食べることへの指導(頑張れでは無いアプローチ
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
大学院のレポートを一つ提出しました。
これから添削されたものが帰ってきます。楽しみなような怖いような・・・
さて、今日は「食べることへの指導」についてお話をします。
精神論が多い食指導の限界
特別支援学級の教員をしていると、偏食の児童とよく出会います。
すべての食材を分解してからではないと食べられない子
特定のお菓子だけしか食べずに暮らしてきた子
特定の食材を食べると嘔吐してしまう子
給食の時間が苦手で教室にいられない子
プラダ―ウィリー症候群などの症状により過食が抑えられない子
など、実に様々な子どもと出会います。
ただ、私がまだ生意気な20代だったころ、多くの食指導が
だとか、
のような精神論に支えられているような気がして、”本当にそれで良いのだろうか?”という想いがありました。
子どもの苦手を分析するという視点
食指導にも、”子どもの苦手を分析する”という視点はもてないだろうか。と当時の私は考えました。
そして、”食事中、高い頻度で嘔吐をしてしまう子”が、いったいなぜ嘔吐してしまうのかということの分析から始めました。
その子の食事を観察し、記録化しました。すると、以下の点が分かりました。
すべての食材で嘔吐するわけではない。
特定の食材の時のみ嘔吐する。
キャベツや白菜などの歯ごたえのある葉物の食材で嘔吐する。
ホウレンソウなどをゆでた歯ごたえの無いものは葉物でも嘔吐しない。
という条件があったのです。
分析できたら対応できる
分析できると、以下のような文献につながることができます。
このシンポジウムの記録によると、
ということで、おそらく臼歯でのすりつぶしが難しいことから、葉物野菜を正しく食べることができないのではないかと言う仮説を立てることができました。
また、以下の本は非常に分かりやすく、取り組みやすいリハビリテーションも掲載されていました。
トレーニング計画を立てる
保護者の方からの情報なども含め、自立活動の学習の中で口腔内の機能向上のためのトレーニングを行うこととしました。
顔全体の過敏性を取り除く
臼歯側へ食材を運ぶための舌の動きの向上
という2点は学校でもできる活動が多いということで、保護者の同意を得ながら行いました。
脱感作療法は、本人も次第にリラックスができるようになるようで、自分から”やってくれ”と言うほど好きなトレーニングになったようです。
食育もエビデンスが必要なのではないか
細かいトレーニング内容については、個人情報等もあるため省きます。
ただ、苦手を分析し、計画を立ててトレーニングをした結果、食事での嘔吐はほとんどなくなっていきました。
口腔内の環境が整っていないことで、嘔吐を繰り返し、食べること自体に対して苦手意識が高まってしまったようです。
食育について、”頑張って”の精神論だけではなく、エビデンスに基づいた指導を行うことが必要なケースもあることが考えられます。
なお、学校内のみで行うことが難しい訓練法もあります。その際には、医療機関と連携しながら進めていくと良いでしょう。(今回のケースは若さゆえ、学校のみで行ってしまいましたが、今だったら医療と連係するでしょう。)
子どもが楽しく、自信をもって食べることができるのを願っています!
では、またね~!
※記事の中の児童の実態については、個人情報保護の観点から、かなりフェイクを入れています。ご容赦ください。