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銭形平次捕物控74「二度死んだ男」(1938)+大川橋蔵・主演 第118話 紹介・感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(五)金の鯉』嶋中書店, 2004, p42-79


あらすじ

町内の本道・服部良庵が平次に相談へ来た。お蔵前札差衆の一人・大徳屋孫右衛門が亡くなり、死骸を診に行ったが、前日にすれ違った時とは別人になったようで腑に落ちないとのことだった。
平次は、八五郎を大徳屋へ偵察へ出すと、大徳屋では甥と番頭、三人の妾、三年前から居候をしている草間六弥が睨み合っていた。
その日の真夜中、大徳屋の奉公人・勘次が、主人の孫右衛門が匕首で殺されたと飛び込んできた。
平次と八五郎は急いで大徳屋へ行ってみると、話の通り孫右衛門が殺されているが、棺の中にも昼間と寸分変わらぬ姿で横になっていた。
容疑者には事欠かない事件の謎を、平次は解くことができるのか。


紹介と感想

奇妙な発端が特徴的な事件ですが、事件自体は平次が独自の推理で犯人を特定するもので、謎解きの妙味は強くありません。

金をバラまけば人に好かれると考えていた孫右衛門。しかも、自分が死んだらみんなが悲しむだろうと、浅はかな計画を立てたために命を失ってしまいました。

亡くなる時に、誰か一人でも悲しんでくれるような人生を送れるように、生きて行きたいものです。

「捕物はつまらねえが、自分の死んだ後の人気を見ようとした、孫右衛門の心持の方がよっぽど面白かったよ」
「そこへ行くと、こちとらは金で買った人気じゃねえから有難いね。死ぬと本当に泣いてくれるのが二三人はあるぜ」
「向柳原の叔母さんは解っているが、あとの二人は誰と誰だい」
「一人は銭形の親分さ」
「馬鹿野郎、俺は泣くものか」

野村胡堂『銭形平次捕物控(五)金の鯉』嶋中書店, 2004, p78-79
事件解決後の平次と八五郎の軽口


映像化作品

映像化作品は、知っている範囲では無いと思います。


大川橋蔵・主演 第118話「二度死んだ男」(1968)

題名は同じですが、原作とは関係ないオリジナル作品です。

あらすじ
「命が惜しくば山彦の鼓は諦めろ」という投げ文を受けとった仲買人の弥之吉。
弥之吉から依頼を受けた平次が取引先の屋敷へ迎えに行くと、取引の時間が変更になったようで、すでに弥之吉は浪人を護衛に帰路についていた。
平次は、弥之吉が向かったという船宿へ向かうが付いていない様子。
その後、血に染まった弥之吉の着物が見つかるが、本人の姿は見えず。
調べを始めた平次は、いつも弥之吉の護衛についていた浪人の死体を見つける。
果たして弥之吉はどこに? 平次は欲望渦巻く人々の中、真実を探していく。

紹介と感想
多くの人の欲望が複雑に絡み合い、事件を複雑にしていましたが、平次は悪い企みを持っていた全ての人間を見逃しませんでした。

今回は万七がお休みなので、為吉・お民の夫婦が事件の合間の日常を盛り上げてくれます。
八五郎も平次と一緒に頑張り、疲れて居眠りをしたり、たくさん食べたりとかわいさを振りまいていました。

最後は、事件の陰に潜んでいた犯人と、二丁十手で息詰まる対決を行います。
平次の厳しさと優しさが同時に見える事件でした。


※2024年2月24日11時頃まで東映時代劇YouTubeチャンネルでも観れます※

アマプラの東映オンデマンドでも観れます。

ゲスト
 
お美根/川口敦子
  お駒/天路圭子
小川甚内/中山昭二
 雲水堂/永井秀明
  堺屋/市川男女之助
 弥之吉/寺下貞信

大川橋蔵版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

 銭形平次/大川橋蔵

  八五郎/林家珍平
   お静/八千草薫

   お弓/鈴村由美
   為吉/神戸瓢介
   お民/園佳也子


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