子が、見違えるような絵を持ってきた。ママは感動してこう言います。
「上手に描けたね~」
すると子どもの表情がみるみる曇り、あろう事かその絵を破り捨ててしまいました。
見てほしいところはそこじゃなかった
「上手に描けた」とほめたのに、絵を破り捨ててしまうなんて… うちの子は一体どうしちゃったのか… なんて気難しい子どもなのでしょう、と思うお母さんも少なくないでしょう。
でも、その子は、その絵の全体としてのできばえに満足してはいなかったのです。
その子は彩色の仕方に気を配って、上手に塗れたからそれをお母さんに見せたかった。でも、お母さんは「上手に描けたね~」と言った。僕は上手に描けたかどうかは分からなかったけど、いつもより丁寧に色を塗ったことをほめてほしかったんだ。
ほめるポイントを見誤る事はままあること。
この場面では、ママがその絵の描き手に「ヒアリング」して、「どこをどう頑張ったのか」を聞き取り、ほめれば自ずと子どもとの会話も弾んだことでしょう。大人だって、自分が頑張ったことをほめられた方が嬉しいですよね。子どもも同じです。
また、この場面において「上手に描けたね~」というほめ言葉も「子どもをコントロールする」ことにつながりかねません。「上手」というほめ言葉はついつい言いがちな一言ですが、裏のメッセージとしては「上手に描けなければほめられない」という気持ちを子どもに植え付けかねない、ということです。また、その気持ちは「自由に伸び伸び描くこと」の足かせにもなりかねません。
まとめ:我が子が自信に満ちた表情で何かを見せてきたら
①どんな点を特に頑張って描いたのかインタビューしよう
②上手にできたね、は自由な発想と想像力の足かせになりかねないのでなるべく使わない
③ ①でヒアリングしたポイントを、「ママもそこが素敵だと思ったよ」と返してあげることで、子どもの自尊心がより育まれるでしょう。
「ほめるポイントを子どもに聞くなんてナンセンスだ」と思われる方もいるかもしれません。でも「あなたがほめたいポイント」と「子どもが頑張ったポイント」は常に同じではないのです。
短い時間の関わりでも、子どもが満足してくれることが大切です。子どもの自尊心を高めたいとおもうのであれば、「相手が自分のどのような部分を認められたいと思っているか」、に焦点を絞った方が無駄がないのではないでしょうか。忙しい現代だからこそ、限られた時間を有効に活用して、子どもの心が満たされるコミュニケーションを心がけたいものです。
今日もお読みいただいてありがとうございました。