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✓ひと/小野寺史宜

▽あらすじ
女手ひとつで僕を東京の私大に
進ませてくれた母が急死した。
僕、柏木聖輔は二十歳の秋、
たった独りになった。
大学は中退を選び、
就職のあてもない。
そんなある日、空腹に負けて
吸い寄せられた砂町銀座商店街の
総菜屋で、最後に残った
五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに
譲ったことから不思議な縁が縁が生まれていく。

▽印象に残ったフレーズ

無理に言うなら、高位にいる善人ゆえの
鈍感さ、だろうか。
上空からみていると、地上すれすれで
おきていることには気づけない。

厳しさとは何なのか。自分への厳しさ。
他人への厳しさ。
それは同じであるべきなのか。
分けて考えるべきなのか。

「プラスが生まれた時より、
 マイナスが消えた方が人はずっと
嬉しいんだってわかったよ。
一億円の宝くじが当たるより
一億円の借金がなくなるほうが
たぶん、うれしい。

急がなくていい。一つ一つだ。
急がないが、とどまらない。
そんなふうにやっていけたらいい。
先は大事。でも今も大事。
先は見なければいけない。
でも今も疎かにしたくない。
だって僕は生きてる。

▽感想
天涯孤独の若者の日々を書いている話。
“ひと“は色んな人がいる。
自分に合わない人、自分を助けてくれる人
自分を幸せにする人、不幸にする人。
それは“ひと“と会って話して触れ合ってみないと分からない。
それを分からせてくれる話だった。

水車小屋のネネみたいに
一生とまではいかないけど
彼の日々を覗かせてくれる
そんな本です。

ひと/小野寺史宜/祥伝社文庫


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