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近未来の金融(2) ~その革新と可能性~

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(6)エコシステムとしての金融プラットフォーム

金融プラットフォームは、単なる取引の場から、様々なプレーヤーが相互作用し、価値を創造するエコシステムへと進化しています。ここでは、主要なトレンドに焦点を当てて紹介します。

①オープンバンキングの発展

オープンバンキングは、銀行が顧客の同意を得てAPI(Application Programming Interface)を通じてデータを共有することで、第三者のフィンテック企業がそのデータを活用して新たな金融サービスを提供できる環境を整えます。これによって、次のようなメリットが期待できます。

・競争の促進
異なる企業が同じ顧客データを利用してサービスを競い合うことで、顧客にとってより良い選択肢が提供される。
・革新的なサービスの創出
フィンテック企業は、従来の銀行では提供できなかったユニークなサービスを開発できます。例えば、複数の銀行口座を一元管理できるアプリや、個人の消費傾向に基づいた自動貯金サービスなどがあるでしょう。
・顧客体験の向上
リアルタイムでの資産管理や、パーソナライズされた金融アドバイスが可能となり、顧客の利便性が大幅に向上します。

②サステナブルファイナンスの普及

近年、気候変動や社会的課題に対する意識の高まりと共に、サステナビリティを重視した投資が増加しています。サステナブルファイナンスは、環境、社会、ガバナンス(ESG)要因を考慮した投資を推進します。

・持続可能な社会の実現
ESG要因を考慮することで、企業の長期的な健全性や持続可能性が評価され、社会全体の持続可能な発展が促進されます。
・リスク管理の向上
ESGリスクは企業の財務リスクとも密接に関連しているため、これを考慮することで投資リスクを精緻に管理できます。
・投資家の利益保護
ESG要因を重視する企業は、法的規制や社会的変化に柔軟に対応する能力が高く、長期的に安定した利益をもたらす可能性が高いといえます。

③フィンテック企業との協業

伝統的な金融機関とフィンテック企業との協業は、双方の強みを活かして革新的なサービスを提供する新たな潮流になるかもしれません。

・技術の共有
フィンテック企業の先進的な技術を取り入れることで、伝統的な金融機関もサービスのデジタル化を迅速に進めることができます。例えば、AIによる信用評価システムやブロックチェーンを用いた取引の透明性向上などが挙げられます。
・顧客基盤の拡大
金融機関はフィンテック企業のアジャイルなマーケティング手法を活用することで、新しい顧客層にリーチできる可能性があります。一方、フィンテック企業は金融機関の広範なネットワークを利用することで、信頼性と信用度を向上させることができます。
・サービスの多様化
共同開発したサービスは、従来の金融商品にはない付加価値を提供することができます。例えば、リアルタイムの個人財務管理ツールや、小規模事業者向けのカスタマイズ融資プランなどがあります。

(7)VR(バーチャルリアリティ)と金融

VR技術は、金融業界に新たな可能性をもたらします。VR技術を活用することで、物理的な制約を超えた新しい銀行体験や投資シミュレーションが提供できるからです。ここでは、VRバンク、仮想投資シミュレーション、教育とトレーニングに焦点を当てて紹介します。

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