✓口福のレシピ/原田ひ香
▽あらすじ
フリーSE兼料理研究家として働く留希子の実家は、
江戸時代から続く、古い家柄で、
老舗料理学校「品川料理学園」を経営している。
大学こそ親の希望があって栄養学を専攻したが、
幼い頃から後継者の道が決まっている雰囲気や、
昔からの教則本を使う学園の方針への抵抗が
留希子にはあった。
卒業後は、製品開発会社にSEとして就職した。
しかし、料理をすることは大好きだった。
SNSでの発信をきっかけに
雑誌からも仕事の依頼がくるようになり、
料理研究家としての認知度をあげていた。
忙しい女たちを助けたいと、
留希子は令和元年になるGWに向けた
簡単で美味しい献立レシピの企画を立ち上げた。
しかし、あるレシピをめぐり問題が起きる。
留希子にとってはすっかり身に付いた
我が家の味だったが、
そこには品川家の大切な歴史が刻まれていた。
一方、昭和二年、品川料理教習所の台所では、
女中奉公にきて半年のしずえが
西洋野菜のセロリーと格闘していた・・・。
▽感想
今を生きる留希子の時代の料理のあり方と、
過去を生きていたしずえの時代の料理のあり方。
交互に展開されていくお話が、
最後には一つになり、すべてが繋がる。
今も昔も料理は進化し続けている。
その進化についていくのか、
今でも昔の料理を作り続けるのか。
正解はないけど、疑問を投げかけられている気がした。
昔のように昆布や鰹節から出汁をとって
味噌汁をつくるのが良いか、
出汁パックなんかを使ってつくる
味噌汁が良いのか、正解なんてない。
でも、正解を出したい人だっている。
出てくる料理も美味しそうだった。
さすが、原田ひ香さん。