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✓夏の庭/湯本香樹実

▽あらすじ
町外れに暮らすひとりの老人を
ぼくらは「観察」し始めた。
生ける屍のような老人が
死ぬ瞬間をこの目で見るために。
夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は
日ごと高まるけれど、
不思議と老人は元気になっていくようだ――。
いつしか少年たちの「観察」は、
老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…


▽印象に残った文章

「死ぬのは別に、
不思議なことじゃないんだろうな。
だれだって死ぬんだから。」
「でも死ぬのはこわい。そうだろ」

もしかすると、歳をとるのは
楽しいことなのかもしれない。
歳をとればとるほど、
思い出は増えるのだから。
そしていつかその持ち主が
あとかたもなく消えてしまっても、
思い出は空気の中を漂い、
雨に溶け、土に染み込んで、
生き続けるとしたら・・・。
いろんなところを漂いながら、
また別のだれかの心に、
ちょっとしのびこんでみるかもしれない。
誰かの思い出のいたずらなのだ。」

「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。
それってすごい心強くないか!」


▽感想
人の死ぬところが見てみたいと
考えつく理由が友達のおばあちゃんの葬式
っていうところが凄く子供っぽくて
くすりとしてしまったけど
このくらいの歳になれば
こんな生々しいこと考えるのかなあと思った。

始めはつっけんどんだったおじいさんも、
喋って色んなことをオレ達と共有していくうちに、
それは3人にとってかけがえのない
思い出になっていったんだろうな。

皆で食べたスイカも
皆で見た花火も
みんなで植えたコスモスも
おじいさんの好きだった人
古香弥生さんも
3人のとおじいさんの大事な思い出だ。

3人が合宿に行ってる間に
おじいさんが亡くなっちゃったのは
寂しかったからじゃないかなと思う。
あの3人がおじいさんの傍にいたことで
おじいさんを知らないうちに
元気づけていたんだと思う。

あの世に知り合いがいるってくだり、
考え方もすごく素敵だなと思った。


✓夏の庭/湯本香樹実/新潮文庫

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