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✓プラナリア/山本文緒

▽あらすじ
どうして私はこんなにひねくれているんだろう――。
乳がんの手術依頼、なにもかも面倒くさく
「社会復帰」に興味がもてない
25歳の春香。
恋人の神経を逆なでし、
親に八つ当たりをし、
バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、
出口は見えない。

▽印象に残った文章

もう健康になったのだから、
自分のことをがんと言うなと
彼氏や家族は言う。
でも、もう終わった事ならば、
どうして私は日々めまいや吐き気や不眠に
悩まされているのだろう。
私の中では、まだそれは
全然終わった事ではないのに。
私は矛盾している私に疲れた。

▽感想
何もかもいやになる、という部分で
がんではなく別の病気
(例えばうつだったり精神的な病気)
なのではないかなと思って読んでいたけど
なんとなく、主人公は『がん』という
病気に甘えているのではないかとも思った。

がんだから恋人を傷つけちゃう
がんだから友人の嫌がることをする
がんだから親のいうことを聞かない

がんだから何をしてもいいわけではない
とも思った。

でも私はがんになったことはない。
がんだから何をしてもいいわけではない、
という考え方は酷いのだろうか。

25歳になっているのに、
この先の幸せが見つけられないような
暗いトンネルにいるような終わり方が
何とも言えなかった。


✓プラナリア/山本文緒/文春文庫


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